90 / 421
第四章 黒の主、オークション会場に立つ
87:かもすぞー系チート
しおりを挟む■ポル 菌人族 女
■15歳 セイヤの奴隷
「おおー、いい出来じゃないか」
「えへへ~よく出来たのです!」
樹界国からお屋敷に戻って、数日後。
ご主人様が「キノコ作ってくれ」というので、庭の隅っこを私用の栽培地にしてくれました。
日陰を作り、原木を用意してあとは私の出番です。
ご主人様は色々な種類のキノコが欲しいという事で、元になるキノコを用意してもらって、そこから私のスキル<菌操作>で原木へと移し、育てます。
<菌操作>はご主人様が<スキルカスタム>でカンスト? させてくれました。
村でやってた時より成長がすごいです!
「いや、原木栽培って数か月かかったと思うんだけどな……恐るべし<菌操作>」
「えへへ~ご主人様の<カスタム>のおかげなのです」
「こうなると<菌操作>のポテンシャルが気になるな」
「です?」
そう言って、ご主人様は私をキッチンへと連れて行きました。
ヒイノさんがパン作りの下拵えをしていたので声をかけます。
「酵母作りをポルちゃんに?」
「物は試しだ」
お屋敷でヒイノさんが作る白いパンは柔らかくてフワフワなのですが、それを作るのに『こーぼ』というのが必要らしいです。
どうやらその『こーぼ』は″菌″らしいのです。
それを私の<菌操作>で作ったり出来ないかと。
……<菌操作>はキノコを育てるだけのスキルなんですが。
<菌操作>は菌人族だけが持ってるスキルで、村の誰もキノコ以外に使ったりしません。
私も「これはキノコを育てるのに使うスキルだ」と教わってきました。
パン作りに使えるとは思えないのですが……。
「<菌操作>……おおっ?」
「まあっ!」
「はやっ! もう泡立ってるじゃねえか!」
な、なんかよく分からないけど成功みたいです。
これは菌人族の歴史に残る大発見じゃないでしょうか。
キノコしか作れないスキルで、白パンが作れるだなんて!
村民栄誉賞まったなしです! ご主人様が、ですけど!
「なんかもう<菌操作>のスキルがよく分からなくなってきた。菌だったら大抵どうにかなるんじゃないか? というか天然酵母の存在を知らないポルがスキル使っただけで目当てのものを作りだすっていうのがよく分からん。キノコの菌とはだいぶ違うはずなんだが……」
すごい発見をしたご主人様は頭を抱えています。
成功したのなら悩む必要ないと思うんですけど。
とりあえず私の作った『こーぼ』でパンを作ってみてくれ、とヒイノさんに伝えて、私はまたご主人様に連れて行かれました。
今度はジイナさんの鍛冶場のようです。
鍛治のお手伝いするです?
「酒造り……ですか?」
「ああ、鍛治仕事中に悪いけど試してくれるか?」
「ええ、今でしたら問題ありません」
お酒? <菌操作>ですよね?
お酒が造れるんです?
分からないですけど、とにかくジイナさんも連れてお屋敷に戻りました。
「ジイナ、ワインは作れるか?」
「ええ、作ったことはあります」
「この葡萄を潰して、発酵させて、ろ過して、熟成させる……で合ってるか?」
「大体は。温度管理や時間管理などもありますし、細かい作業もありますが」
「じゃあとりあえず、この葡萄を潰してみよう」
どうやらお屋敷にあった葡萄でワインを作るつもりらしいです。
そんなに量はないからお試しなのでしょう。
ジイナさんが慣れた手つきで潰していきます。
「じゃあ次に発酵。ポル、さっきと同じ要領でやってみてくれ」
「? 分かったです」
「えっ、ポルさんが?」
さっきと同じってことは『こーぼ』を増やすって事ですよね。
えーと<菌操作>で……。
「うわっ、熱が!」
「早いわ! 醸しすぎだろ! これ時間が全然分からんぞ!」
なんかジイナさんとご主人様が驚いていますが、私にはよく分かりません。
えーと、このくらいでいっかな。
「……ちょっとジイナ、ろ過してみて」
「はい……」
「……旨っ! 酒出来てるじゃん! 熟成どこいった!」
「うそっ! ……美味しいっ! なんで!?」
二人して私の方をバッと見ますけど、私に聞かれてもよく分かりません。
お、お酒が出来たんならいいんじゃないでしょうか。
しかし<菌操作>でお酒を造れるんですねぇ。
キノコもパンもお酒も造れるって……菌人族ってすごいんですねぇ。
こんな発見したってことはもう確実に村民栄誉賞ものですよ! ご主人様が!
―――ガラッ
「酒と聞いて」
「帰れ」
ツェンさんがどこからかやってきました。
ご主人様の言う事もきかず、ずんずん近づいてきます。
そしてジイナさんの手にあったお酒を飲んでプハーッと。
「旨い! もう一杯!」
「ねえよ、帰れ」
「なんでだ、いじわる! こんな旨い酒飲んだ事ないぞ!? まさか独り占めしようってのか!? いくらご主人様だからって横暴だぞ! おーぼー!」
よほど美味しかったのでしょう。
ツェンさんがご主人様に詰め寄ります。
が……。
―――ガラッ
「ツェン」
「ひぃっ!?」
エメリーさんがどこからかやってきた途端にツェンさんがビクゥンッってなりました。
樹界国に行っている時にネネちゃんに聞きました。
ご主人様の奴隷で最強はエメリーさんだって。
やっぱり侍女長さんはすごいです。
それからご主人様が説明しました。
試しで作ってみただけだからお酒なんて余分にないよ、と。
「で、でも材料さえあれば今後はすぐに酒が造れるって事だよな! そうだよな!」
「すぐって言ってもジイナが加工と処理して、ポルがスキル使わないとダメだけどな」
「すげえ! じゃあもう今度からお小遣いで葡萄買うわ! そんで頼む!」
「お前の場合、専用の樽も買って来い。じゃないと量が作れん。それとジイナとポルにお前が頼むのナシな。俺を通せ。二人に頼めそうな時に頼むから。あとお前は加工するのとかも手伝えよ」
「ああ、分かった! やったぜ!」
「ツェン?」
「は、はいっ!」
その後、ツェンさんに褒められました。
ありがとう、お前らすごい、と。
えへへ。だけど私も<菌操作>でどうしてお酒ができるのかよく分からないんです。
言われてスキル使っただけなので、すごいのはご主人様だと思います。
<菌操作>の力を上げたのもご主人様の<カスタム>ですし。
あと麦とかトウモロコシとかお芋でもお酒が造れるらしいので、今度試すそうです。
ツェンさんは「おおっ!」と喜んでいました。
ジイナさんは複雑そう。
「酒造りの歴史が覆されて……」と遠い目をしていました。
どういうことでしょうか。
「ジイナ、ついでにもう一つ頼みたいんだが」
「な、なんでしょう」
「蒸留酒を作ってみたいんだ」
「じょうりゅうしゅ?」
お酒の種類でしょうか。ジイナさんも聞いたことないようです。
ツェンさんは「新しい酒か!?」と異様に食いついています。
ご主人様はその『じょーりゅーしゅ』について説明していましたが、私にはよく分かりません。
とりあえず私の仕事はなさそうなので、あとは言われた時に<菌操作>すればいいかなーと。
その日の夜、夕食で出されたパンはとても美味しかったです。
ヒイノさんが「実家の秘伝が……」となぜか項垂れていましたが、どうしたんでしょうか。
6
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる