カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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第三章 黒の主、樹界国に立つ

75:おかえり、キノコ王国(村)

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■ネネ 闇朧族ダルクネス 女
■15歳 セイヤの奴隷


 ポルは面白い娘だ。

 明るく元気でムードメーカー。
 私とは正反対だけど、サリュよりおバカで面白い。
 でも三人とも同い年。
 サリュとポルは全然話せてないけど、きっと仲良くなれると思う。


 行きはご主人様に背負われたままだったので、戦闘経験はほとんどなし。
 多少レベルが上がったらしいけど、まだまだ<カスタム>不足なんだとか。
 だから帰りは優先的にポルに攻撃させている。


「うわっ、ウ、ウルフです! ウォッ、水球ウォーターボールっ! ひえっ外れたですっ! あわわわ!」


 ……面白い。

 一応【体力】と【魔力】【敏捷】を重点的に<カスタム>してあるらしく、走っても魔法を使っても早々疲れることはないらしい。
 でも圧倒的に経験不足。
 森を走るのも、戦うのもまだまだ。


「ひぃ~、ま、まだ走るです? い、いや、私もがんばって走るです!」

「ロ、岩の槍ロックランス! あ、やったです!? ん? やってないです! うわあっ!」


 ……面白い。

 元気に意気込んで、頑張って失敗して凹んでを繰り返している。
 とても感情が豊かな娘だ。
 少し羨ましい。

 もちろん逐次私たちがフォローしているし、ご主人様がどんどんと<カスタム>している。


「精神面はどうにもならんが【器用】と【敏捷】上げとけば大抵どうにかなる」


 とはご主人様の談。
 【器用】は優先して<カスタム>していなかったらしいから、それもあって失敗しやすくなってるのかも?

 いや、ポルが慌てやすい性格だからだと思うけど。
 あわあわして魔法を外すイメージ。
 やっぱ慣れしかないんだよね。うんうん。

 そんなポルでも延々と森を走りながら魔物と戦っていれば次第に慣れて来るもので、弱めの魔物であれば順調に倒せるようになっていった。
 体力がなくなってくると余計な考えをしないで集中するからね。
 辛いだろうけど経験にはなる。私もスタンピードの時とか大変だったなー。延々と斬ってたし。


 街道から少し外れた山沿いとかは山賊が出やすい。
 私の<気配察知>はご主人様のおかげでとても察知範囲が広い。
 魔物も見つけやすいけど、山賊も見つかるんだよね。
 自分の能力ながら大変便利。


「ひぃぃっ! さ、山賊ですぅ! どどどどうするです!?」

「山賊は殲滅するもの、これ常識」

「そ、そうなのですか! よよよし! 私もやるですっ!」

「いやいや無理するな。ネネも常識じゃないから。俺とミーティアで乗り込むから、ネネとポルは見張りな」


 そう言ってご主人様はミーティアと洞穴に入っていった。
 残念。だけど索敵担当が私一人だから見張りはしょうがない。
 ポルはホッとしたような、でも「やらなきゃ」みたいな表情を次々に浮かべる。面白い。

 樹界国は山や森が多く、街道の傍が死角になっている箇所が多いから山賊に襲われやすいんだと思う。
 兄王の圧政があったから山賊が多くなったのか、それより前から多かったのかは分からない。
 でも私たちが倒しただけでも四組ほどいた。

 ミーティアは自国の山賊だから対処しなきゃいけないって使命感があるんだろうけど、一方で圧政で山賊に落ちた人も居るかもしれないと思ったのか、時々悲しそうな顔をしていた。
 それでも山賊は山賊だからね。
 殲滅するのが常識だと思う。


 何日目かにはポルの村にも寄れた。


「ポル! 使徒様! ミーティア様!」

「ただいまです!」


 ……私は? いや、まぁいいけどさ。

 行きと違って、帰りはこの村で一泊する。
 もちろんご主人様がポルに気遣ってのことだ。
 私とご主人様、ミーティアは村長宅にお邪魔するけど、ポルは実家で休むことになる。

