2 / 39
伯爵家
第1話 伯爵家
しおりを挟む
部屋を出た後すぐに受付に向かい手続きを済ませるとすぐに目的地に向かった。幸いにも依頼されたアイヴァー伯爵領は魔導馬車で数時間ほどで着くほどの距離だった。魔導馬車は馬の代わりに魔力で動くゴーレムを使った馬車だ。馬と比べると約二倍の速度で走ることができ、休む必要もないのでさらに効率的である。ただ、かなりの速さであるため貴人の移動には向かない。
馬車に乗ってから数時間後無事目的地に着くと思わずため息をつく。これから確実に貴族の厄介ごとに巻き込まれるのが目に見えているとため息をつかずにはいられない。伯爵家と関係のない王家からの依頼、関連性がまるで見えてこない。貴族関係の情報も集めてはいるが深い部分の情報はそうそう得られない。特に迷宮攻略が俺の目標であったので攻略してからは燃え尽き症候群気味であり、精力的に活動していなかった。重たい足を動かし屋敷に向かう。しばらく進むと大きな門が見えてくる。その左右には白銀の甲冑で身を包んだ門番が立っていた。
「ブラッド様ですね。お待ちしておりました。中で主がお待ちしております」
そう言うと門が荘厳な音を立てながらひとりでに開く。おそらく魔道具だろう。俺は堂々と胸を張り通り抜ける。門から屋敷までの道には白亜の石が敷き詰められており、木々は切りそろえられ、道の左右には草原を思わせる庭が広がっている。流石は伯爵家だなと感心しながら進む。ちょうど屋敷にたどり着くと扉が開き赤いドレスを身に纏い緋色の長い髪を結った女性と燕尾服を着こなす白髪の老人が出てきた。
「ようこそ、我が伯爵家へ。私はフランシス・フォン・アイヴァ―と申します。世にも名高い冒険者の方とお会いできて光栄ですわ」
「ブラッド・ヴォルテンと申します。こちらこそお会いできて光栄です」
「早速で申し訳ないですが依頼のお話をしましょう。クロム、案内を」
「では、ご案内いたします。お荷物のほうがございましたらお部屋のほうに運んでおきますが」
「いえ、結構です。嵩張るようなものは持ち歩いていないので」
「承知しました」
一礼するとくるりと身をひるがえし老紳士は先導して歩き出す。目の前には燦然と輝くシャンデリアと二階へ続く大きな階段が見えている。いかにも貴族の屋敷だなと益体のない感想を抱きながら老人の後を追っていると階段の隣の通路に入ってすぐの部屋に通された。アイヴァー夫人と俺は対面するようにソファーに腰かけ老人は夫人の後ろに控えた。
「実は今回の依頼は第一王子の独断なのよ。先月主人が亡くなったことは知っているわよね。亡くなった主人と王子は仲が良くてね、生前主人がよく言っていた娘に最高の教育をってセリフを真に受けてしまわれたらしいの」
「そうでしたか。王家からの依頼の理由がわかり安心しました。期間は今日から一週間ということでしたがよろしいですか」
「ええ、分かっているわ。後であなたが止まる部屋もクロムに案内させます。まずは指導のほうを宜しくお願い致しますね」
「分かっております。このプレートに恥じない成果を上げることをお約束します。それでは早速お嬢様のもとに向かおうと思うのですがどこに居られるのでしょうか」
「そうね。中庭にいると思うけど……クロム案内して差し上げて」
「かしこまりました、奥様」
「では俺様ご案内いたします」
俺もその席を立ち、その背について退出しようとした。しかし、何かを思い出したように振り返り夫人に問いかける。
「不躾な質問なのですが、最近が外出する予定はございますか」
「ええ、ありますよ。ちょうど一週間後に。都合が合えばあなたとご一緒するかもしれませんね」
「それだけ聞ければ十分です。ありがとうございます」
俺は踵を返し、歩を進める。振り返ることはなかったがたぶんいい顔はしていないだろうと思いながら部屋を後にした。
馬車に乗ってから数時間後無事目的地に着くと思わずため息をつく。これから確実に貴族の厄介ごとに巻き込まれるのが目に見えているとため息をつかずにはいられない。伯爵家と関係のない王家からの依頼、関連性がまるで見えてこない。貴族関係の情報も集めてはいるが深い部分の情報はそうそう得られない。特に迷宮攻略が俺の目標であったので攻略してからは燃え尽き症候群気味であり、精力的に活動していなかった。重たい足を動かし屋敷に向かう。しばらく進むと大きな門が見えてくる。その左右には白銀の甲冑で身を包んだ門番が立っていた。
「ブラッド様ですね。お待ちしておりました。中で主がお待ちしております」
そう言うと門が荘厳な音を立てながらひとりでに開く。おそらく魔道具だろう。俺は堂々と胸を張り通り抜ける。門から屋敷までの道には白亜の石が敷き詰められており、木々は切りそろえられ、道の左右には草原を思わせる庭が広がっている。流石は伯爵家だなと感心しながら進む。ちょうど屋敷にたどり着くと扉が開き赤いドレスを身に纏い緋色の長い髪を結った女性と燕尾服を着こなす白髪の老人が出てきた。
「ようこそ、我が伯爵家へ。私はフランシス・フォン・アイヴァ―と申します。世にも名高い冒険者の方とお会いできて光栄ですわ」
「ブラッド・ヴォルテンと申します。こちらこそお会いできて光栄です」
「早速で申し訳ないですが依頼のお話をしましょう。クロム、案内を」
「では、ご案内いたします。お荷物のほうがございましたらお部屋のほうに運んでおきますが」
「いえ、結構です。嵩張るようなものは持ち歩いていないので」
「承知しました」
一礼するとくるりと身をひるがえし老紳士は先導して歩き出す。目の前には燦然と輝くシャンデリアと二階へ続く大きな階段が見えている。いかにも貴族の屋敷だなと益体のない感想を抱きながら老人の後を追っていると階段の隣の通路に入ってすぐの部屋に通された。アイヴァー夫人と俺は対面するようにソファーに腰かけ老人は夫人の後ろに控えた。
「実は今回の依頼は第一王子の独断なのよ。先月主人が亡くなったことは知っているわよね。亡くなった主人と王子は仲が良くてね、生前主人がよく言っていた娘に最高の教育をってセリフを真に受けてしまわれたらしいの」
「そうでしたか。王家からの依頼の理由がわかり安心しました。期間は今日から一週間ということでしたがよろしいですか」
「ええ、分かっているわ。後であなたが止まる部屋もクロムに案内させます。まずは指導のほうを宜しくお願い致しますね」
「分かっております。このプレートに恥じない成果を上げることをお約束します。それでは早速お嬢様のもとに向かおうと思うのですがどこに居られるのでしょうか」
「そうね。中庭にいると思うけど……クロム案内して差し上げて」
「かしこまりました、奥様」
「では俺様ご案内いたします」
俺もその席を立ち、その背について退出しようとした。しかし、何かを思い出したように振り返り夫人に問いかける。
「不躾な質問なのですが、最近が外出する予定はございますか」
「ええ、ありますよ。ちょうど一週間後に。都合が合えばあなたとご一緒するかもしれませんね」
「それだけ聞ければ十分です。ありがとうございます」
俺は踵を返し、歩を進める。振り返ることはなかったがたぶんいい顔はしていないだろうと思いながら部屋を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる