カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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第十一章 黒の主、博物館に立つ

268:スペッキオのテンションアゲアゲ劇場

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■スペッキオ 導珠族アスラ 男
■303歳 迷宮組合カオテッド本部長


 【風声】【震源崩壊】【獣の咆哮ビーストハウル】合同での四階層到達に相次ぎ、【魔導の宝珠】単独クランでの四階層到達、そして【赤き爪痕レッドスカー】の未帰還。

 迷宮組合本部としては色々と考えなければならない件が続いたわけじゃが、やっと落ち着きを取り戻した。

 【赤き爪痕レッドスカー】の件は、本来であればわざわざ獣帝国の支部に伝える必要などないのじゃが、Sランクという事もあり一応伝えておいた。

 おそらく王侯貴族も絡んでおるだろうしのう。
 ま、儂はヤツらをSランクとは認めておらんが。

 やはり支部からの報告だけでなく自らの目で確かめてから承認すべきだったのう。今後の課題じゃ。


 ともあれ、お茶が旨く感じるようになったこの頃。

 やはりと言うか、急な話題を持ち込んできたのは【黒屋敷】じゃった。
 こいつら、儂を落ち着かせようという気がないのか……。


 渋々本部長室へと入室を促し、入って来たのはセイヤとメイドが四名。
 エメリー、フロロ、ミーティア姫、ウェルシア嬢……いや、今はウェルシア伯か。

 いつものようにセイヤが儂の向かいのソファーに座り、後ろに四人を立たせる。

 今さら言うのも何じゃが、ミーティア姫とかよく立たせるのう。
 セイヤは『勇者』なのか『女神の使徒』なのか知らんが、それでも基人族ヒュームなのにちゃんと″主人″をしている事が未だに謎じゃ。


 で、今回はどんな難題を持って来やがったのかと、嫌々尋ねる。


「今度、博物館ってのを開業したいんですけど――」

「はくぶつかん?」


 聞けばホームとしている屋敷の隣に、博物館なるものを作ったと。

 隣の屋敷がこやつらに買われたのは知っておる。ここの住居組合も儂の管轄じゃからな。
 報告を受けた時は奴隷のメイドを増やしすぎたが故に、ホーム拡張の意味で買ったものだと思っておった。

 それにしたってあのレベルの豪邸をポンポン買うとかやりすぎだとは思っておったがのう。金持ち過ぎじゃろ。


 ところが第二ホームではなく、博物館じゃと?
 どうやらメルクリオが言っておったドロップ品の展示を屋敷の規模で行うらしい。
 そして客を入れ、誰でも展示品を見る事が出来るようにする。それが博物館だと言うのだ。

 なるほど。ドロップ品を屋敷でただ展示をしていると聞いた時は、なんとも酔狂な趣味じゃと思ったが、それを見せる事で商売にするとはなかなか良い案ではないか。

 神聖魔法を無償で提供するようなこやつに商売っ気があるとは驚きじゃ。儂は評価しよう。


 少し考えただけでボロ儲け出来ると分かる。
 展示する為のドロップ品は【黒屋敷】の従来の活動として迷宮を探索する副産物じゃ。元手はタダと言える。
 まぁ本来売るべきドロップ品を売らないわけじゃから、それが経費と言えば経費じゃが。

 あとの経費はその施設を維持する為の金だけじゃろ?
 仕入れがなく『見せる事』を売るわけじゃから利益は出るじゃろ。


 ましてやカオテッドの特性上、組合員以外の民も迷宮やそこに居る魔物、そして何よりカオテッド唯一のSランククランである【黒屋敷】に関心を持っておる。【天庸】の一件もあるしのう。

 【黒屋敷】がどういう魔物を倒したのか、そのドロップを見たいという者は多いと思う。
 一般人も組合員も同様に、じゃな。


 そんなわけで儂としてはその博物館とやらをやる事には賛成なのじゃが、その報告をしに来ただけというわけでもないらしい。


「そこに展示する魔物の解説をするに当たって、迷宮や階層の解説も貼り出したいんですよ。そうしないと組合員はともかく一般人はよく分からないでしょうし」

「ふむ、それはそうかもしれんな」

「そうなると組合で売っている攻略情報を見せる事になっちゃうかと。それを相談したかったんです」


 なるほど。
 組合員相手に売っている迷宮の情報、それが金を払わずとも博物館へ行けば知る事が出来てしまうのか。

 載せる情報にもよるかと思うが、どうやらセイヤは地図や【領域主】の出現場所、その特徴なども記載したいようじゃ。

 うーむ、確かにそれは組合で情報を買う組合員が減りそうじゃのう……。
 特別大きな収入源というわけではないが、それでも減るのは痛い。小銭稼ぎたい。


「で、俺の方も色々と考えたんですけど――本部長、スポンサーになりませんか?」

「スポンサー? 儂が出資するという事か?」

「いえ、金じゃなくて情報と人員の手配をして頂きたいんです。その代わりに入館料の何割かを組合に払うという形で」


 情報とはすなわち、組合で売っている情報を博物館で見せても良いという許可じゃな。
 そして人員に関しては、博物館経営に当たって商業組合に登録する際に、従業員を手配してもらうつもりだったと言う。
 さらには警備に関しても傭兵組合に相談するつもりだったと。

 中央区の商業組合も傭兵組合も、迷宮組合本部の傘下じゃ。
 儂が各組合に通達し斡旋するのは容易い。

 なるほどそうした手間をこちらが引き受ける代わりに、博物館入館料の何割かが入ってくると。





 ……めっちゃ旨くね?





