カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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after3:纏いし炎は最強の証

3-9:訓練場が盛り上がる日常

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■ネネ 闇朧族ダルクネス 女
■15歳 セイヤの奴隷


 グレンとセキメイが来て、屋敷の雰囲気は少し変わった。
 一応お客さんだから侍女らしくしないといけない時も多いし、ご主人様が別世界から来た事とか、女神様と会った事とか、カスタムの事とか、屋敷で喋るにしても制限がある。

 まぁ私たちは奴隷契約で滅多な事は言えないようになってるけど、ご主人様が口を滑らせそうになったら止めないとね。


 とは言ってもグレンは気風の良いおじさんって感じもするし、師匠的な感じでもある。
 セキメイにしても固い感じがだんだん和らいできているというか、結構侍女と普通に喋っている事が多い。普通の友達って感じだ。

 だからそこまで気にする必要はないんだけどね。それでも特にグレンは男の人だから。
 ご主人様以外の男の人がこの屋敷に住んでいるっていうのが不思議な感覚だ。そこら辺で雰囲気が違うんだろう。


 で、博物館の改装準備とかも忙しいんだけど、同時に訓練場が賑やかになっている。
 もちろん迷宮に潜るメンバーも居るんだけど、今は訓練場の方が熱い。特に近接担当の面々は。

 その中にはもちろん私も入る。今も<気配察知>で警備しつつ、訓練場でみんなの様子を見ている。

 私はセキメイには勝ったけどグレンには負けた。
 グレンはご主人様と初見で打ち合ったって言うから当然かもしれないけど、私の最高速でも案の定捌かれた。
 んで、気が付けば長―い剣が私の首筋に触れていた。私の剣が流されて、切り返しをくらったんだね。とんでもない剣捌きだ。

 やっぱ真正面から戦っちゃダメだね。私は暗殺してナンボだ。
 仮に【魔剣パンデモニウム】で死角から斬りつけても多分防がれるんじゃないかな。正面から戦った場合。なんとなくそう思う。

 それでも私にとって有意義な修行相手には違いない。
 ご主人様や侍女の誰とも違う剣だし、経験があるからか、身になるアドバイスをくれたりする。
 侍女全員と一通り戦ったらしいけど、みんなにそれぞれアドバイスしてるらしい。ナイス師匠っぷりだね。
 あ、もちろん前衛陣のみね。サリュとか魔法使い組は模擬戦してないし。ミーティア、ラピス、ポルとかはやってたけど。


 ポルと戦った時が面白かったなー。
 いや、もちろんグレンの圧勝なんだけどさ、くわで戦う事に驚いて、どう捌いていいのかも悩みながら戦ってた。
 グレンの長い経験をもってしても鍬相手は初めてだったらしい。

 ちなみに私の弟子二人だけど、グレンはもちろん、セキメイにも負けている。
 パティはセキメイより全然速いんだけど、セキメイはその前にご主人様とか私とかと戦ってるからね。ある程度速さに慣れた所でパティと戦ったから対応出来てしまった。

 速さに順応されると私やパティのような『敏捷特化型』は弱い。
 私がエメリーに手も足も出ないのと一緒だ。それでも私はセキメイに勝てたけど、パティは無理だった。

 キャメロの敏捷値なんかパティ以下どころかラピスとかといい勝負だからね。問題外です。ボロ負けです。

 しかしパティやキャメロにとって非常に良い模擬戦相手には違いない。
 さっきも言ったけど侍女に居ないタイプだし、技量はイブキ並みに優れていると思う。イブキほどのパワーはないけどそこそこ速いし。

 そんなわけで弟子の負けっぷりを見つつ、警備しつつ、私もグレンに教わろうかなーと順番待ちしているのだ。


 今は忙しい合間を縫って、エメリーがグレンと戦っている。
 グレンは炎を使わないし、エメリーも【魔剣グラシャラボラス】や魔竜剣の魔法を使わない。
 それでもマジックバッグを利用した換装で、四本腕から怒涛の攻撃を仕掛けている。もちろん素早く動きながらだ。

 距離が縮まればショートソードや盾を出す。少し開けば大剣や槍やハルバード、さらに開けば<投擲>だ。
 変幻自在。魔剣や魔法がなくてもエメリーの強さは尋常じゃない。

 それを捌いて一瞬の隙を見逃さずに勝っちゃうグレンがとんでもないんだけど。あれで<カスタム>なしとかホント規格外だ。


「うむ、やはりエメリーとの戦いは面白いな。セイヤとも違った楽しさがある」

「私にはこの戦い方しかありませんので」

「他の誰に出来る事ではない。誇るべき――そしてより精進するべきだ」

「ありがとうございます」


 エメリーが負けて終わった。次はツェンらしい。私はまだだなー。
 のんびり見ているとセキメイが近づいて来た。どうやら私の弟子たちは一蹴されたらしい。


「ん。おつかれ。休憩?」

「ああ。素早い相手ばかりで目と頭が疲れるよ。本当にこのクランは……いや、ネネ殿が一番速いのだろうが」

「んー侍女ならね。ご主人様は私より速いし」


 はぁ、と頭を抱えている。
 セキメイも<カスタム>なしなのにかなり速いとは思うけどね。それ以上に反応速度とか剣速とかが速いからすごい。
 だからパティとか【敏捷】で勝ってても負けちゃうんだけど。


