カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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第六章 黒の主、パーティー会場に立つ

136:鉱人族を驚かせる武器(武器?)

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■サリュ 狼人族ウェルフィン 女
■15歳 セイヤの奴隷 アルビノ


 今日はお客さんを招いての祝賀会です。この日の為に、色々と準備してきました!

 私はキッチンでお料理担当です。
 事前に大量に作ってはありますけど、あの場でご主人様が<インベントリ>から出すわけにもいきません。
 キッチンに置いておいて、ある程度は冷蔵庫に入れたり、焼き直したりが必要です。

 少なくなったお料理は私が作ったりもします。
 本当はヒイノさんとかエメリーさんがやるべきなんでしょうが、今日は二人とも専属給仕役ですからね。
 今日は私が料理長です! ふんす!


「サリュさーん、お皿下げてきましたー。やっぱり唐揚げとマヨネーズ関係が人気ですね。すぐなくなっちゃいますよ」

「とりあえず余計にあるやつから並べるです。揚げ物は時間かかるです」


 ドルチェちゃんとポルちゃんはサポートです。
 二人とも料理も出来ますし、色々とお手伝いしてくれてます。
 まぁポルちゃんはお酒造りもあるので、忙しそうなんですが。パンは作り置きがありますけどね。

 しかし、やはりと言うか、ご主人様の世界の料理は大人気みたいです。
 食べた事なくてどれも美味しいから当然ですね。

 私の開発した『唐揚げマヨネーズ和え』はご主人様の手で『チキンナンバン』として生まれ変わりました。
 これもまた好評で嬉しい限りです。

 特に受付嬢の皆さんがいっぱい食べてくれているので、嬉しいです。
 【獣の咆哮ビーストハウル】や【八戒】の皆さん以上に食べてますけど大丈夫でしょうか。
 この後、プリンとアイスがあるんですが……。


 おや? この匂いは……ミーティアさんがやって来ましたね。
 まさかキッチンに立つつもりでしょうか。
 ダメですよ!? 私が料理長で居る限り、ミーティアさんは立たせません!


「サリュ、先にデザート出してもらっていいかしら。メリーさんたち、今のうちに食べないと多分食べられなくなるわ」

「あー、そういう事ですか、分かりましたっ!」


 ミーティアさん専属が交代になってたんでしたね。今は受付嬢の皆さんの所ですか。なら納得です。

 えーと、どうせだったら皆さんにも配っちゃった方がいいですかね?
 まぁ余分に作ってありますし、本当の食後に欲しかったらまた出せば大丈夫でしょう。
 じゃあ冷蔵庫と冷凍庫から出して、みんなで配りに行きましょう。


「ん? なんだこれ。デザート? これが?」

「冷たくて柔らかそうじゃのう、どれ……ほう、甘いのう!」

「これは美味しいですね。氷の魔道具を使っているのですか?」

「おおおっ! プリンじゃないか! 旨い! やはりうちの料理長のものとは一味違うっ! それとこれは何だ、アイスクリーム!? うまっ! つめたっ! うまっ! なんだこれは! セイヤー、セイヤー! ちょっとー! レシピ売ってくれー!」


 組合員の人たちにも好評みたいですね。まぁ美味しいから当然ですが。
 でもメルクリオさん、大丈夫でしょうか。
 同席しているクランメンバーのお二人がドン引きしてますけど。ウェルシアさんも。


「美味し~~~~っ! なんですかこれ! 甘い! 冷たい! 美味しい!」

「こっちがプリンで、こっちがアイスクリームですね。ご主人様が作られて今ではうちでも定番なんです」

「羨ましい~~! ミーティアさんたち、いつもこんな美味しいの食べてるんですか!?」

「ええ、アイスは溶けちゃうからダメですけど、プリンはお土産にも用意してますから、帰りに渡されると思いますよ」

「やったーーーっ! ありがとうございますっ!」


 おお、予想以上に喜ばれてますね。気持ちは分かりますが。
 しかしこれひょっとして、おかわり注文入っちゃうかも。
 そうすると作りだめしておいた方が……でも材料が……。

 先に私たちも食べておきましょう。うん。
 ティナちゃーん、おやつですよー。



■ドゴール 鉱人族ドゥワルフ 男
■42歳 Aランククラン【震源崩壊】クランマスター


「いや、それでよ、いくら殴っても全っ然効かねえの。デカすぎてダメージ入ってるのかどうかも分からねえしさ、さすがにあたしもこりゃ無理だって思ったね。釣り上げるまでは面白かったんだが、ありゃ普通にやってたら倒せるもんじゃないよ」


