カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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after1:五人の新人侍女

1-1:奴隷となった組合員

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「レイラッ!」
「レイラっ! 死んじゃダメです!」
「ポーションがもう……! くそっ!」

「はぁっ、はぁっ、み、みんな……私のことは……置いて行きなさい……」

「そんなっ!」
「ふざけるなレイラッ! 意地でも迷宮の外まで連れて行くぞ!」

「はぁっ、ダメよ……貴女たちが、外に出る事を第一に……はぁっ、そ、それが迷宮組合員ってものでしょ……?」


 ポーションもない、ボロボロの状態でレイラを背負ったまま迷宮を出る。
 それが組合員として間違った判断だというのは分かる。


 でも――それでも――


「カイナ……コーネリア……みんなを……頼んだわ……よ……」

「レ、レイラ……? そんな……レイラッ! レイラアアアアアッ!!!」





■カイナ 虎人族ティーガル 女
■19歳


 私たちは獣帝国にあるとある街で生まれ育った。幼馴染の六人だ。
 大きくなったらパーティーを組んで組合員になろう。そんな事をいつ誰が言い出したのかは覚えていない。
 物心ついた頃には六人で戦う『ごっこ遊び』をしていた。それが普通で、それが日常だった。
 他の女の子のようにおままごともせず、お店屋さんになる事を夢見ず、自分たちは組合員になって魔物と戦うのだと、当然のように思っていた。


 種族もバラバラ、年若い女六人のパーティー。
 晴れて組合員になってからも周りからはバカにされ、男どもに言い寄られ、そんな事もしょっちゅうだった。

 頼れる先輩もない。情報を得る手段が限られる。お金は稼げない。
 それでもリーダーのレイラを中心に六人で協力し合い、周りから比べれば遅いだろうが、着実に成長していった。


 数年経ち、Dランクになったのを皮切りに迷宮に挑戦するようになった。
 ダンバー大迷宮。獣帝国で一番の迷宮だ。
 組合員としてパッとしない今までの功績を糧に一念発起した感じだ。
 ここで一発当ててやると、あたしは意気込んでいた。みんなも少なからず。

 大迷宮を嘗めていたわけじゃない。でも想像以上だったと言わざるを得ない。
 意気込んで臨んだもののろくな成果も得られなかった。

 どうにかしなきゃと借金をして強い武具を買ったり、今にして思えば相当焦っていたのだと思う。
 地道に頑張ろうとレイラは言っていたが、あたしたちは「早くなんとかしなきゃ」って危機感ばかりが先走っていた。


 その結果がこの様だ。
 罠に掛かった上に魔物に襲われ、リーダーのレイラをうしなった。
 持っていた背嚢や武器を投げ捨てて逃げるしか出来なかった。
 後に残ったのは絶望と後悔と借金だけだ。

 どうにも出来なくなったあたしたちは、紆余曲折を経て借金奴隷となった。五人そろって。
 もう組合員として戦う事なんて出来ない。
 どこかにバラバラに売られて終わりだ。

 レイラの遺言を守る事も――。あたしは全てを諦めていた。


 しかし予想とは異なり、五人そろってカオテッドの奴隷商館に向かう事になった。奴隷商館の大店【ティサリーン奴隷商館】だ。
 おそらくそこからバラバラに売られるのだろうと思い、ダンバーからカオテッドまで五人で寄り添って過ごした。
 みんなの顔を見るのもこれが最後かもしれない。
 泣き虫のクェスだけじゃなく、あたしたち全員が涙を流していた。


「あらあらあら、こんな娘たちが五人揃ってだなんて珍しいわね~。嬉しいわ~」


 ティサリーンさんは貴族の女性のような感じで、最初は苦手だった。
 でも貴族っぽいのは見た目だけで、中身はとても親切で親しみのある暖かい人だった。
 大店の店主だからなのか、ティサリーンさんが特別なのかは分からない。
 でもあたしたちにとっては嬉しい誤算だった。

 嬉しい誤算と言えば、商館の中でもあたしたちはいつも五人一緒に居させてもらえた。
 普通こういうのって部屋を分けたり、一人ずつさっさと売ったりするもんだと思っていた。
 だってそうしないと奴隷に不必要な仲間意識が芽生えちゃうだろ? 生活費だって掛かる。
 だから一緒に居させてもらえる事が不思議だったし、何よりありがたかった。

 ティサリーンさんは奴隷であり商品であるあたしたちにも優しく接してくれる。普通に話もするし、相談も出来た。
 その中で、あたしたちはこの先どうなるのかってのも、恐る恐る聞いてみた。


「あら~、それはね~、最初から決めてるのよね~」

「決めてるって、売り先を、ですか?」

「そうそう~。五人まとめてとあるお得意様にお願いしようかな~って」

『五人まとめて!?』


 それだけはないと思っていた。
 自分で言うのも何だけど、あたしたちの値段はおそらく高い。
 年齢は十五~十九歳の女、見た目も悪くない、元組合員で戦闘も出来る。需要はありそうだし、さらに借金奴隷だからその分の建て替え費用もある。どうしたって高くつくだろうと。

 仮に買い手がつくとしても種族だってバラバラだし、五人まとめて買うなんてありえない。
 例えば『飛べる鳥人族ハルピュイが欲しいからケニだけ買う』とか、『狐人族フォクシーが希少だからクェスだけ買う』とか、そういう風になるだろうと。

 しかしティサリーンさんは五人まとめて売ると言う。


「もし五人の中に狼人族ウェルフィン兎人族ラビが居たら悩んでいたけどね~。虎人族ティーガル熊人族クサマーン鳥人族ハルピュイ猫人族キャティアン狐人族フォクシーでしょ~? だったら問題ないわ~」

「えっ、ど、どういう事です?」

「その方の奴隷に貴女たちと同じ種族が居ないって事よ~。全種族を制覇するつもりなら協力して差し上げたいじゃない~?」

『ぜ、全種族制覇!?』


 つまりその買い手はあらゆる種族の奴隷を集めていると!?
 で、私たちの種族の奴隷を持っていないから、私たちをまとめて売ろうと!?
 種族コレクター!? そんな金持ちの変態みたいなのに売られるの!?


「まぁお金持ちはお金持ちね~。多分カオテッドで一番お金持ちでしょうし~。変態ではないと思……ええと、侍女が好きだったり突拍子もない考え方をしたりはしてるけど、多分変態ではないと思うわ~、きっと」


 なんか聞くたびに不安になって来る。
 今まで五人そろって一緒に居られたから、余計にだ。


「カオテッドで一番のお金持ちというのは、つまり貴族、様、という事ですか?」

「いいえ、カオテッドに居る貴族って言うのは四区の区長さんだけなのよ~。その御方は中央区にお住まいだからね~(まぁ王侯貴族はその周辺に居るけど~)」

「はぁ、では大商人であるとか……」

「うーん、商売もしているわねぇ~。博物館って言ってね、カオテッドで一番の観光スポットなのよ~。そこの経営者ね~」

「はくぶつかん?」

「そうそう。カオテッド大迷宮の領域主のね~ドロップ品がぶわ~って展示してあるの。見事な見世物よ~、あれは」


 カオテッド大迷宮の領域主? そのドロップ品? え、それを集めて『はくぶつかん』ってトコで見せているのか?
 つまりその大商人は種族コレクターでもあって、ドロップ品コレクターでもあると?
 それでカオテッドで一番金持ちとか意味が分からない。頭が混乱してきた。


