ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

文字の大きさ
128 / 171
第五章 毒娘たち、注目の的になる

116:リーダーですが聖女様のスキルを見せてもらいます

しおりを挟む


「んじゃ今日は依頼も特訓もせずに、スキルと戦い方の確認だけするよー」

『はーい』


 そんなわけで、ベルドット商会で一通りの買い物を終えた後、空いた午後の時間でいつもの南の森までやって来た。

 そこまで時間があるわけじゃないから、本当に確認だけだ。
 さすがにホームで確認出来ないし、『禁域』とかに行って試すわけにもいかない。今のうちにって事で。


 一人ずつ、ソプラノにスキルを見せて、どういう効果か、どういう使い方をするのかを見ておいてもらう。
 そうしないといざ使うって時に困るからね。

 逆にソプラノのスキルとかも教えて貰わないといけないんだけど。


「とりあえず私からね」


 私のスキルは分かりやすい。というか毒しかない。
 <毒弾><毒霧><毒雨>を見せる。密集したパーティー戦やダンジョンではほとんど<毒弾>しか使わないけど一応見せる。

 それと<毒精製>で作れる毒を色々と。
 これはソプラノの<キュアバブル><ハイキュアバブル>で治せるのかも確認しておく。

 状態異常には色々とあって、それを治す回復魔法には<キュア>と、それで治せない状態異常に対する<ハイキュア>しかないらしい。

 それこそ過去の固有職ユニークジョブのスキルで『あらゆる状態異常を治す』みたいな強力なものもあったらしいが、ソプラノの″泡″はそこまでの性能ではないらしい。

 基本的には神官などの一般職が使う回復魔法の″泡バージョン″が<〇〇バブル>という事だそうだ。


 で、その″泡″で私の毒は治せるのかと実験してみた。コボルトで。
 結果、<衰弱毒><麻痺毒>は<キュアバブル>で治る。<石化毒>は<ハイキュアバブル>で治ると判明。

 <腐食毒>はそもそも状態異常ではないので治らない。対処しようがない。
 問題は<枯病毒>だったのだが、コボルトに撃ってみたけど<ハイキュアバブル>でも治らなかった。


「やっぱり状態異常じゃなくて病気扱いって事なのかね」

「病気でしたら<添い寝>で治る可能性もありますが……」

「えっ、<添い寝>って病気が治るの?」


 ソプラノのスキルの中で一番の問題児――<添い寝>。

 効果はソプラノが抱きついて一緒に寝ると、体調が良くなる・・・・・・・らしい。
 それはHPMPの回復はもちろん、外傷なども治るのだとか。
 風邪を引いても治るらしいので、病気に対しても効果的との事。

 まさしくエリクサーのようなとんでもない効果だと思ったが、『聖女による添い寝』が条件の為、神殿でも秘匿され、やたら使えないようにしていたらしい。

 そりゃそうだ。
 こんなのが知られれば強欲な貴族が「金を出すから聖女を一晩貸せ!」とか言ってくるだろう。
 神殿が娼館と化してしまう。危うすぎるわ。


 但し<枯病毒>に効くかの検証は出来ない。
 私たちに撃つわけにもいかないし、コボルトと<添い寝>するわけにもいかないし。
 やっぱ<枯病毒>は厄介すぎるという結論だ。


 続いてポロリン。

 <挑発><呼び込み>は一般職でも使える既知スキルなので特になし。
 <ピンクマッサージ>は昨夜、ソプラノも実際に体験し、感動していた。

 【セクシーギャル】の<ピンクマッサージ>を受ける【泡姫】……事案ですな。


 <セクシートンファー術>も一通り見せ、盾役タンクのはずのポロリンによる華麗な攻撃に拍手していた。

 <魅惑の視線>に関してはコボルトに試した結果、<ハイキュアバブル>で混乱が治ると判明した。
 これは良い情報だ。混乱の対処って殴って目を覚まさせるくらいしかなかったからね。
 万が一、味方が混乱状態になってもソプラノさえ正気であれば治せるという事だ。

 となると、回復役ヒーラーをますます守る必要がある。当然だけど考えものだね。


 続いてネルト。

 <生活魔法>と<快眠>はともかく<空間魔法><念力><室内空調>は詳しい説明が必要。
 事前に一応説明はしていたが、さすがにソプラノの理解を超える能力らしく、最終的には「ネルトちゃんってすごいですね!」と若干思考放棄していたように思う。

 まぁ「これはこういう効果です。原理は不明です」とでも納得しておけばいいと思う。

 とりあえずネルトは攻撃・防御・索敵・緊急避難とやれる事が多く、それをソプラノが把握していればいい。


「ただどれを使うにしてもMP消費が激しいからね、そこがネルト最大の欠点」

「では私の<マジックヒールバブル>の出番が多くなりそうですね」

「″癒し″系で一番多く使うのはそれだろうね」


 ソプラノの<癒しの泡>は回復魔法と同義だが、一味違うのはMP回復手段があるという事だ。

 私たちは金の力でMPポーションを大人買いして凌いでいるけど、私とネルト以外は戦闘中に飲むのも難しいし、そうなるとソプラノの<マジックヒールバブル>は使用頻度が高くなるだろうね。


 続いてリーナ。

 <包丁術>は未知の固有スキルだけど理解するのは容易い。包丁使った<剣術>って感じだからね。
 ただ<タンポポ乗せ>と<パッケージング>は実践して見せないとね。
 あと<流水の心得>も使って見せた。回避能力の謎が解けたようで喜んでたよ。


「はぁ~、これで素材が鮮度を保つわけですか、素晴らしいですね」

「<解体>出来る地表の魔物限定ですけれどね。非常に重宝しています」

「魔物を狩ったらリーナの仕事が多くなるんだよ。まず<パッケージング>で血抜きとか魔石とったりして、<解体>して、肉とかには<タンポポ乗せ>して、素材によっては<パッケージング>で魔法の鞄に収納……って感じ」

「戦闘後なのにリーナちゃんの仕事量が多すぎますね……」

「わたくしの【サシミタンポポ】を十全に活かせる方が喜ばしいです。綺麗に持ち帰った素材は冒険者の皆さんを守る装備になったり、錬金薬になったりするのですから」


 この娘はどこまでも国の為、民の為、なんだよね。生真面目。
 ソプラノと一番波長が合ってるとは思うけど。


 続いてサフィー。

 <短剣術>と<必中投擲>以外は説明がいるね。【忍者】自体がレアだから【忍者】特有のスキルも知らないだろうし。

 <忍びの直感><忍びの歩法>だけでも反則級の複合スキルだし。
 しかしやはり一番の問題は<スタイリッシュ忍術>だ。


「はぁ~、エビルクラーケン戦でも見せて頂きましたが本当に多彩ですね」

「そうでしょう! そうでしょうとも!」

「放つ前の所作はやはり必要なのですか? あと忍術の終わりに目が痛くなるような余韻が……」

「ぐぬぬ……」

「それは語ると長くなる苦労があってね――」


 スタイリッシュじゃなければなー、普通の【忍者】が良かった。ちゃんと忍んで欲しい。


 さて、一通り説明した所で、これからはソプラノのスキルを見せてもらう。
 これは全員で把握しておかないとね。どういうもんかと。


 <癒しの泡>は青や緑系のシャボン玉を飛ばし、回復させる。効果は回復魔法のそれと同じ。

 違いはさっきも言った<マジックヒールバブル>というMP回復手段があるという事。


 <高揚の泡>はバフだ。赤や黄色など暖色系のシャボン玉を飛ばし、ステータス項目にある七種のバフを行う。

 <デックスバブル>や<ラックバブル>は使いそうにないけど、他は結構使いそうだね。


 気になるのは、回復魔法のように杖を相手に向けるだけで、その人に効果が出るというわけではなく、あくまで『泡が当たってから効果が出る』という事だ。

 つまりソプラノが放ってから、効果が出るまでタイムラグがあるって事だね。


「泡が飛ぶ速度はそこそこ速いと思うんだけど、私たちが動き回っていてもちゃんと当たるんだよね?」

「はい、私が放った時点で相手を指定していますので、泡が追いかけて行きます」

「間に壁とか遮蔽物があったらどうするの?」

「遮蔽物を避けて行きますね」


 貫通は出来ないって事か。
 どうやら非生物に当たると泡が消えるらしく、基本的にはそれを避けてホーミングするらしい。


「じゃあリーナに当てるつもりで放って、間に私が割り込んだら?」

「ピーゾンちゃんにバフが掛かりますね……」

「うーん、じゃあ魔物に泡が当たったら?」

「魔物にバフが掛かってしまいますね……」

「なるほど」

「私の方である程度のコントロールは出来るので避ける事も出来ます。でも急に割り込んだり、誰かが奪うように泡に触れた場合は、バフ効果が出てしまいます」


 ああ、ソプラノの方でも少しはコントロール出来るのか。
 そうじゃないとエビルクラーケンで足に囲まれた私に泡を当てるなんて無理だろうしね。

 と考えると、ソプラノの操泡技術・・・・は相当高いんじゃないの?


「それはもう沢山練習しましたから」


 だろうね。でもコントロールをミスる可能性も考えると、やっぱり立ち位置とか射線の確保が重要だ。
 ここら辺は戦術訓練と並行してお互いに慣れていく感じかな。


「あと<泡姫の舞>っていうのは?」

「見せた方が早いのですが、コボルトの群れとかが居てくれると……」

「んじゃポロリン、よろしく」

「はい。<呼び込み>!」


 そうして見せてくれたのは一言で言えば『バリア』だ。
 ソプラノがバレエのようなダンスを踊ると、半径10mくらいが大きなシャボン玉で包まれる。
 襲って来たコボルト三体はシャボン玉に阻まれてこちらに来る事が出来ない。


『おおー!』

「こ、このような感じです! お手数ですが倒して下さいますか!?」


 踊りながらソプラノがそう言うので、サクッとコボルトを倒した。
 聞けば、魔物……というか敵性存在の侵入と攻撃(投擲や魔法なども含む)も防ぐ完全バリアらしい。
 しかし踊り続ける必要があり、踊っている間はMPが消費し続ける。

 つまり罠や突然の強襲に対しては、そもそも踊れないから発動出来ないという事だ。
 あくまでソプラノが″踊れる環境″でないと使えない。寝込みを襲われるとかも当然無理。

 うーん、強いんだけど使い勝手が悪い……私の毒と近いねぇ。


「でもさすがに十年以上も研鑽を積んでるからか、私がテコ入れするトコも見当たらないね」

「即戦力ですね。さすが聖女様です」

「ありがとうございます」

「となれば六人での戦術を固める感じでしょうか」

「ソプラノさんを最後尾に置く感じでよろしいんじゃありませんの?」

「ん? 模擬戦の特訓とかは?」


 ふむ、配置についてはサフィーの言うように最後尾固定で大丈夫だろうね。
 ダンジョン探索とかは真ん中かな。

 それとネルトも言う通り模擬戦はやったほうがいい。ソプラノは杖で防御も出来ないって言ってたし。
 出来るに越した事はないからね。


 よし、んじゃ色々と特訓してみますか。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...