 ほとんど元手なしで、じゃんじゃん銭が入ってくるんじゃね?
 いや確かに組合で売る情報料は売り上げが減るじゃろう。
 しかしどう考えても入館料の収入の方がデカイ。うはうはの左団扇ではないか。


 儂、即決。
 スポンサーでも何でもなってやるわい。人員の手配なら任せておけい。
 迷宮の攻略情報? どんどん載せい。いくらでも載せい。


 とんとん拍子で話は進み、セイヤたちもホッとした様子。儂は高笑い。


「一度開館前に見に来てくれませんか? スポンサーなら色々と口を出したいでしょうし、実際に客を入れる前に見せておきたいんですが」

「おお、それはそうじゃな。ホームの展示も一度は見てみたかったんじゃ。どんなもんか興味があるわい」

「今は七~八割が完成してます。こっちはいつ見に来てもいいですよ」

「早めがいいじゃろうな。よし! 今から行くか!」

「えっ、仕事とか大丈夫なんですか?」


 構うもんかい! 今となってはこっちも仕事じゃ!
 博物館からの収益を考えれば、今やってる書類仕事なんかゴミじゃゴミ。
 さっさと行くぞい! ほれ! 茶を飲んでおる場合か!


 そうしてセイヤたちを引き連れ、博物館とやらへ向かう。
 組合前の大通りから北側へと伸びる枝道。豪邸が並ぶ高級住宅地じゃな。

 ここも儂の管轄である以上、来た事はあるが、【黒屋敷】のホームには行った事がない。最奥の突き当りじゃしのう。


 で、しばし歩けば見えて来る。その突き当りにそびえる白黒の豪邸。


「ほぉ~、噂には聞いておったが、本当に【黒屋敷】じゃのう」

「不本意なんですがね」

「で、隣が博物館か……ここも【黒屋敷】じゃのう」

「不本意なんですがね」


 建屋はホームと同じく白黒になっておった。しかし窓がほとんどなく、門の上にはアーチ状の看板で『黒屋敷 迷宮博物館』と銘打っておった。


「この看板ではここがどんな施設か分からんのではないか?」

「そこは事前周知と口コミで徐々に広まればいいなと」


 どんなこだわりか知らんが『博物館』という名前を変える気はないらしい。
 ま、【黒屋敷】というだけで話題には上るだろうし、別に構わんか。

 しかし博物館とやらの出来が悪いようならば、逆に悪評として話題で持ちきりになる。
 それはいかん。儂がこの目で見て、しっかりと監査せねばなるまい。

 展示とはどのようにしているのか、集客の見込みはあるのか、民や組合員に受け入れられるのか。
 それを把握し、開業していない今のうちに改善出来る所はしておかんと。

 セイヤは商売などした事がないじゃろうからな。儂が先達として、スポンサーとしてアドバイスせねば。


 そうして案内されるまま、博物館へと入った。




 結論を言おう。


 ここ、めっちゃ客入るわ。


 儂、めっちゃ儲かるわ。


 間違いない。カオテッド随一の観光スポットになるぞい。


 うん、特にアドバイスとかいらないっぽかった。こいつらヤバイ。
 よくこんな綺麗な展示をやるもんじゃ。しかも客に配慮した作りにしておる。
 見せる物、見せ方が上手い事考えられておった。

 いくつか「これはやりすぎでは……?」と思う所もあったが、【黒屋敷】の英雄譚や噂話が独り歩きしている現状、十分に受け入れられる範疇だと思う。

 仮に受けが悪くても博物館という性質上、やり直しはし易い。展示物を変えたり、配置を変えたり、順路を変えたりすれば良い。


 つまり、どう考えても流行る未来しか見えんというわけだ。
 迷宮組合本部の収入増は確定。本当にありがとうございます。

 これはなるべく早く開業せねばなるまい。

 よし! そうと決まれば人員の手配じゃな! 早速帰ったらやるか!


 ……何? メルクリオに頼んだ魔道具が来ないと開業出来ない?

 よし分かった。儂がガツンと言ってくるわい。二軒隣りじゃったな。

 止めるなセイヤ! 儂がメルクリオ経由でヴラーディオの小坊主に文句を―――


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