「しかしエメリー殿はすごいな。父上との模擬戦を見る限り、侍女の方々の中でも別格に見える」

「ん。エメリーは侍女の中で一番強い。侍女長だし」

「強いから侍女長というわけでもないだろうが……よくもあれだけの武器を使いこなせるものだ。私とて長年鍛錬しても剣以外はさっぱりだ」

「んー、エメリーは頭が良いし、極端に器用だから」

「それはそうなのだろうな。これで生産特化の多肢族リームズだと言うから恐れ入る」


 ご主人様と出会う前は武器を持った事もないって聞いたけどね、エメリー。
 そこまで言っちゃうと<カスタム>の話になりそうだから言わない。


「エメリー殿も……というか侍女の方々は皆、セイヤ殿が鍛えられたのか?」

「んー、元々戦えてた人も居るけど大体はそう。ご主人様はみんなを鍛えるの上手いし」

「指導者のような気質には見えないのだがな……強さは分かるし、確かに主人ではあるのだろうが……」

「んー…………ご主人様は基人族ヒュームだから周りに喧嘩を売られたりする。だから私たちも自衛能力を求められる」

「なるほど。弱く見られるが故に、という事か」


 誤魔化せた……?
 確かにグレンとか見ちゃうと、ご主人様は『師匠』って感じじゃないよね。
 技量がないって自分でも言ってるし、ホントに侍女の皆を鍛えられるのかって思われちゃう。

 多分メルクリオとかも怪しんでると思う。
 で、結局は『女神の加護的な何かなんだろう』と思われている。否定は出来ない。


 そんな感じでセキメイと並んでグレンとツェンの模擬戦を見ていた。
 ツェンは魔竜拳だけど魔法禁止。それでも普段の戦い方とほとんど変わりないからかなり強い。
 剣士セキメイとの戦いに慣れているグレンにとってはやりづらいだろう。剣長いし。超インファイトで来るし。

 そんな折――


「おらあ!!! ……あっ、やべっ!!!」


 近寄らせまいとグレンが振るっていた剣を何とか弾き、被弾覚悟で突っ込もうとしたツェンは、グレンの剣の横腹を思いっきり殴った。

 ガインと嫌な音が訓練場に響く。


「ああー! すまん! やっちまった!」

「いや、私の捌きが甘かったな。もう少し角度をつけるべきだった」


 アダマンタイト製のグレンの剣はかなりの業物だ。でも魔竜拳の方が強い。
 エメリーの武器も、イブキの大剣も、ご主人様の刀だってそれで捌いていたわけだけど、たまたまなのか相性が悪かったのかついに壊れたらしい。
 完全に剣が曲がってるね。こりゃ酷い。

 ジイナに言えばいいのかな? それともご主人様?



■ジイナ 鉱人族ドゥワルフ 女
■19歳 セイヤの奴隷


 博物館改装に伴う私の仕事は色々とあるが、それでもさほど忙しいという事もない。
 私なんかよりエメリーさんの方が数倍忙しいだろう。

 それよりもグレンさん、セキメイさんとの模擬戦が頻繁になった事でメンテナンスを行う方が忙しい。
 なんせ模擬剣はミスリルだからね。特にセキメイさんとの模擬戦の場合は真剣を使う事を禁止されている。
 魔力を籠めないにしても魔剣やら魔竜剣を向けていいのは事故が起きないと判断出来るグレンさん相手の場合のみだ。

 刃のない模擬剣とは言え、ミスリルはミスリル。
 普通の組合員なら模擬剣としては破格の性能だろう。

 しかしうちの侍女みんなからすると不足も不足。
 ミスリル=普通の魔法剣<アダマンタイト≦竜素材の武器=魔竜剣<魔剣<神器 って感じだし。
 子供が木の棒で剣士ごっこをやっても大丈夫だけど、本当の剣士が木の棒を使えば折れちゃうでしょ? それと同じ。

 すでにみんなのステータスは<カスタム>によってミスリルでは不十分な所にきている。
 まぁそれでも扱える為の技量だったり、それを磨く為の訓練だったりもするんだけど。
 ともかく模擬剣のメンテナンスが一番多い。


 ただ、その日は模擬剣以上に厄介なメンテナンス依頼がきた。
 どうやらツェンさんがグレンさんの剣をおもいっきり殴っちゃって曲げちゃったらしい。

 いや、まあ、ツェンさんは魔竜拳だしアダマンタイトの剣に勝つのも分かるんだけどさ……あの立派な剣を曲げる? 普通。

 私としてはグレンさんの剣を弄るのが嬉しい所もあるんだけど、さすがツェンさんと言えばいいのか、何と言うか……。


「まさかジイナがアダマンタイトまで扱えるとはな。いや、竜素材の武器もあるし【黒屋敷】の専属鍛冶師というからそれはそうなのかもしれんが……」


 そりゃ鉱人族ドゥワルフの鍛冶師でもアダマンタイトを叩ける人は少ないって聞くからね。ましてや女の鍛冶師なんて鉱人族ドゥワルフじゃ居ないはずだし。

 で、グレンさんの剣――特注であろう大剣ばりに長い剣に見惚れつつ、打ち直し、修繕する。
 それだけで終わりだと思っていたら、またご主人様が余計な事を言い出した。


「やっぱグレンさんとセキメイにも竜素材の武器をあげちゃった方がいいかな」

「む? さすがにそれは烏滸がましいと思うが」

「これだけ模擬戦に付き合ってもらってるしうちの侍女たちの武器はみんな竜素材ばっかですからね。同じような事が今後起きないとも限りませんよ。だったら用意しちゃった方がいいでしょう」


 つまり私にグレンさんとセキメイさんの剣を新たに打てと? 長~い剣を二振りも? 竜素材で?






 ……非常に魅力的な仕事依頼だ。

 で? で? どの竜使います? 魔竜剣にします?


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