【完結】三度の前世でヤンデレに殺されている俺は今世こそ寿命で死にたい。

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コスプレ好きな変態

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    梅雨どき特有の風を伴わないまっすぐな雨が地面を叩き付ける。
    色とりどりの紫陽花が輝くこの季節ももうじき終わる頃、俺は念願のステバへとやってきた。例の幼馴染付きで。

「おぉ…生のホモカップルのオーラ…なんてホモホモしいんだ」
「黙って飲め黙って。時間は30分だかんな」
「分かってるってば」

    こうしてステバに入れるようになっただけでも奴の心が落ち着いてきた証拠だ。1ヶ月我慢したかいがあった。
    壮真と俺が会うことを危惧してステバにも立ち入り禁止されていた俺は、あのホモカップルのことが気になって気になって夜も夢の中で妄想していた。

    あれから壮真とは秘密メールのやり取りが続いている。コンビニからばっちりと見えるステバで働くホモカップルの現状報告をもらっているのだ。
    素晴らしい同士と出会えて本当によかった。

    寝る前に30分ほどのやり取りだが、この1ヶ月それが途絶えたことはない。
    律儀に壮真はメールを送ってくれるし、俺の心配もしてくれている。
    壮真とのメールでの内容はほとんど腐トークだったが、壮真自身のこともだいぶ知ることが出来た。

    身長180㎝、姉と両親の4人家族。中学までは水泳をやっていて種目はバタフライ。
    これを知ったときいい体つきをしていた理由に納得した。
    高校では怪我をして水泳はやめてしまったけど、将来はスイミングスクールで子供たちに水泳を教えたいらしい。すごく壮真に似合う。

    勉強は苦手らしくて今度の期末試験で赤点を3つ取ったら夏休みは補修だらけになるから少し頑張ってるらしい。
    バイトに勉強に励む壮真のやる気の源が俺との腐トークだと明かされたときはニヤニヤが止まらなかった。
    普通に会えるようになったら俺もあまり好きではないが多少は力になれると思うので勉強を教える約束もした。いつ叶えられるかは分からないが。

    この1ヶ月はだいぶ平穏に時間が過ぎていった。
    たまに数学の授業でやってくる橘先生と目が合って廊下ですれ違った時に声をかけられそうになるが、しっかり回避している。
    心配してくれてるであろう相手に失礼なのは百も承知だが、俺の意思ではないので許して下さい。

    そんなこんなでようやく幼馴染を説得して、ずっと来たかったホモカップルの聖地に今日訪れたのだ。
    条件はコスプレして写真を撮られること。ちょっとこれは俺の自尊心のためにここでは割愛させて頂く。

    前と同じくマンゴーパッションをストローで吸いながらスマホを弄るフリをしてレジをしたり商品を作ったりしているホモカップルの2人を観察する。
    ホモカップルたちには背を向けて俺の前に座る礼於は、カフェラテを飲みながらじとっとした視線を俺に向けていた。
    そんな目で見られたって腐男子の心は鋼なので何のダメージにもならんぞ。隣の隣に後から座ってきた3人組の女の子たちがお前をチラチラ見てるんだからそっちを相手してやってくれ。

    お、お、お!何ですかその密着度はー!まだ昼間ですよ!おやつの時間帯ですよ!しかも仕事中なんだからそんな破廉恥な!恐らく攻めであろう人よ、どこに手を伸ばしてるんですかー!
    と、受けの人の股間に伸ばされたと思った手はその下にある棚から紙パックを取り出しただけだった。
    ですよね、分かってました。けれどもご馳走さまです。

「はくー」
「ちょっとうるさい」
「なぁやっぱりつまんないからあと5分な」
「はぁ!?まだ10分も経ってないじゃんか!約束が違う!」
「んーじゃあ俺と会話しながら観察して」
「寂しがりやの構ってちゃんかよ」
「だって暇なんだもん」
「カフェラテを味わいながらスマホで動画でも見てなさい」
「んー」
「いい子だからもう少し我慢してて」
「我慢したら何してくれる?」
「…おい、コスプレしただろが」
「それはそれ、これはこれ」
「はぁー…じゃあもう1回別のコスプレしてやるから」
「マジ?よっしゃ」

    何でこんなことになるんだ…。いや、でもホモカップル観察の時間を確保するためだ、やむを得まい。

    たっぷり30分観察をして、俺は満腹大満足。
    いやはや、やはり本物のホモカップルは二次元とは比べ物にならない美味しさがありますな。
    受けの人がステバでバイトするって言ったら俺もやる!って攻めの人がくっついてきてたりするのかも。
    年齢はどちらも20代前半くらいだけど何となく初々しい雰囲気だし、ステバで出会ってくっついたのかもしれない。
    はー!妄想すればするほど萌えが止まらないし彼らに直接話を聞いてみたーい!夜のあれこれも知りたーい!…まぁ、無理なんですけどね。

「よし、30分経ったな。帰るぞ」
「うん。スーパー寄ってから帰ろ。今日食材が何もないって母さん言ってたから。何食べたい?」
「すき焼き」
「ほーい。付き合ってくれてさんきゅな」
「おう」

    すんなりとスーパーに寄ることは許されている。昔から奴は一緒に買い物をしたがっていたが、いつまで経っても変わらない。買い物好きすぎだなこいつ。
    俺の持っていたゴミをさりげなく取って捨ててくれるこのスマートさ。
    今日の私服もカジュアルだけど清潔感があり、3人組の女の子たちが礼於の後ろ姿をガン見している。
    ちなみに別の席のおばさんたちも垂れてる頬に赤みを差しながら見ている。どこに行っても目立つ奴。

    最後にホモカップルをちらりと見ながら、幸あれと心の中で応援してステバを出た。
    外は梅雨の合間の一時晴れって感じの天気だ。
    身体にまとわりつくようなジメッとした空気に顔を顰めた。

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