カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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after3:纏いし炎は最強の証

3-7:白炎の愉悦

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■セイヤ・シンマ 基人族ヒューム 男
■23歳 転生者


 あー、グレンさんめっちゃつえー。

 ステータスで圧勝してるはずなのにな。俺の動きを捉えて、それに対して剣で捌くと。
 経験と技術の差がデカすぎると思うんだけど、そこをステータスのゴリ押ししか出来ない俺が競り勝つってのは厳しい。
 まぁガーブとの戦いでも感じた事だけどな。だからスキル多用と黒刀に頼ったわけだし。


 ガーブは武蔵を連想させたけどグレンさんは小次郎っぽい。物干し竿的な長剣。もちろん西洋剣だけど。

 ガーブほど動き回らず、俺の攻撃に対して剣捌きで対応しつつのカウンターといったスタイルだった。
 でも俺の攻撃・敏捷が乗った剣戟をあそこまで見事に捌けるものかと。
 おかげでこっちの体勢が崩れたり、流されたり、カウンター食らいそうになったりと大変だった。


 エメリーとイブキも戦わせてもらった。グレンさんが望んだ事だけど、こっちにとっても渡りに船だ。

 結果はグレンさんの勝ち。スキルやら魔剣やら使えていれば別かもしれないけど、それはグレンさんも同じ事だし。
 二人とも俺との模擬戦はやっているけど、それ以上の何かを得られたと思う。


「イブキは基本に忠実だな。好みの剣筋だ。しかし一撃の重さに賭ける部分が大きい。それはそれで悪くはないが、それが捌かれた時の対処が甘い」

「はい、仰る通りです」

「エメリーは凄まじいな。多肢族リームズと戦った事はなかったが四本腕がこれほど戦いにくいとは思わなかった」

「ありがとうございます。それでも対応されてしまいましたが」

「セイヤと同じく経験の差だな。剣筋は読みやすく、四本とは言え片手で振る分どうしても軽くなる。連続攻撃するにしても変化が欲しい」

「はい」


 という事らしい。俺は彼女たちの主人ではあるが、戦い方を教える事は出来ない。
 もどかしい気持ちもあるが、それ以上にありがたいと思う。


「セイヤ、良ければセキメイも戦わせてやってくれんか?」

「わ、私もですか!?」

「うむ、セキメイも私以外にまともに仕合える相手が居ないだろう。それでは修行にならん。しかしここならば相手に困る事はない。しかも戦い方の違う強者がゴロゴロと居るのだ。こんな機会は早々ないぞ」


 セキメイは個人でAランク。いや、グレンさんがSランクって聞いた時も「パーティーかクランかな?」って思ったんだけど、どうやらソロらしい。それでSランクとかAランクとか凄すぎる。よく迷宮に一人で潜れるもんだ。

 そんなセキメイも当然剣士としてかなりの高みに居る。
 魔物相手ならばともかく対人となると相手に困ると、それは確かにそうだろうな。

 で、結局やる事になったんだが、セキメイの力量を知った上で相手を選んだ方が良いだろう。
 セキメイ的にも「父上とあれだけ戦えたセイヤ殿やエメリー殿、イブキ殿と戦うんですか!?」って感じになってたし。

 そんなわけで検証役としてキッチンのヒイノを呼び出した。


「えっ……その、彼女は料理長と言ってなかったか?」

「料理長ですけどうちの盾役タンクです。セキメイの攻撃を受けて計るならば適任かと」

「ふむ……兎人族ラビ盾役タンクというのもあまり聞かないが……」


 グレンさんもセキメイも訝し気。そりゃそうだろうな。昼食の時に料理長として紹介したから。
 でも魔剣の性能を抜きにしても、盾受けならば一番上手いと思う。
 防御ステだけ見ればドルチェがメイン盾なんだけど、上手さはヒイノ。魔剣の性能を含めればドルチェ以上は確実だ。

 ともかくヒイノには攻撃禁止で盾受けだけに専念するよう指示を出した。
 一方でセキメイには本気で攻撃しろと。何なら纏炎族シマァの炎を使っても良しと。
 ヒイノの装備は『炎岩竜の小盾』で炎耐性あるし、いざとなれば魔剣で防げばいい。
 渋っていたセキメイにもそういった説明をした。ヒイノは結構乗り気だ。


「はあっ!」

 ――キンッ! キンッ! キンッ!


