カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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after2:海王国に行こう!

2-13:混沌の街にただいま!

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■セイヤ・シンマ 基人族ヒューム 男
■23歳 転生者


 王都へと帰還した日の夕食、出されたのは俺たちが提供したシーサーペントだったが、なかなか良い味だった。

 魚と鳥肉の中間、淡泊だが濃厚な旨味、そんな感じ。
 おそらく海王国ならではの調味料を使っているっぽいので、ヒイノとも相談し、王都観光の際には探して買い漁ろうと決めた。


 サフィアは相変わらず侍女連中と一緒だ。特にサリュを始めとしたちびっ子軍団と仲が良い。
 子供同士が遊んでいるようで非常に微笑ましい。

 せっかくの帰郷だというのに大好きな妹にあまり相手にされないラピスだったが、残念に思うどころかサリュたちと遊ぶサフィアの様子を見て同じように微笑ましく見ていた。
 なんなら一緒に交じって遊んでいた。まぁ皆まで言うまい。

 サフィアは色々な話が聞きたいらしく、特に自分の知らない世界――大陸の事についてなどに興味津々。

 中でもリンネの住んでいたエンディール砂漠や、はるか北方、マツィーア連峰の麓にあるらしい竜人族ドラグォールの里の様子などを聞いては喜んでいた。
 ラピスも新しいものや行った事のない土地を旅するのが好きだったりする。
 そう考えると「ああ、姉妹っぽい所もあるんだなー」と。妙に納得してしまった。


 帰還の翌日、俺たちは王都の中層を見て回る。主に買い物だな。
 当然、サフィアと近衛兵も一緒だ。
 陛下からは「シーサーペントを頂いたのでお返しにお好きなものを」と言われたが、普通に買い物させて頂く。
 シーサーペントは十三体も居る中での一体だけだしな。魔石も抜いたし。お返しされるほどのもんじゃない。


「買い物って食料品や雑貨とかでしょ? じゃあこっちの通りがいいかしらね」


 道案内は第一王女殿下である。
 下手すると近衛兵よりも下町に詳しいと言う。暴れ〇坊将軍かな?
 ともかくラピスの先導により王都の中を回りつつ、目についたものを買う。

 俺としては食料品ばかりが気になるが、侍女たちは貝殻や珊瑚で出来た小物が珍しいとかで、自室に飾る用のものをお小遣いから買ったりしていた。
 別に俺がまとめて買ってもいいんだが、結構渡しているお小遣いもこういった時じゃないと使わない侍女も多い。
 だから好きに買わせる。屋敷で共用と言われれば俺が出すし。

 サフィアは自分が住んでいるにも関わらず中層に来る事自体があまりないようで、来るにしても気軽にショッピングなど出来ない立場だ。本来、王女様ってのはそういうものだ。どこかの第一王女様とは違う。

 そんなわけで侍女たち同様に結構楽しんでいて、サリュとかとお揃いの小物を買ったりしていた。その金はラピス持ちだ。
 こういう時くらいお姉ちゃんに買って貰いなさい。うんうん。





「皆さん、また遊びに来てくださいっ!」

「サフィアちゃんも是非今度カオテッドに遊びに来て下さい!」

「ん。サリュとかみんなとお手紙も出す」

「はいっ!」


 王都観光の翌日、俺たちは帰路につく。
 サフィアはかなり寂しそうだがラピスが抱きしめたり、仲良くなったちびっ子軍団とわちゃわちゃしている。
 どうやら文通友達になりそうだ。
 ラピスが海王国に出す報告書よりも頻繁な文通のやりとりになりそうな気がするのは俺だけだろうか。

 俺は俺で陛下とご挨拶だ。


「陛下、お邪魔しました」

「何もお構い出来ず申し訳ありません。サフィアの面倒も見て貰い、また【水竜の島】の魔物も排除して頂きました。頂いてばかりで恐縮です」

「いえ、こちらも好き勝手にやってしまったので」


 口調はアレだが普通に話せる感じにはなったと思う。お互い。
 陛下は気苦労している親戚のおじさんって感じで親しみが持てる。
 少なくとも樹界国や魔導王国より全然マシだ。

 陛下はラピスにも声を掛け、俺の侍女として励むように、そして報告書はマメに送れと口酸っぱく言っていた。
 しかしラピスは適当に聞き流し、サフィアと絡んでいた。しばらく会えなくなるからと。サフィア成分を補給しておくと。

 こりゃ報告書は出さなそうだな。適度にこっちが突いてやる必要がありそうだ。
 陛下もご苦労お察しします。


 ともかくそうしたお見送りを受けて王都を出発。
 翌日には港町アイオライトへと着いた。

 一泊だけのつもりだったが、ここを逃すとしばらく海に来る事はないだろうと、行きと同じように砂浜で遊びまくった。結局二泊だ。
 もちろん海産物も買えるだけ買ったし、悔いのないように思いっきり過ごした。


 今回の船旅――特に【水竜の島】への道中でろくに戦えなかった侍女たちは、改めて泳げるようになろうと練習していたな。
 特にネネ一門(弟子一号と二号を含む三人)は揃って練習に励んでいた。
 結果、泳げるようになったのかは知らん。

 ネネあたりなら水面を走る練習をした方が良いのではないかと思う。某海王さんがやってたやつな。ティナとかも出来るんじゃないかと。まぁ言わないけど。


 ちなみに王弟のラッセルさんが言うにはすでにビーチボールの試作を作ろうとし始めているらしい。
 それが出来たら浮き輪も作るそうだ。まぁ素材はさすがに風竜というわけにはいかず、別の魔物で代用するらしいが。

 樹界国の一部のような街でもあるので、意外と樹界国の人も来るらしい。
 海王国の国民なら全て泳げるから必要ないのだろうが、そういった観光客相手に商売をするつもりなのかも。


 一方でビーチフラッグはすでに遊び始めているらしい。
 子供の遊びから衛兵の訓練まで行われているそうだ。楽しめて競いやすいからな。道具も特にいらないわけだし。


 そんなわけでラッセルさんからも感謝されつつ、二泊三日の滞在を終えた。
 そこからは大河に入り、ひたすら北へと進む。
 時に侍女たちが櫂を漕ぎ、時に帆に風を当て、時にラピスが引っ張って、遡上とは思えない速度で川を上る。

 結果、大河に入ってから七日でカオテッドまで戻って来れた。行きより一日増えただけだな。
 よく頑張ったと褒めておこう。

 と言うより、みんな屋敷の風呂が恋しかっただけのようだが。
 一応甲板に探索用の風呂小屋を出して使ってはいたんだけどな。やはり屋敷の風呂には敵わないと。まぁ気持ちは分かる。


 カオテッドの外壁を見るだけで歓声を上げる侍女たち。すっかり自分たちのホームタウンって感じだな。
 とは言え船旅の最中も誰もが楽し気だった印象が強い。

 やっぱり適度に旅行とか遠出とかした方がいいんだろうな。慰安目的で。それも主人の務めなのだろう。そんな事を実感した。


 今回の旅に関しては慰安目的ではなかったが、主目的であった陛下へのご挨拶は行えたし、ついでとばかりに水竜を討伐できた。
 シーサーペントの魔石十三個も何気に貴重だ。
 食材も海産物が手に入ったりと、思った以上の収穫になったのは間違いない。

 さて、屋敷に帰ったらやる事いっぱいだな。
 水属性の魔竜剣はジイナとユアに頑張ってもらわないと。
 早く迷宮に潜りたがっている侍女たちも居る。おそらく明日から行くんだろうな。
 博物館も心配だし……あ、水竜の展示をするか検討しないとな。風竜と並べるわけにもいかないし。スペース的に。


 ともかく一つずつ片付けていきますか。
 俺は本部長に報告からだな。


~After2 Fin~

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