魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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第二章 第28話

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**「魂の兵」**

王城の外。

無数の兵が迫っていた。

鎧に身を包んだその姿。

だが、その動きには生気がない。

無言。

無感情。

ただひたすらに王城へ向かって進んでくる。

城壁の上で兵士達が叫ぶ。

「敵兵接近!!」

「迎撃準備!!」

その様子を窓から見ていたリナ達もすぐに動いた。

アルカイドが剣を抜く。

「よし、出るぞ!」

アリュールが杖を握る。

「数が多いわね……」

レディンは冷静に状況を見る。

ナティエは静かに目を細めた。

そして。

ジークルーネが言う。

「待て」

全員の視線が彼女へ向く。

ジークルーネは窓の外を見ながら言った。

「あれは普通の兵ではない」

「**ランドグリーズの兵**だ」

リナが驚く。

「ランドグリーズ?」

ジークルーネは頷いた。

「あぁ」

「ヴァルキュリア・ランドグリーズ」

「おそらく奴が送り込んできた」

アルカイドが眉をひそめる。

「どういう意味…ですか?」

ジークルーネは説明する。

「ランドグリーズの固有スキル」

「**魂兵生成**」

リナ達が聞き入る。

ジークルーネは続ける。

「自身の魂を糧に」

「分体を作る」

「そして」

「その分体を兵として操る」

ナティエが呟く。

「分体……」

ジークルーネは言った。

「つまり」

「今外にいる兵は」

「**全てランドグリーズの分体**だ」

その言葉に一同が息を呑む。

レディンが驚く。

「では……」

「一人でこの数を?」

ジークルーネは頷く。

「そうだ」

「奴はそれが出来る」

アリュールが呟く。

「……化け物ね」

その時。

外から爆音が響いた。

ドォォン!!

城門が攻撃される。

兵士が叫ぶ。

「突破されるぞ!!」

アルカイドが剣を肩に担ぐ。

「話は後です!」

「迎え撃ちます!」

リナも杖を握る。

「行こう!」

ジークルーネも立ち上がる。

「私も出る」

ナハトが静かに言う。

「全員」

「散開」

そして。

戦いが始まった。

王城前広場。

魔兵の群れ。

無数。

リナが魔法を放つ。

「光弾!」

ドォン!!

魔兵が吹き飛ぶ。

アルカイドが突っ込む。

「うおおお!」

剣が閃く。

アリュールの炎魔法。

レディンの支援魔法。

ジークルーネの剣。

ナハトの大鎌。

次々と魔兵が倒れていく。

だが。

数が減らない。

倒しても倒しても。

湧いてくる。

ナティエも地属性魔法で応戦していた。

岩を隆起させ。

敵を押し潰す。

その時だった。

ナティエの鼻がわずかに動いた。

「……?」

彼女はふと立ち止まる。

風が吹く。

そして。

微かな匂いがした。

花の匂い。

ナティエは目を見開く。

「……この匂い」

覚えがある。

忘れるはずがない。

昔から嗅いでいた匂い。

親友の部屋にいつも漂っていた香り。

ナティエが呟く。

「まさか……」

彼女の顔色が変わる。

次の瞬間。

ナティエは踵を返した。

「ナティエ!?」

リナが驚く。

だがナティエは止まらない。

全速力で走り出した。

王城を飛び出す。

街を駆け抜ける。

ただ一つの場所へ。

向かう先は――

あの屋敷。

幼い頃から通っていた場所。

親友がいる場所。

**病弱な少女の屋敷。**

ナティエは息を切らしながら走る。

心の中で叫ぶ。

(嘘でしょ……)

(そんなはずない……)

だが。

確信があった。

あの匂い。

あの花の香り。

間違いない。

ナティエは屋敷の門を押し開けた。

ギィ……

静かな屋敷。

昔と同じ。

そして。

彼女はゆっくりと奥の部屋へ向かった。

そこには――

ベッドの上に座る

**一人の少女**がいた。

ナティエの親友。

そして。

ヴァルキュリア。

**ランドグリーズ。**

二人の再会が

静かに始まろうとしていた。

――第二章 第29話へ続く。
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