 旨いのお、ここの酒は。おまけにつまみも旨い。
 冷やした麦酒とマヨネーズとかいうソースをかけた肉がよく合う。
 こんな酒の肴あったらいくらでも飲めるわい。

 ただ酒の肴は食い物だけではなく、一緒に卓を囲んでいるツェンという竜人族ドラグォールの話もだ。

 嘘のように聞こえたセイヤの探索話がどうやら本当の事らしいとツェンの話を聞いて思う。
 まぁ魔石があったし竜を倒したのは真実じゃろうが、釣ったと言われて信じる者がどこに居るかと、そういう事じゃ。

 セイヤの話ではあやふやであった竜討伐、ツェンの話を聞けばセイヤが首を斬り飛ばして終わらせたらしい。
 これまた嘘くさいが、もはや疑う事も馬鹿馬鹿しく思える。
 存在自体が嘘くさい連中じゃからな、この【黒屋敷】というクランは。


「で、その亀、いや竜か、そいつの牙で作ったのがこの【ドラゴンファング】よ! あたしの愛用武器だ!」

「「「おおおっ!!!」」」


 ツェンがマジックバッグから取り出したのは二本の牙が伸びる真っ白な手甲。
 一見すると金属のような石のようなそれは、力強さと造形美を兼ね備えておった。
 わしたち三人は前のめりで見てしまう。鉱人族ドゥワルフさがじゃ。


「これが竜の牙か! いや、こりゃすごいのう! 素直に感心するわい!」

「だろ? 威力もすげえんだぜ? あの亀の甲羅殴ったら割れたからな! 全然無理だったのに!」

「強さは分からんが、竜の牙をこの形状に加工し武器として完璧に昇華しておるのがすごいわ。こんなの並大抵の鍛冶師では作れんぞ。どこの工房じゃ? 北西区じゃろ?」

「いや、こいつだよ」


 ツェンは親指をクイクイと、専属給仕として立つ娘に向けておる。
 ジイナとかいう鉱人族ドゥワルフじゃな。

 ん? こいつって……こいつか?
 娘じゃぞ? え? 鉱人族ドゥワルフの娘が鍛治をするのか?


「あ、あはは……えっと、恥ずかしながら私がみんなの鍛治を担当しています」

「ええっ!? 女子おなごが鍛冶場に入るのか!? なぜ打てるのじゃ!?」

「あー、えっとですね……」


 聞けば、女ながらに鍛治が好きだったジイナは、隠れて鍛治をしていて誤って火災を起こしたそうじゃ。
 鉱人族ドゥワルフの集落で女が鍛冶場に入る事は許されぬが、鍛冶場での火災はもっと許されぬ。
 そうして大火傷を負った状態で奴隷となり、セイヤに買われたそうじゃ。

 火傷はセイヤに治してもらったそうじゃが……なんとも言えん話じゃ。
 鉱人族ドゥワルフとしては怒らにゃならんが、おかげでこのクランが助かっているのも事実じゃろう。
 装備が半端ではいくら力があっても一流の組合員とは言えん。
 【黒屋敷】がSランクへと至った一因は、その武器を造った鍛冶師にあると言っても過言ではないからのう。


「まぁジイナが鍛治師というのは分かったが……しかし本当にこれをお主が? こんな事を言うのも何だが、こりゃ熟練鍛冶師をも超える腕前と言ってもいいほどだぞ? とても女子のジイナが打てるとは思えん」

「おいおい、ドゴール。うちのジイナを侮るんじゃねーぞ」

「ちょっと待ってツェンさん、ドゴールさんの意見は正しいから! 普通は私なんかが打てるわけないって思うものだから!」

「いいや、ジイナの腕をみくびってもらっちゃ困るぜ! 付いて来な! 案内してやるよ!」


 いくらこやつらが竜を倒したと言っても、まだ年若い女がアレを打ったという事の方が儂らとしては嘘に思える。
 鉱人族ドゥワルフだからかもしれんが、だからこそ余計にじゃ。

 訝しむ儂らをどこへ連れていくのかと思ったが、どうやら応接室のようじゃ。
 なんで応接室? と思いつつ、入れば驚いた。

 普通の応接室はソファーとテーブル、あとは来客の目を楽しませる為に花や絵を飾るもんじゃろ。
 しかしここの応接室に飾ってあるのは数々の武器じゃった。
 立てかけられた剣や槍、ハルバード。壁には短剣や杖なんかもある。


