302 / 421
第十二章 黒の主、禁忌の域に立つ
291:一筋の光明を見逃すな!
しおりを挟む■サリュ 狼人族 女
■15歳 セイヤの奴隷 アルビノ
「あれはカモだぞ。かなり戦いやすい【領域主】だ。当たりだな」
ご主人様は上機嫌にそう言います。
私たちはサラマンダーをさっさと駆逐し、ご主人様は時間をかけてファイアドレイクと戦いました。
結果、攻撃力に関しては巨体故の重さがあるものの、危険性ではトロールキングの斧の方が上だろうと。
防御力に関してもヒュドラや蛇さんと大差なく、鱗はあるが見た目ほど硬くはない。
少なくとも魔竜剣ならば問題なく通る。但し魔法防御については試せていない。
総評としてはエメリーさん、イブキさん、ミーティアさん、ツェンさんは問題なくタイマン出来るほどだと言います。
それを聞いたドルチェちゃんとティナちゃんは「私は!?」と食って掛かりましたが、トロールキングのように何人もタイマンするわけもなく、おそらく二回目以降は数人で戦う事になるのでしょう。
ドロップ品についてもヒュドラ並みの大きさの火属性魔石。
その他【炎大蜥蜴の鱗・爪・牙】が出たそうです。やはり【領域主】という事ですね。
まさにご主人様が狙っていた【領域主】と言っても良いでしょう。
「では仰っていた通り、探索をしつつマラソンという事でしょうか」
「だな。リポップ時間は分からないがとりあえず探索しよう。最初は南東部の区画から行くか。斥候組は魔物だけじゃなく魔法陣にも注意してくれ」
『はいっ!』
そんなわけで『廃墟の街』の探索が始まりました。
ネネちゃんとパティちゃんは魔法陣を中心に探し、私とアネモネさんは<魔力感知>で魔物を探します。
いくら見通しが良いとは言え、物陰くらいはありますからね。突然出て来られても困ります。
広場に来るまでの大通りではそうでもなかったのですが、家が建っていたであろう区画の中は罠魔法陣が多い。
『黒岩渓谷』も結構な数の罠がありましたが、ここも同じように多い印象です。
本当ならパーティー単位で分かれて探索したい所ですが、ある程度かたまりながら動く感じです。
さらには相変わらず雑魚敵が多いので、そっちも対処しつつとこれは結構時間が掛かりますね。
結局この日は、南東部の探索をし、ドレイクを倒し、南西部の探索をし、またドレイクを倒して終了しました。
ドレイクの二回戦目からは侍女六人でパーティーを組み、バランスよく戦いました。
キャンプは『廃墟の街』から出てから張る事にしました。
やっぱり街の中だと魔物が多いですし、風呂小屋が置きづらいですからね。
私も入りたいですし。
探索六日目。
この日はまず、広場のファイアドレイクを倒す事から始まります。
ちなみにリポップしているかどうかの確認は、倒してから一定時間でネネちゃんが確認しています。
もしリポップしていなければ広場の敵を殲滅。リポップしていれば予定範囲を探索後にドレイク退治と。
そんなわけで、ドレイク→北東部探索→ドレイク→北西部→ドレイク、で終了です。
計六回、ドレイクと戦い、魔石を入手出来ました。
探索の成果としては、やはりと言うべきか、罠魔法陣の多さに比例して、宝魔法陣もそこそこありました。
霊薬やアダマンタイト製装備、耐熱系の魔道具とかは別にいらないんですけどね。
中には良さげなものもありまして、それがこちら。
・スキルオーブ<流水の心得>
・スキルオーブ<金剛力>
・癒しの腕輪
・瞑想の指輪
<流水の心得>はティナちゃんに渡されました。どうも攻撃や回避の動きをスムーズにするスキルのようです。
ご主人様は双剣の動きをよくする為にもティナちゃんに渡したようです。
<金剛力>は単純な防御力上昇。イブキさんの<剛力>の防御版ですね。
これはドルチェちゃんに渡されました。すっかりメイン盾ですね。
【癒しの腕輪】はイブキさんの【癒しの首飾り】と同様に徐々に回復するものです。
これはエメリーさんに渡されました。エメリーさんも前衛で戦う事がほとんどですからね。念の為。
【瞑想の指輪】は徐々に魔力が回復。スキル<瞑想>と同じ効果ですね。
これはウェルシアさんに渡されました。ウェルシアさんは<魔力凝縮>でいっぱい魔力を使うので順当でしょう。
ドレイクのドロップに関してもレアなのか何なのか【炎大蜥蜴の尾・舌】というのも出ました。
二つとも結構大きいんですけど、これ博物館に展示するんでしょうかね?
