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朝霧視点
しおりを挟むせっかく友達になれたと思った同士にドキドキしながら送ったLIMEは、いつまでたっても既読がつかなかった。
LIMEするなって言ったのに、忘れているんだろうか。それとも連絡のやり取りには無頓着なタイプなんだろうか。
初日はそう無理やり納得させて次の日も返事を待ったが既読がつかない。
ちゃんと送れてるか不安になってもう一度LIMEしてみた。
バイトまでに既読がつかなければバイト先にいち早く向かって、白犂が帰り道である俺のバイト先を通るのを待てばいいか。
白犂がコンビニの前を通る頃に俺がバイト先にチャリで到着することは何度かあった。
もちろん白犂は知らないし気付かなかったけど、コンビニで声をかける前からその存在は知っていた。
俺の通う高校よりも少し偏差値の高い、県内では中の上レベルである北岡高校の制服を着た、分厚い眼鏡をかけてる一見オタクなやつ。最初はそんな印象だった。
バイトし始めて3日目で白犂を見かけ、次の日もすれ違い、土日には買い物に来た。
アイスと醤油をレジに持ってきた白犂の会計を俺がしたとき、近くで見るとボサボサだと思っていた髪の毛は艶もあり綺麗な漆黒で、ただの癖毛だと気がついた。
眼鏡と前髪で顔の半分は隠れてるが、顔の小ささは一目で分かったし、剥き出しの唇なんて大きさは小さいのにプックリとしていて紅色だった。
全く外に出ないことが分かる肌の白さ、柔らかそうな頬、微かに匂ういい香り。男なのは間違いないが身長も小さいので女装すれば絶対女より可愛い。
こんなBLの世界で王道学園で生徒会や風紀委員、同室のやつに追いかけ回されてそうな人が現実にいたなんて、と俺は発狂したい気分だった。
もちろん、バイト中なのでそんなことは出来ない。
だから、彼が腐男子かもしれないと思ったのはチャンスであり希望だった。
勇気を持って初めて知らない人に声を二度もかけた。
一度目は逃げられたが二度目のときは、最初は警戒していたのに腐男子という単語を出したらそれもなくなった。
話してみれば高めの声に男らしい口調。ちょっと舌足らずなしゃべり方がとても可愛いと思った。
だから、連絡先をゲット出来て本当に嬉しかったのに。
どうしてLIMEを見てないのか、何か理由があるのかもしれないと思い、チャリをコンビニ横に止めたところで、学校帰りの白犂とその幼馴染が歩いているのが見えた。
正確には、幼馴染のやつと白犂らしき人物の足だけが見えた。
しかしいつもはコンビニ側の歩道を歩いていたというのに、何故か反対側の歩道を歩いている。
2人の距離は余程近いのか、背の高い幼馴染の横に並んでるはずの白犂の顔は見えない。
何かがおかしいな、とその時はそれくらいだった。
しかしこれが1週間も続けばおかしいどころか白犂は大丈夫なのかという心配に変わる。
一向につかない既読。反対側の歩道を何かから遮るように歩く2人。
声をかけたくてもバイト前だし反対側まで声が届くように大声を出すわけにはいかない。
いっそ、高校まで押し掛けてみるかと真剣に考え始めた時、ようやく白犂と会えた。
嬉しくて、こっちを見ている白犂に声をかけようとしたのを、何故か身体全身を使って止められる。
あまりにも必死な雰囲気だったので慌てて出そうになった言葉を呑み込んだ。
すると白犂は胸ポケットから何やら紙を出してそれをわざわざ地面に落とす。何の紙だろうと思ったところで、白犂は俺に背を向けて駆け出した。
慌ててチャリを止めて後を追おうとするが、白犂は走りながら掌をひらひらとしている。
まさか俺は嫌われたのかと絶望的な気分になったところで、足元に落ちていた四つ折に畳まれた紙を広げた。
そこには、連絡がつかなかった理由とお詫び、書かれているメアドにメールが欲しいとの内容だった。
ちょっと病を拗らせて異常な執着をみせる幼馴染のこと、俺のLIMEはブロックさせられたこと、俺と二度と喋るなと約束させられたこと、約束を無視しても盗聴されてる可能性があるから話せないこと、メアドを出来れば簡単なものに変えてほしいこと、メールは単文で俺からだと分からないようにすること、送信受信したメールはすぐに消すこと、今日の22時にメールしてほしいこと。この紙は読んだらバイト先のゴミ箱にビリビリに破いて捨てること。
最後に、幼馴染は怖いけどそれでも俺との繋がりを絶ちたくなかったことが書かれていた。
全て、白犂の願い通りにした。そうしなければ二度と白犂に会えないと漠然と思ったから。
あの幼馴染は普通の幼馴染ではない。自分の私利私欲のためならば白犂を雁字搦めに縛り付ける。
BLだったら美味しかっただろうが現実に、しかも身近にヤンデレがいるなんて。美味しいどころか大迷惑の何物でもない。
俺と白犂の腐男子ライフを邪魔させるわけにはいかない。
絶対あの幼馴染から白犂を救出する。そして俺と楽しい腐男子生活を送るのだ。
「待っててね、白犂」
俺は決意を固めて、白犂の書いた文字に唇を落とした。
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