魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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第二章 第29話

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**「友達だから」**

ナティエは勢いよく扉を開けた。

バンッ!!

静かな屋敷に大きな音が響く。

部屋の奥。

大きなベッドの上に。

一人の少女が座っていた。

透き通るように白い肌。

細い体。

長い髪。

昔から変わらない姿。

ナティエの親友。

そして――

**ヴァルキュリア・ランドグリーズ。**

少女はナティエを見て少し驚いた。

「……ナティエ?」

ナティエは怒りに満ちた声で言う。

「どういうこと!?」

部屋の空気が張り詰める。

ナティエは少女に詰め寄った。

「王城を襲ってる魔兵……!」

「あなたの仕業なの!?」

少女はしばらく黙っていた。

そして静かに言った。

「……そうだよ」

ナティエの表情が固まる。

「なんで……」

声が震える。

「なんでこんなことしてるの!?」

少女は視線を落とす。

「命令だから」

短い答えだった。

ナティエは思わず叫ぶ。

「命令!?」

「そんな理由で!?」

少女は悲しそうに笑った。

「ナティエ」

「私ね」

「ヴァルキュリアなんだよ」

「天魔教会の」

ナティエは歯を食いしばる。

「そんなの関係ない!」

少女は首を振る。

「あるよ」

「私は選ばれた」

「だから戦う」

ナティエは叫ぶ。

「戦う必要なんてない!」

「あなた病気なんでしょ!?」

少女は小さく笑った。

「そうだね」

「私は弱い」

「ずっとベッドの上」

「外にも出られない」

ナティエは拳を握る。

「だったら!」

「なんで戦うの!?」

少女は静かに答えた。

「……意味が欲しかったから」

ナティエが黙る。

少女は続けた。

「何も出来ない人生」

「誰にも必要とされない」

「そんな私に」

「役割をくれたのが天魔教会だった」

ナティエの胸が締め付けられる。

少女は微笑んだ。

「でもね」

「ナティエと会えた時」

「嬉しかった」

「本当に」

ナティエの目に涙が浮かぶ。

その時だった。

少女の身体が揺れた。

「……っ」

ベッドに手をつく。

呼吸が荒くなる。

ナティエが驚く。

「ちょっと!」

「大丈夫!?」

少女の額に汗が浮かぶ。

その瞬間。

遠くで爆発音がした。

ドォン!!

ナティエは気付いた。

(今の……)

王城の戦い。

リナ達が魔兵を倒している。

そして。

その時。

少女の身体がビクッと震えた。

「……あっ」

苦しそうな声。

ナティエは目を見開く。

「まさか……」

頭の中で繋がった。

ジークルーネの言葉。

『魂を糧に分体を作る』

ナティエは少女の肩を掴む。

「これ……!」

「魔兵がダメージ受けると!」

少女は弱々しく笑う。

「……バレちゃった」

ナティエの顔が青ざめる。

「嘘でしょ……」

「じゃあ!」

「魔兵が倒されるたびに!」

少女は小さく頷く。

「うん」

「ちょっとずつ」

「私の魂も削れる」

ナティエは叫ぶ。

「バカじゃないの!?」

「死ぬよ!?」

少女は静かに言った。

「それでいい」

ナティエが固まる。

少女は空を見上げる。

「私の人生」

「どうせ長くない」

「だったら」

「最後くらい」

「役に立って死にたい」

ナティエの怒りが爆発した。

「ふざけないで!!」

少女が驚く。

ナティエの目から涙が溢れる。

「そんなの!」

「絶対ダメ!!」

「私は許さない!!」

少女は震える声で言う。

「……なんで?」

ナティエは即答した。

「友達だから!!」

部屋に沈黙が落ちた。

少女の瞳が揺れる。

ナティエは涙を拭いた。

そして決意した顔で言う。

「助ける」

少女が驚く。

「え?」

ナティエは言った。

「敵でも関係ない」

「ヴァルキュリアでも関係ない」

「友達は助ける」

そう言うと。

ナティエは少女を抱き上げた。

「きゃっ……」

少女は驚く。

ナティエはそのまま立ち上がる。

少女の体は驚くほど軽かった。

ナティエは言う。

「リナ達のところに行く」

少女は弱々しく言う。

「でも……」

「私……敵だよ」

ナティエは歩き出した。

「関係ない」

そして強く言った。

「助けるって決めたから」

ナティエは屋敷を飛び出した。

腕の中には

病弱な少女。

ヴァルキュリア・ランドグリーズ。

ナティエは全力で走る。

向かう先は。

リナ達が戦っている

**王城。**

友達を救うために。

――第二章 第30話へ続く。
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