いや、展示したら腐っちゃいますかね? とくに舌。
「タンステーキ……いやしかしどうにか展示出来ないものか……しかしタンステーキも捨てがたい……あ、風竜のタンステーキ食べなきゃ」
ご主人様がブツブツと何か言っています。
食べるか飾るかで悩んでいるようですね。私は食べたいです。
結局、六日目はここで終了。『廃墟の街』を出てキャンプを張りました。
少し早めの夕食をとりながら、作戦会議を行います。
「明日からの探索だが……さてどうしようかな」
候補は四つです。
① 『廃墟の街』でのファイアドレイクマラソンを続行。火属性魔石をもっと集める。
② 『廃墟の街』の東部、『黒曜樹の森』の北部にあたる『黒い山岳』の探索。
③ 『廃墟の街』の西部、『溶岩湖』上流の『溶岩川』の探索。
④ 『廃墟の街』から火山方面に進む。
こんなとこです。
とりあえず探索を中止して帰還という事はなさそうです。やっぱりお風呂の存在は大きい。気持ちもまだ充実しています。
「ドレイクは確かに有用ですがそれだけで今回の探索を終わらせるのも勿体ない気がします」
「火山方面に進む前に左右の探索をしておきたい気持ちもありますね」
「じゃあ②か③か」
「どっちも探索しにくそうですね……」
「『溶岩川』は明るいけど足元が悪い。『黒い山岳』は暗い山登り……うーん……」
結局、探索に時間のかかりそうな『黒い山岳』から攻める事にしました。
『溶岩川』は帰りに火山方面から『溶岩湖』方面に下ればいいんじゃないかと。そんな感じになりました。
そして探索七日目、私たちは山岳地帯の方に向かいます。
見るからに広大なエリアなので、どうやって探索したらいいかと話し合いました。
パーティー単位で分けてローラー作戦(ご主人様がそう言ってました)で分散しながら探索するかと言う話もありましたが、さすがに四階層の未探索エリアで戦力分散は怖い。
初回の『黒岩渓谷』の時も結局はご主人様単騎によるごり押しになったそうですし。そう考えると侍女数人で探索するのは危険です。
ならばある程度かたまって進むしかありません。
しかし山岳に登山道などなく、順路などもありません。
暗闇の中、通れそうな道を探し、見えない目的地に向かって闇雲に進むという事になります。
さすがにそれはどうかと。せめて何かしらの手掛かりを見つけ、そこに向かって進むような探索にしたいと。
広い山岳の中、遠目にそういったものを見つけるにはパティちゃんの<探索眼>やミーティアさんの<鷹の目>が有効なのですが、二人とも<暗視>スキルは持っていません。
じゃあどうするか。何かで遠くを照らせば<探索眼>にある<千里眼>効果で分かるんじゃないか。
という事で、生まれたのがこの作戦です。
「ひゃあああ! あのっ、ほ、本当にやるんですかっ!? あたい怖いんだけどっ!」
「ご主人様の作戦に間違いなどないでございます。パティさんも頑張りましょう」
「私も頑張るでござる! MPポーションがぶ飲みの覚悟でござる!」
山岳の麓。まずはシャムさんがパティちゃんを抱え、上空へと飛び立ちます。
マルちゃんも一緒に空へ。
マルちゃんが適当な方向、山岳に向かって<聖なる閃光>を撃ちます。
その方向に私も地上から<聖なる閃光>を撃ちます。
自分で言うのも何ですが、さすがの飛距離ですね。
空と地上から二本の極太光線が交わり、その地点は一時ではありますが明るく照らされます。
そこをパティちゃんが<探索眼>で見ると。
「完璧だな。″一筋の光明を見逃すな作戦″」
「二筋ですけどね、<聖なる閃光>が二発ですから」
「パティが怖がって見逃しそうですが、光明」
「これ何発撃たせるつもりなんだ? 三階層以上に酷使するぞ?」
満足気なご主人様にエメリーさん、イブキさん、ツェンさんが突っ込んでいます。
私もさすがに<聖なる閃光>ばかりを何連発もした事がないのでどれほどやれるものなのか……。
不安半分、期待半分でしょうか。
「パティー、どうだー?」
「え、あーっと、その方向は特にないと思いますー!」
「じゃあ次は少し角度変えて撃ってくれー」
「了解でござる!」「はいっ!」
「マルティエルが辛そうならシャムシャエルと交代しろよー、空中でパティを渡す時に落とさないようになー」
「「はいっ!」」
「え、ちょ、怖いんですけど、あたい!」
さて、早めに何か見つかるといいんですがねー、どうでしょうか。
これだけ広大なエリアだから何かしらあるとは思うんですが……。
まさか何もないなんてこと……。
これも不安半分、期待半分ですね。
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる