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(31)味方は誰だ?
しおりを挟む会長とその場で別れ、さっそく東金先輩に話を聞きに行こうと思い、3年の教室の方へ向かう。教室にあった荷物はいつの間にか保健室に届けられていたので、話を聞いたあとそのまま帰っていいだろう。
(色々あって遅くなっちゃったから東金先輩もう帰っちゃってるかもしれないな。)
- 3年B組
教室を覗き込むと数人が残っているだけで、東金先輩はいないようだった。しかし隆弘先輩がいたので、話を聞いてみようと考えた。
「隆弘先輩少しいいですか?」
「藤岡か。いいよ。ちょうど帰るところだし一緒に帰る?」
「あっ!いいんですか?じゃあお言葉に甘えて!」
荷物を持った隆弘先輩と廊下を並んで歩く。夕方のオレンジ色の光が校舎内を優しく照らす。俺は隆弘先輩の横顔を盗み見る。
(やっぱりそっくりだな……。隆弘先輩と立夏先輩は双子なのかな?)
「それでなにか用事か?」
「あ、聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと?」
「あの隆弘先輩は北原さんって知ってますか?」
「それは去年卒業した方?それとも学園長の方?」
「えっ!いやどっちにも関係ある話ではあるんですけど……学園長?」
「そう北原湊だったらこの学園の学園長だよ。」
「へぇー。そうだったんですね。」
(式典はなぜか学園長は出てこないし、名前も聞いたことなかったし知らなかったな。)
「それで北原一族に関することってこと?」
「はい。もし知らなかったら別にいいんですけど、別荘の位置を知りませんか。可能ならば本物の転校生がいる別荘を。」
「……」
(東金先輩が知っているなら隆弘先輩が知っていても不思議ではない。思わず直球で話してしまったが……。)
「どうして知りたいんだ?」
「……大切な人だからです。それにもう1人の大切な人の居場所に繋がるかもしれないからです。」
「それに関わることで自身に危険が及ぶとしても?」
「はい!それに俺が逆の立場だったときに、あいつらは絶対に助けにくると思うので。」
まるで睨み合いのように向き合う。目をそらしたら負けな気がしてまっすぐ隆弘先輩の目を見る。
「……わかった。」
「……!それじゃ!」
「だが悪い。俺は本物の転校生の居場所は知らない。でも取引によく使われる別荘は知ってる。だからそのいくつかの別荘の位置と室内図を送るよ。」
「取引……?」
「悪いが詳しくは言えない。自分の目で確かめてくれ。たぶんその本物の転校生の位置は葵なら知ってると思うが……。」
「やっぱり東金先輩は知ってるんですね。この間そんなようなことを教えてくれたんです。」
「……なるほどな。」
「どうしました?」
「実は葵は退学したよ。」
「えっ!?どうして!?」
「……どうしてだろうな。寮についたな。とりあえず資料は送るが、それ以上のことは協力できない。」
「わかりました。ありがとうございます。」
(東金先輩は俺に情報をもらしたから……?あれだけでもいけないことだったのか?)
「……立夏をよろしくな。」
「はい?あぁ、良くしてもらってます!」
なぜか隆弘先輩は嬉しそうに笑った。それはまるであの日、俺の頭を撫でてくれた東金先輩みたいだった。
・
・
・
- 寮
ピコン!
隆弘先輩からメッセージが送られてきた。別荘の位置とそれぞれの室内図だった。それと会長や東城先生からもらった別荘の情報を照らし合わせる。
もともと候補は20軒ほどあったが、みんなの資料のおかげで4軒に絞ることができた。だがすべてに侵入するわけにもいかないので、あたりをつけなければならない。
(救出するにしても、ガードとか居そうだよな……。それに奏多がどういう動きをするかわからない。明らかに敵ではあるな。土日だと奏多が別荘にいるかもしれないから……平日に侵入?)
……プルル……プルル
「はい、藤岡です。」
「幸輝?私ー!」
「彩ねぇ!どうした?俺に電話とか珍しいじゃん。」
「うん。本当は雫にかけようと思ったんだけど、しばらく連絡つかないんだよね。幸輝……雫は無事なんだよね?」
「……ごめん。」
「え?……もしかして……。」
「うん。用事があるって言ってそのまま連絡が途絶えた。」
「……雫まで……?」
「たぶん響と同じ事件に巻き込まれてると思う。」
「そっか……幸輝は大丈夫なの?」
「大丈夫。それに雫は取り戻すよ。……もちろん響もね!」
「無理しないでね……なにか見当はついてるの?」
「実はとある別荘にいるんじゃないかって。」
「別荘?」
「うん。たぶん学園長が所有してる別荘なんだけど、いくつか候補があってわからないんだ。」
「……もしかしたら……!」
「ん?なにか知ってるの?」
「いや別に何も知らないんだけど、雫の場所だけはわかるかもしれない!」
「本当に!?どうして?」
「実は響がいなくなってから、身近な人のスマホにGPSアプリ仕込んでたの。」
「GPS!ん?それは俺にも?」
「もちろん!」
「え、気づかなかった。」
「うん。気づいてなさそうだなって思ってたわ。そんなことはどうでもよくて、これでわかるかも!」
「見てみてくれないか?」
「わかった。雫のスマホの電源が落ちてなければわかるはず。」
そういって彩ねぇはスマホでアプリを開いたようだった。
しばらくしてからメッセージに位置情報が送られてきた。見覚えのある地図で、やはり絞った4ヶ所のうちの1つだった。雫のスマホの電源が切られていなくてよかった。
「どう?だいたいの位置情報はわかると思うけど……」
「めっちゃ助かる!これで潜入できるよ。」
「気を付けなさいね。」
「ありがとう。そうだ。この光の上学園の前副会長と連絡とっといてもらえる?」
「前副会長?」
「そう!雫が連絡とってたみたいで、たぶん味方だ。」
「わかった……どうやって連絡とればいい?」
「雫はSNSで検索したって言ってたから、検索すれば見つかるはず。」
「おっけー!じゃあ連絡するよ。」
「ありがとう!」
彩ねぇとの電話を終わり、もらった情報をローリエの集のグループに送る。
『こーくん!これって!』
『うん。雫の位置だ』
『ナイスー!ここにしーちゃんがいる別荘があるってことだよね!』
『たぶんな。これ室内図』
『そこまで!?仕事できすぎ!』
『いやこれは隆弘先輩にもらった』
『兄さんに?どうして兄さんがそんなものを?』
『すみません、それはわからないです。ですから立夏先輩が直接本人に確認してみてください』
『最近避けられてたから捕まえて話聞いてみるね』
『いいと思います笑』
(さっき話したとき、隆弘先輩も行方をくらましそうな雰囲気を感じたしな。)
『それでこの別荘に突入するってことでいいか?』
『うん!それでいいと思う!早く助けにいかないとね!』
『じゃあいくつか役に立つものを渡すよ』
『さすが東雲!』
『明日、秘密基地で作戦会議しようか?』
『そうですね!それがいいと思います』
詳しいことは明日の作戦会議で決めることとなった。
雫はなんだかんだうまいことピンチを切り抜けるタイプだけど、逃げられてないってことは本当にヤバイのかもしれない。早く助けにいかなければ。でもスマホの電源をちゃんと入れてるってとこはさすがだな。
それでも悪いことばかりではない。この学園にきた目的である響の行方がわかってきたことは良いことだろう。しかし親友として信じているが、どうして行方不明事件に関わっているのという疑問がある。
そうして俺は作戦会議へ向けて、わかっている情報を整理し始めた。
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