魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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第一章・第3話

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**「燃える誇りと、折れない心」**

王立魔法学院。

その訓練場で、今日も生徒たちは魔法の実技授業を受けていた。

「風魔法、初級制御!」

教師の声が響く。

アルカイドはメガネを押し上げ、静かに呪文を唱えた。

「ウィンド・カッター」

ヒュンッ――

鋭い風刃が飛び、標的の藁人形を綺麗に切り裂いた。

「おお……」

周囲がざわめく。

アルカイドは少し恥ずかしそうに視線を下げた。

「や、やりました……」

その隣では、リナが苦戦していた。

「えっと……ウィンド……」

風が、ふわっと揺れるだけ。

「……弱い」

アルカイドが苦笑する。

「でも、最初より安定してます」

「ほんと?」

「はい」

リナは嬉しそうに笑った。

だが――

「ふん」

冷たい声が聞こえた。

振り向くと、赤い髪の少女が腕を組んで立っていた。

アリュール・フェクダ。

七星貴族の一人、フェクダ家の令嬢だ。

彼女はリナを見下ろす。

「相変わらず無様ね」

「魔力ゼロのくせに、よく学院に居座れるものだわ」

リナは黙っていた。

アリュールはさらに近づく。

「それに……」

彼女はリナの肩に触れた。

その瞬間。

周囲の生徒の顔がふっと赤くなる。

「ア、アリュール様……!」

「美しい……」

彼女のスキル。

**魅了(チャーム)**

触れた相手の精神を支配し、強い好意を抱かせる能力。

だが――

リナは、何も変わらなかった。

「……?」

アリュールは眉をひそめる。

「……何?」

「え?」

「なんで平然としてるのよ」

リナは首を傾げた。

「えっと……何が?」

沈黙。

アリュールの眉がピクッと動く。

(また効かない……!)

これで何度目か。

リナだけが、自分のスキルを完全に無視している。

それが彼女の誇りを激しく傷つけていた。

「……気に入らない」

それ以来。

アリュールは何かにつけてリナに突っかかった。

「どきなさい、邪魔」

「そんな魔法もできないの?」

「学院の恥ね」

時には教科書を落とされたり、荷物を蹴られたりもした。

だがリナは怒らない。

「……大丈夫?」

アルカイドが心配そうに聞く。

リナは微笑んだ。

「うん」

「きっと……まだ友達がいないだけだと思う」

「……甘いです」

アルカイドは呆れたように言った。

---

数日後。

実技授業は学院の外で行われていた。

森の中の魔物討伐訓練。

「弱い魔物しか出ない区域だ」

教師が説明する。

「落ち着いて対処すれば問題ない」

生徒たちは二人一組で行動する。

リナとアルカイドも森へ入った。

その頃――

アリュールは一人で歩いていた。

「……くだらない授業」

彼女は鼻で笑う。

「こんな魔物、私一人で十分よ」

その時。

ガサッ。

茂みが揺れた。

「……?」

次の瞬間。

巨大な影が飛び出す。

「グォォォォ!」

「!?」

狼のような魔物。

だが普通のものより大きい。

教師が言っていた弱い魔物ではない。

「くっ……!」

アリュールはすぐに魔法を放つ。

「フレイム!」

炎が魔物を焼く。

だが――

「グルル……」

魔物は倒れない。

むしろ怒り、突進してきた。

「なっ……!」

アリュールは後退する。

足がもつれた。

ドサッ。

転ぶ。

魔物が牙を剥く。

(……終わる)

そう思った瞬間。

ヒュンッ!

風刃が飛んだ。

魔物の顔を切り裂く。

「え……?」

振り向く。

そこには――

アルカイドが立っていた。

「大丈夫ですか!」

さらに。

「やぁぁぁっ!」

リナが石を思い切り投げた。

ゴンッ!

魔物の目に直撃。

魔物が怯む。

その隙にアルカイドが叫ぶ。

「今です!」

「はい!」

リナが木の枝を拾い、全力で突く。

アルカイドの風魔法がそれを押し出す。

ズドッ!!

枝が魔物の喉に突き刺さった。

魔物は数歩よろめき――

ドサッ。

倒れた。

静寂。

アリュールは呆然としていた。

「……どうして」

彼女はリナを見る。

「なんで助けたの」

リナは不思議そうに言った。

「だって……」

「同級生だから」

あまりにも単純な答え。

アリュールは目を伏せる。

自分はずっと彼女をいじめていた。

それなのに。

助けた。

迷いなく。

「……馬鹿じゃないの」

アリュールの声は震えていた。

「私、あなたを散々……」

リナは笑う。

「でも今は無事でしょ?」

アルカイドも頷いた。

「それで十分です」

沈黙。

そして――

アリュールは小さく言った。

「……ありがとう」

それは彼女が初めて言った言葉だった。

そして。

「……その」

「友達になってもいい?」

リナはぱっと笑った。

「もちろん!」

アルカイドも微笑む。

こうして。

後に伝説と呼ばれることになる仲間の一人――

**アリュール・フェクダ**

彼女はこの日、

リナとアルカイドの**親友**になったのだった。

    
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