「まぁ自分で狩ってそれを売らずに並べて見世物にするだなんて、さすがセイヤ様と言うか、さすがSランクと言うか」

「ええっ!? Sランク!?」

「ん? そうよ~? カオテッドで唯一のSランククランよ~。そこのクラマスがセイヤ様って言うの」

「く、組合員なのですか!? 大商人ではなく!?」

「大商人でもあるけど本業は迷宮組合員ね~。多忙な人だわ~」


 い、いかん、頭が混乱している。周りを見ればクエスもキャメロも頭を抱えている。
 コーネリアとケニは思考を放棄したようだ。あたしも放棄しちゃいたい。

 と、とにかくティサリーンさんが私たちを売ろうとしている相手は、Sランククランのクラマスであり、カオテッドで一番の金持ちの大商人でもある……と。それで名前は『セイヤ』というと。


 Sランクとか……ホントに存在するのか。
 獣帝国だと【赤き爪痕レッドスカー】ってのが有名だったが見た事などない。
 竜みたいなものだな。強いとは知っていてもあたしたちのような一般人にとっては御伽噺の中の存在だ。

 ん? その人に買われるという事はあたしたちも迷宮に入るのか?

 ……いやいや、Sランクの探索に付き合えるわけないし、何よりあたしたちは奴隷だ。
 肉壁程度の仕事しか出来ないだろう。再び組合員になるのは諦めた方が良い。


「ホントはすぐにでも紹介したいんだけどね~、今はちょっと忙しいのよ~」

「忙しいって、そのSランクの方がですか?」

「そうそう。もうすぐ獣帝国軍とカオテッドの戦争が始まっちゃうのよ~」

『ええっ!?』


 せ、戦争!? 獣帝国とカオテッドが!?
 それはつまり帝都の軍隊が攻め込んで来ると!?
 あたしたちがカオテッドに来て間もないのに!? ここが戦地になるの!?
 って言うかティサリーンさんのんびりしすぎでしょう!?


「だ~いじょうぶよ~。もうじき戦争は始まっちゃうけど外が騒がしいとかもないでしょ~? カオテッドに住んでる人たちはみんな分かってるのよ。結果がどうなるか、なんて」

「えっ、ど、どういう事です?」

「セイヤ様の率いるSランククラン【黒屋敷】はカオテッドの英雄よ。彼らがここに居るのに戦争を仕掛ける獣帝国がバカよね~。何万の軍勢であっても【黒屋敷】の二一人に敵うわけがないのに~」

「なっ……!?」


 何万もの獣帝国軍に勝てる二一人。それがSランククラン【黒屋敷】。
 普通に考えればバカなのはカオテッド側の方だ。
 でもティサリーンさんは当たり前のように言う。勝つに決まっていると。


 あたしたち五人はそれから不安な日を過ごした。
 与えられた情報量が多すぎるというのもある。意味不明すぎるというのもある。戦争の件もそうだ。

 その全てが解消されるのは少し後の話。
 ティサリーンさんの言う事は正しかったが、意味不明すぎるのは全てを知った後でも同じだった。

 ……こんなの理解しろって方が無理だ。なんなんだこのご主人様・・・・は。



=====

■カイナ 虎人族ティーガル 19歳 162cm
 サブリーダー的ポジション。斧使いの前衛。一人称「あたし」。大雑把な性格。
■コーネリア 熊人族クサマーン 18歳 178cm
 サブリーダー補佐っぽい。中盾直剣の前衛。一人称「自分」。騎士に憧れているおバカ。
■ケニ 鳥人族ハルピュイ 18歳 170cm
 飛べる弓使い。一人称「私」。のんびり屋で能天気。「ほぇ~」とボケている。
■キャメロ 猫人族キャティアン 16歳 164cm
 斥候。短剣で遊撃。一人称「ボク」。元気活発だが内心は真面目。
■クェス 狐人族フォクシー 15歳 160cm
 火魔法使い。一人称「私」。怖がりテンパリ系生真面目。

ちなみにレイラは20歳の獅人族ライオネルで剣士でした。非常に頭が良く、世話好きで仲間に甘いリーダータイプ。

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