 そうして始まった模擬戦めいた何か。セキメイは大剣ばりの長さの長剣を操り、ヒイノに連撃を仕掛ける。
 しかしヒイノはそれを冷静に対処。受けるよりも逸らしたり<パリィ>したりと無難に捌く。

 結局、ヒイノはほとんど動く事はなかった。下がらされる事もない。これぞ盾役タンクだな。


「見事なものだな。あれを崩すのはセキメイには無理だろう。これが兎人族ラビの料理長と言うから恐ろしい話だ」

「元はパン屋だったんですけどね」

「どんなパン屋なのだそれは」


 グレンさんとそんな話をしていた。
 で、攻め疲れたセキメイを置いて、ヒイノに感想を聞いてみる。


「えっと、剣の扱いの巧さだったらイブキさんに勝るとも劣らないと思います」

「だろうな」

「総合的な強さで言えば……うちの前衛攻撃陣だと、カイナちゃん、コーネリアちゃん、キャメロちゃんには勝ちますね。近接だけに限ればパティちゃんにも勝てるかもしれません。リンネちゃんだとどちらが上か悩ましい所ですかね。ポルちゃんやラピスさんは省きますけど」


 恐ろしい話だな。
 <カスタム>してるうちの連中に勝てるってだけで、そこいらの組合員よりも断然強い。
 カイナやコーネリアにしたって【魔導の宝珠】の前衛とタイマンしたら勝てると思うし。

 と、そんな感想を持っているのは俺たちだけで、当のセキメイとグレンさんは「それしか勝てるのが居ないのか」と驚いている。

 そりゃそうだろう。長年研鑽を積んできたんだろうし、師匠はグレンさんなわけだし。
 グレンさんはもちろんだがセキメイも敵なしの状態だろうから。剣の達人であるのには違いない。グレンさんが居るから霞むけど。


「セイヤ、すまないがしばらく間借りするわけにはいかないか? もちろん金は払う。出来るだけここで鍛錬させて欲しいのだが」


 グレンさんからそんな声が。
 こっちとしては有り難い話。俺の方からお願いしたかったくらいだ。
 グレンさんは俺たちにとっての師匠になるし、セキメイの技術もこちらが学ぶ所は多いだろう。
 まぁ向こうからしても良い修行相手だろうしな。ウィンウィンの関係だ。


「うちの客間で良ければ使って下さい。食客って感じで歓迎しますよ。金はいらないんで、代わりにうちの連中に指南をお願いします」

「ははっ! 願ってもない話だ。有り難く受けさせて頂こう」


 よしよし。<カスタム>以外の部分で成長出来る機会だ。これは有効に使わないと。
 俺も真面目に剣技を身に付けないとな……どうにも不安があるが、主人としていい恰好はしたい。

 となると二人が屋敷に居座る前提で色々と考えないと。


「ヒイノ、しばらく食事は二人分追加な。カトラリーとか確認しておいてくれ」

「はい。今日は歓迎会ですね。例のお肉使います」

「エメリー、備品とか確認しておいてくれ。客間も使えるように」

「かしこまりました」

「あ、グレンさん、客間は二人同部屋でいいですか? 分ける事も出来ますけど」

「気にしないでくれ。私たちは寝床さえあれば納屋でも構わん」


 一緒に住む感じだと、俺の素性とか<カスタム>の事を隠しつつとなるだろうが、そこにさえ気を付ければ大丈夫かな。
 夕食後の侍女たちの<カスタム>は俺の部屋で個別にやる事にしよう。


 そんな事を考えていると、入口の方からぞろぞろと侍女たちがやって来た。
 どうやら迷宮組が帰って来たらしい。もうそんな時間か。模擬戦に熱くなってたな。


「なっ……! 竜人族ドラグォール天使族アンヘルだと!?」


 グレンさんとセキメイはツェンとシャムシャエル、マルティエルに驚いた模様。わりとよくある反応だ。
 竜人族ドラグォール基人族ヒュームの侍女奴隷とかおかしいし、天使族アンヘル基人族ヒュームを保護する立場だ。
 おまけにどちらも閉鎖的な種族だそうだから、お目に掛かる事なんて早々ない。

 まぁ侍女の紹介は改めて夕食時にでもした方がいいだろう。全員集合している時にな。

 それはともかく、ツェンや天使組よりも俺はグレンさんに紹介しておきたい。


「ティナ、ちょっとこっち来い」

「はーい」


 ビュンと俺の隣にやって来た。


「ティナ、この人たちはしばらくうちのお客さんだ。纏炎族シマァのグレンさんとセキメイ」

「はじめまして! ご主人様の侍女のティナです! 兎人族ラビの八歳です!」

「あ、ああ、グレンだ。こっちは娘のセキメイ。よろしく頼む」

「よ、よろしく……」


 俺はティナの頭を撫でながらグレンさんに言っておく。


「グレンさん――この娘がガーブの【剣聖】を継ぐと思います」

「……ほう」


 グレンさんの目がギランと光る。
 セキメイは「はあ?」という顔。
 ティナは「?」となっていた。


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