魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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第一章・第10話

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**「ナハトという名」**

森の戦場。

巨大な魔物と銀髪の青年が対峙していた――

だが。

その光景を最後に、リナの意識は途切れた。

張り詰めていた精神。

極限の戦闘。

そして恐怖。

それらが一気に押し寄せたのだ。

「……っ」

視界が暗くなる。

そして――

リナはそのまま意識を失った。

---

どれくらい時間が経ったのだろう。

「……ん」

リナはゆっくりと目を開けた。

白い天井。

薬草の匂い。

静かな部屋。

「ここ……」

起き上がろうとすると、体が少し重い。

横を見る。

そこには――

ベッドが並んでいた。

アルカイド。

アリュール。

レディン。

ナティエ。

四人ともまだ眠っている。

包帯や魔力回復用の魔法陣が施されていた。

リナはほっと息をつく。

「よかった……」

その時。

ガチャ……

医務室の扉が開いた。

入ってきたのは一人の青年。

銀色の髪。

碧い瞳。

リナを助けた――

あの青年だった。

彼が入った瞬間。

医務室の空気が変わった。

そこにいた兵士と治療班が一斉に振り向く。

そして――

ドサッ

全員がその場で膝をついた。

「ナハト様!」

「お疲れ様でございます!」

リナは驚いた。

(ナハト……様?)

青年――**ナハト**は軽く手を上げた。

「そんなに畏まらなくていい」

「楽にしてくれ」

兵たちは頭を下げたままだった。

「はっ!」

ナハトは周囲を軽く見渡す。

そして。

迷いなく一人の少女の元へ歩いた。

リナのベッド。

彼はそこで立ち止まる。

「目が覚めたんだね」

優しい声だった。

リナは少し緊張しながら言う。

「……あの」

「助けてくれて、ありがとうございました」

ナハトは小さく笑う。

「礼を言うのはこっちだよ」

「君たちが時間を稼いでくれたおかげで間に合った」

リナは首を傾げた。

「魔物は……?」

ナハトはあっさり答えた。

「倒したよ」

まるで当たり前のことのように。

リナは目を丸くする。

「え……」

あの巨大な魔物を。

一人で?

ナハトは少しだけ肩をすくめた。

「まあ、多少は手こずったけどね」

そしてリナを見つめる。

碧い瞳。

不思議と安心する目だった。

「それより」

「君は無茶しすぎだ」

「普通の学生がスタンピードの前線に出るなんて」

リナは少し困ったように笑った。

「でも……」

「王国が危ないって聞いたら、じっとしていられなくて」

ナハトは少し驚いた顔をした。

そして。

優しく笑った。

「……なるほど」

彼は椅子を引いてリナの隣に座る。

「リナ」

リナは驚いた。

「え?」

「どうして私の名前……」

ナハトは少しだけ意味深な笑みを浮かべた。

「色々と調べさせてもらったからね」

そして静かに言う。

「君には――」

「少し興味がある」

その言葉に、リナはさらに困惑する。

ナハトは立ち上がる。

「今日はゆっくり休むといい」

「君たちは王国を守ったんだ」

そして扉へ向かう。

その背中をリナは見ていた。

銀色の髪。

不思議な存在感。

そして――

誰もが膝をつくほどの人物。

リナはまだ知らない。

彼の正体も。

そして。

この出会いが――

自分の運命を大きく変えることを。
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