カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

文字の大きさ
20 / 421
第一章 黒の主、世界に降り立つ

20:イーリス迷宮を制覇しよう

しおりを挟む


■エメリー 多肢族リームズ(四腕二足) 女
■18歳 セイヤの奴隷


 イーリス迷宮へのラストアタック。
 カオテッドへと向かう前、最後の挑戦で悔いの残らないようにと、長期間の迷宮探索を行っています。
 挑戦の前日に色々と買い物をし、迷宮内での野営準備は万全。
 MPポーションや大量の食材も確保した上での挑戦となりました。

 しかしご主人様の<インベントリ>は本当に反則級のスキルだと改めて思わされます。
 <カスタム>もそうですが、この<インベントリ>だけでも十分に便利すぎるスキルだと。
 普通のマジックバッグでは買い溜めした食料もものによっては腐りますし、容量も限られます。
 ところが<インベントリ>であれば劣化せず無制限に入るので、前日に作って置いた熱々のスープがそのまま飲めるのです。
 これを他の組合員に見せれば、その規格外の探索風景に絶句する事でしょう。


 ともかく、そうして挑んだ迷宮ですが、これまでの最高は四階でした。
 話によればこの迷宮は全十階層。数年に一回くらい、名のあるパーティーによって制覇されているそうです。
 そしてここを足掛かりにした英雄のようなパーティーは皆、カオテッドへと行ってしまう、というのがここ十年の傾向らしいです。
 確かに近くに前人未踏の大迷宮があるとなれば、そちらに挑戦したくなるのも分かる気がします。

 そうしたわけで組合にも深部のちゃんとした地図は置いていません。
 大体のルートが高額な値段で売られているだけです。
 お金持ちのご主人様はそれも買い求められました。
 どうせ隅々まで探索するのだからなくても問題ないのでは? とも思いましたが、念には念をの安全重視だそうです。


 その地図を目安に地下五階以降を探索していきます。
 階層は徐々に広く、出る魔物も強く、罠も凶悪になっていきます。
 ネネを仲間にし<カスタム>強化して良かったと本当に思いました。
 探索に危な気なところがないのです。
 私や皆も警戒はしていますし、イブキやサリュもネネ一人に任せず察知系スキルを使用していますが、ことごとく危険を未然に防いでいます。

 私たちが作った詳細地図は組合で売るつもりでいます。
 まぁ売れるかどうかも知りませんし、交渉次第でしょうが。


 宝魔法陣からは様々なものが手に入りました。
 地図の順路から大幅に外れたところを探索し、手に入れたものもあります。
 武器は使えるものなら良いのですが、防具が出ても私たちでは活用できません。
 私たちは侍女ですから戦闘服は侍女服です。当たり前です。

 装飾品系の装備や消費アイテム類はありがたいです。
 特に付与効果がついたものや、魔道具などもご主人様はお喜びになります。
 さすがに<カスタム>で付与はできないでしょうし、確かに有用です。


 そして九階で手に入れた希少アイテムの中に『スキルオーブ』がありました。
 新たにスキルを覚えられる宝玉でオークションなどでは高値がつくような希少品です。
 鑑定しなければ何のスキルを覚えられるかは分からないのですが―――


「あ、<飛刃>だって。俺もらっていいか?」


 <インベントリ>に入れたら表示されたそうです。<飛刃>のスキルオーブと。
 やはり<インベントリ>は規格外のスキルです。
 <飛刃>はもちろんご主人様が付けました。否はありません。

 ご主人様は<剣術>に加え<抜刀術>も持っていらしたので、抜刀からの<飛刃>を試されていました。
 遠距離攻撃が使えることにお喜びのようです。


 そうこうしているうちに十階まで辿り着きました。
 ここまで八日間かかりました。
 持ち込むアイテムや道中で手に入るアイテムも含め、本当に<インベントリ>が助かります。
 なければ大荷物で挑みつつ、魔石などを捨てながら進むことになったでしょう。

 彫刻の施された大仰な扉を開きます。
 事前に情報を得ていたとはいえ、それはさすがに恐怖を覚えるものでした。
 広い空間に鎮座する巨大な【迷宮主】。

 鋼鉄の巨蜘蛛―――タイラントクイーン。

 その周りには子蜘蛛でしょうか、ワサワサと数十匹の蜘蛛が居て、それらが私たち目がけて進んできます。


「作戦通りいくぞ!」

『はいっ!』


 私たちも駆けだします。
 クイーンの存在感は強烈ですが、子蜘蛛が多すぎるので私はその排除を優先します。

 前衛にイブキ。クイーンを抑えつつ、後衛陣を守る役目です。
 遊撃は私とネネが子蜘蛛を倒し、ご主人様はクイーンを相手取ります。
 後衛のサリュは回復と、魔法攻撃では子蜘蛛を。
 ミーティアは弓で子蜘蛛を倒しつつ、クイーンが糸を放った際、火魔法を使って燃やします。

