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伯爵家
プロローグ
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まだほんのりと暗闇が残る早朝、俺は歩いていた。体は真っ黒な外套で覆い、顔は白い能面のような仮面で隠している。周りから見ればいかにも怪しげな風貌の男だ。
だが、この俺を不審に思う者はいない。それどころかこの俺の胸元を見ると姿勢を正すものがほとんどである。
なぜなら俺の首筋には銀白色のプレートが掲げられているからだ。
冒険者には階級があり最下位の白磁から順に黒曜、鋼鉄、青玉、翠玉、紅玉、銅、銀、金、白金と表される。
つまり、俺は最高位の冒険者であるということだ。冒険者はお世辞にも社会的に信用があるとは言えないが、仕事を斡旋するギルドは国営機関であるため高位の冒険者は貴族のような公的な地位はないが実質的に同等の存在と言える。
俺は周囲の視線など気にせずすたすたと歩いていく。やがて目の前に木造の立派な建物が見えてくる。冒険者ギルドだ。早朝のため閑散としているがちらほら人影が見える。受付まで颯爽と行くと俺は無機質な声で尋ねた。
「ギルド長はいるか」
「はい、いつもどおり二階の執務室に居られますよ」
「わかった」
それだけ言うと俺は階段を上っていき、扉をノックする。
「はいれ」
扉を開けると筋骨隆々の大男がソファーに座っていた。
「すまんな、ブラッド急に呼び出して」
「それはいいが、何の用だ。まさか指名依頼でもきたのか」
俺は仮面を外しながら冗談めかして訪ねた。
「残念ながらそのまさかだ。どうせ最近は暇だろ」
「確かにそうだが最高位冒険者に指名依頼などほとんどこないはずだろ。厄介な魔物でもでたのか」
「いいや、まったく違う。お前への依頼は伯爵令嬢の指南役だ。武術及び魔法のな」
「……何故そんな依頼が来るんだ。莫大な金を払う価値がそいつにあるのか」
俺は怪訝な表情を浮かべた。確かに魔法も武術も教えられる人間は限られるが最高位冒険者への依頼というのはその事実を差し引いても奇妙であると言える。白金の冒険者とはそれほど特別なのだ。いわゆる人外と言われる人間であり貴族が接触しようとすればそれだけで波紋を呼ぶ存在である。娘への指南役程度で普通は波風を立てようとは思わない。
「さあな。確実に厄介ごとだがこれは断れんよ。王家からの依頼だからな」
「………分かった。場所はどこだ」
「理由は聞かないのか。まあ、教えられないのだがな。場所はこいつを見ろ」
笑いながら巨漢の男は折りたたまれた紙を投げる。
「なら、言うな。俺は行く」
席を立ち、仮面をつけながら不機嫌そうに言う。ずかずかと音を立てて部屋を俺は出て行く。
だが、この俺を不審に思う者はいない。それどころかこの俺の胸元を見ると姿勢を正すものがほとんどである。
なぜなら俺の首筋には銀白色のプレートが掲げられているからだ。
冒険者には階級があり最下位の白磁から順に黒曜、鋼鉄、青玉、翠玉、紅玉、銅、銀、金、白金と表される。
つまり、俺は最高位の冒険者であるということだ。冒険者はお世辞にも社会的に信用があるとは言えないが、仕事を斡旋するギルドは国営機関であるため高位の冒険者は貴族のような公的な地位はないが実質的に同等の存在と言える。
俺は周囲の視線など気にせずすたすたと歩いていく。やがて目の前に木造の立派な建物が見えてくる。冒険者ギルドだ。早朝のため閑散としているがちらほら人影が見える。受付まで颯爽と行くと俺は無機質な声で尋ねた。
「ギルド長はいるか」
「はい、いつもどおり二階の執務室に居られますよ」
「わかった」
それだけ言うと俺は階段を上っていき、扉をノックする。
「はいれ」
扉を開けると筋骨隆々の大男がソファーに座っていた。
「すまんな、ブラッド急に呼び出して」
「それはいいが、何の用だ。まさか指名依頼でもきたのか」
俺は仮面を外しながら冗談めかして訪ねた。
「残念ながらそのまさかだ。どうせ最近は暇だろ」
「確かにそうだが最高位冒険者に指名依頼などほとんどこないはずだろ。厄介な魔物でもでたのか」
「いいや、まったく違う。お前への依頼は伯爵令嬢の指南役だ。武術及び魔法のな」
「……何故そんな依頼が来るんだ。莫大な金を払う価値がそいつにあるのか」
俺は怪訝な表情を浮かべた。確かに魔法も武術も教えられる人間は限られるが最高位冒険者への依頼というのはその事実を差し引いても奇妙であると言える。白金の冒険者とはそれほど特別なのだ。いわゆる人外と言われる人間であり貴族が接触しようとすればそれだけで波紋を呼ぶ存在である。娘への指南役程度で普通は波風を立てようとは思わない。
「さあな。確実に厄介ごとだがこれは断れんよ。王家からの依頼だからな」
「………分かった。場所はどこだ」
「理由は聞かないのか。まあ、教えられないのだがな。場所はこいつを見ろ」
笑いながら巨漢の男は折りたたまれた紙を投げる。
「なら、言うな。俺は行く」
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