「おおおおっ!!!」


 そこいらの武器屋以上の品質であることは一目で分かる。
 そもそもほとんどがミスリルじゃ。これだけのミスリル武器を一度に目にする事などそうそうない。


「なんじゃここは! 武器庫か!?」

「応接室という名の武器庫だな! まあ武器は飾りにしてるだけだが」

「飾りじゃと!?」

「えっと、私が今までに打ったものを飾ってもらってるんです。試し打ちとか、みんなが使わなくなった武器とか」

「使わなくなった!? これだけの武器を使わずにおくのか!?」


 と言うか、これ本当にジイナが打ったのか。
 断りを入れて剣を手にしてみれば、確かにどれも同様のクセに見える。

 しかしどれもこれも高品質もいい所。
 オークションに出ていた名工のミスリルソードよりも、下手するとこちらが上かもしれん。
 確かにこれだけの武器があるならばあの場で買おうとはせんか。

 竜の素材を手に入れてミスリル武器が型落ちになったというのは分かるんじゃが……。
 これだけ上質でまだ綺麗な武器が飾られるだけかと思うと……勿体ないのぅ。


 続いて案内されたのは外じゃ。どこへ行くのかと思ったら庭にある小屋へと足を向ける。


「鍛冶場!? 自前で鍛冶場を持っておるのか!」

「ははっ! すげえだろ! ここがジイナの鍛冶場だ! ご主人様がジイナの為に作ったんだ!」

「ちょ、ちょっとツェンさん! いや確かにご主人様が作ったのは合ってるけど!」


 そこは確かに鍛冶場じゃった。それも見たことのない炉を使った見るからに高性能の鍛冶場。
 棚に置かれた鉱石や素材は、まさしくミスリルや例の甲羅じゃろう。ここにあるだけでも一財産どころの騒ぎではない。

 おまけにこの工具は……


「これ、アダマンタイトか!? アダマンタイトの工具で打っておるのか!?」

「えーっと、竜素材が硬かったので、ミスリルじゃ加工出来なかったんですよ」

「まさか四階層でアダマンタイト鉱山でもあったのか!? こんなの市販なわけないじゃろ!」

「いえ、お宝で出たアダマンタイトヘルムを溶かしまして……」

「溶かしたぁ!? アダマンタイトヘルムをぉ!?」


 勿体ない! なんと勿体ない!
 いや、それで工具を造ったからこそ竜素材の武器が作れたんじゃろう!
 それは分かるが! 分かるがぁ……儂も欲しいのう、アダマンタイトヘルム……。

 もうここまで見せられればジイナが打った事にとやかく言うつもりもない。
 この娘は、そこいらの鍛治師以上、いや、熟練鍛冶師以上の腕があるということじゃ。
 本当にこのクランは化け物揃いじゃな。セイヤの見る目が並外れておるのか。


 それからジイナの打った作品を見せてもらう事にした。
 メイドたちは全員マジックバッグを持っていて、常に携帯しておるそうじゃ。
 それはもういいわい。セイヤが金持ちだっていうのは嫌ってほど知っておる。

 パン屋の兎人族ラビの【ドラゴンソード】。
 竜の鱗を削ったらしいが、これもまた美しい。まるで黒水晶じゃ。
 盾も素晴らしい。これは竜の甲羅から造ったそうじゃが、とてもそうは見えん。
 一枚の黒い岩を磨き上げたような曲線と光沢が素晴らしい。


 しかし儂としてはメイド長の【騎士王の斧槍】じゃな。
 あれこそジイナの苦労の結晶。試行錯誤と創意工夫がにじみ出ておる。
 デュラハンの槍がこうも形を変えるとは。トロールキングの斧もエントランスで見たが、あれを人が振れる大きさまで加工するのも大変だったじゃろう。

 こうなると儂もジイナに武器を発注したくなってくるのう。
 うちのクランの武器も担当してくれんかのう。


 ん? なに、まだ作った武器がある?
 ほうほう、その菌人族ファンガスの武器か。


 ……なにこれ。


 ……えっ、【不死王の鍬】?


 ……リッチのあの杖? 鍬になったんか? なぜ?




 ……なんかリッチが不憫になってきたのう。


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