 ミーティアの役割が重要です。
 クイーンの蜘蛛糸が固まっているイブキ・サリュ・ミーティアに放たれれば為す術ありません。
 そうなれば全滅必至です。
 なのでミーティアは弓よりも、いつ糸がきてもいいように備える方が多いです。

 子蜘蛛は大したことありません。
 動きも遅いし硬くもない。
 イブキほどの力でなくとも、私やネネで倒せる程度です。
 ただ数が多すぎるので、斬っても斬ってもキリがない。

 一方でノシノシと近づく脅威のクイーン。
 二階建ての家が迫ってくるようなものです。
 おまけに黒光りする身体、手足はまさに金属。


「はあああっ!!!」


 手始めに放ったイブキの大剣は「ガキン!」とそれこそ金属同士のぶつかり合いに聞こえました。
 剣で斬れない、ダメージを与えられないことに「チッ!」とイブキの舌打ちが聞こえます。
 もっと侍女として慎みを……と、そんな場合ではないですね。

 どうしたものかと思った矢先。


 ―――スバッ!!!

「キィィィィィッッッ!!!」


 クイーンの八本の足のうち、一本が切断されました。
 ご主人様が子蜘蛛を倒しつつ側面から回り込み、クイーンに攻撃をしかけたのです。


「よしっ!」


 手ごたえあり、とご主人様が吠えます。
 ご主人様のステータスと神器である黒い剣―――刀というそうですが、それをもってすれば斬れると。

 ……しかしいかにご主人様と神器とは言え、イブキが全く斬れない相手を布でも斬るようにスパッと斬る。
 それを見ると、やはり神の使徒という偉大さを改めて感じます。
 もはやご主人様に斬れぬものなし。敵うものなし。
 それが誇らしく感じます。


 それからは圧倒的でした。
 ご主人様に集中するようになったクイーンは斬られるばかり。
 ミーティアはそれが分かると子蜘蛛の処理を優先するようになり、イブキも同様に子蜘蛛の処理に回ります。
 結果としてさして時間はかからず、迷宮主の討伐は成りました。

 バラバラになったクイーンの死骸は迷宮に消え、残されたのは【大きな魔石】【鉄蜘蛛の甲殻】【鉄蜘蛛の糸袋】【鉄蜘蛛の顎】【猛毒袋】と大量です。
 さすがは迷宮主。
 もちろん子蜘蛛のほうからも大量の魔石などが手に入りました。

 そして部屋の中央には魔法陣が浮かび上がります。
 これは迷宮を制覇した者だけが使える転移魔法陣。
 ネネに確認してもらった上で、皆でそれに乗ると、景色は地上。迷宮入口の外でした。


「うわっ! なんだ急に!」

「く、【黒の主】とメイド軍団じゃねえか!」

「転移!? ってことはまさか制覇したのか!」


 行き来する組合員の人たちに騒がれながら、私たちは迷宮組合へと足を運びます。
 八日ぶりの組合ですので、受付の猫人族キャティアンの女性は心配していたそうです。
 毎日来ていたのに急に来なくなったと。

 しかし事情を話すと―――


「えええっ! せ、制覇したんですか!? 八日で!? 六人だけで!?」


 どうやら普通は複数のパーティーで、日数ももっとかけて挑むようです。
 これでも迷宮の隅々まで探索して時間を使ったほうだと思いますが、魔物を倒す速度が違うのでしょうか。
 十日以上探索し続ける人たちは毎日まずい携帯食しか食べないで過ごすのでしょうか。
 それを思うと私たちはご主人様のおかげとしか言えません。

 証拠としてクイーンの素材を見せました。
 が、ご主人様はカオテッドで加工してもらい装備を作れるかも、と大魔石と猛毒袋だけを売ることにしました。
 それでも喜ばれましたが、少し残念そうな顔もしていました。

 同時に私たちが調べ上げた深部の地図も売ろうかという話になり、支部長まで出て来る大騒ぎになりました。
 むしろクイーンの素材よりそっちの方が大事だったようです。


「おい、ほんとに売ってくれるのか、こんな詳細な地図を」

「ええ、もう使いませんしね」

「……ってことはお前らも行っちまうのか。カオテッドか?」

「そうですね。今回でイーリス迷宮は最後のつもりだったんで」


 熊人族クサマーンの支部長が残念がっています。
 馬鹿にされてばかりだった基人族ヒュームのご主人様がやっと認められたかという思いです。
 それだけ組合にとって貢献したという事なのでしょう。

 迷宮を攻略したという事で、組合員証の裏には「イーリス迷宮制覇」という文字が刻まれ、ランクはAになりました。
 小規模な迷宮であるイーリスでAになるのかと思ったのですが、制覇する人はそうそう出ないし、六人・八日間という速度と殲滅力が評価されたそうです。

 これで心置きなくカオテッドを目指せる。
 私たちは笑顔で組合を後にしました。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...