 ポルはお父さん、お母さんにいっぱいお話したらしい。
 ミーティアも村長に全ての経緯を説明した。


「おおっ、ではもう重税に苦しむことは……!」

「ええ、ありません。徴税官を擁していた神殿組織自体が変わっているはずです」

「良かった! ありがとうございます! 助かりました!」


 村長さんは涙を浮かべて喜んでいた。
 それほど苦しかったのだろう。
 ポルを奴隷として売るくらいだから相当だったんだろうけど。


「では使徒様、お預かりしたお金はそのままお返しいたします」

「うーん……いや、それは貰ってくれ」

「そんなっ!」

「少なからず徴税の被害は残ってるんだろ? それに充てて欲しい。それにこの村だけじゃなく他の村も同じように苦しんでいるはずだ。そういった村々と分け合ってくれるか?」

「なんと……!」

「ご主人様……!」


 徴税によって農作物や貯蔵がとられた村もある。そこの補填資金にとご主人様は仰った。
 確かにご主人様の資金からすれば微々たるものかもしれないけど、とんでもない額だ。
 それをポンと上げるこの人は、やっぱり優しいご主人様なのだと思った。

 でもミーティアは複雑みたい。
 王政が新体制になって重税の見直しは掛かるだろう。
 取り過ぎた税は返却されるか何年かの免除になるかは分からない。

 返却するにしても、全てが戻ってくるとは限らない。
 すでに使い込まれてる金もあるだろうし、作物とかにしても同じだ。
 だから「絶対に戻ってくるからご主人様はお金を出さなくても大丈夫ですよ」とは言えないんだ。


 ……って話を後日ミーティアから聞いた。
 私にはよく分からない。税とか。


 結局は村長さんが折れて「使徒様ー!」と崇める結果になった。
 それどころか翌日には村中から「使徒様ー!」と言われていた。

 私も一回「使徒様」と呼んでみた。
 かなり真剣な表情で「わりとまじでやめてくれ」と言われたので謝った。


 ご主人様はポルに改めて、身の振り方を聞いていた。
 秘密を厳守できる奴隷の状態は変えられない。
 だけど村に残ることは出来るけど、どうする? と。


「わ、私はご主人様と一緒に行きたいですっ! まだ何も恩返し出来てないですっ!」

「使徒様、ご迷惑と思いますが、どうぞポルをよろしくお願いします」

「分かった。じゃあポル、これからも頼むな」

「はいですっ!」


 良かった。せっかく仲良くなれたし別れたくはなかった。
 戦闘も出来るようになってきたしね。
 まだまだだけど。
 迷宮で集中的に鍛えればいいし。

 そんな感じでポルの村を出た私たちはカオテッドへと進む。
 また山や森を抜けつつ、魔物を狩りつつ進む。

 やっと帰れると思った。
 そして私は気付いたんだ。
 カオテッドの屋敷が『私の帰る場所』になってるんだって。




 ちなみに、樹界国の北部の集落では『謎の黒い影』『消えるメイド』『神の使い』といった噂が出ていて、それにより救われた集落が結構あったらしい。
 同じように重税で苦しんでいた近隣の集落同士で盛り上がっていたみたい。
 こんなことがあった、うちもだ、と。

 そこへご主人様からの補填金を配りに行ったポルの村の村長さんが経緯を説明し、「神の使いって使徒様じゃね?」という話になった。
 村長さんも「使徒様ならそれくらい当たり前」と聞いてもないのに太鼓判を押す。

 かくして『神の使い騒動』は全てご主人様の仕業という事になり、樹界国北部には『女神信仰』ならぬ『使徒様信仰』が芽生えたそうな。

 ……まぁ全部ご主人様がやった事に間違いないんだけどね。

 私たちがそれを聞くのは大分後の話。
 それ以降、ご主人様は樹界国どころか南東区にさえ行きづらくなったらしい。


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