のじゃロリ鬼っ子は休ませたい!

御厨カイト

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のじゃロリ鬼っ子は休ませたい!

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「のう、お主よ。まだ、お仕事は終わらんのか?」

日が暮れてきた頃、まだパソコンをカタカタと叩いている僕に対して、神様はそう話しかけてくる。

「すいません、神様。まだちょっと、かかりそうです」

「そう言って、昨日も、そのまた昨日もずいぶん遅くやっておったでは無いか!いい加減その言葉には騙されんぞ!」

「ハハハ、すいません。でも、今日こそはすぐに終わりますから」

「うむむ、本当か?」

「えぇ、本当ですとも」

「ふむ、お主がそう言うのならもう少しだけ待とうかの」




十数分後




未だに僕はキーボードを叩き続けていた。
これは……まだまだ終わりそうにないな……

神様には、悪いけど今日も遅くなりそうだ……

そう思いながら、チラッと横を見ると、あれっ?神様の姿が無い。

すると、いきなりパソコンがぱたんと閉じられる。
そして、閉じたディスプレイの向こうには神様の姿が。

「お主っ!いつまで経っても終わらんではないか!もう、我慢ならん!強制的に終わらせてやる!」

「あぁ、神様、そんな急に……」

あぁ、データが……
でも多分、保存もしているし、パックアップも取っているはず……

「い、いきなりどうしたんですか、神様!?」

「どうしたもこうしたもない!今日こそはお主には休んでもらうのじゃ!」

「あ、え、ちょ、ちょっと……」

そして、神様は僕の手をぐいぐいと無理やり引っ張って、居間の方へ連れていく。

「か、神様?一体何を……」

「ふむ、お主には何度も言っておるが休んでもらおうと思っての。じゃから、ほれっ」

神様は正座をして、膝をポンッと叩く。

「?」

「膝枕じゃ、今日はここでゆっくり休んでおくれ?」

「!」

「……何をそんな呆けた顔をしておる?」

「い、いや、まさか神様からそんな事を言われるとは思ってもいなかったので。……この間のように強制的に布団で寝かせられるのかと」

「うぬぬ、お主は儂は一体何だと思っておるのじゃ!そんなとても疲れた顔をしておるお主にそのようなことをするわけがなかろうて」

「……この間はされたんですが」

「それは『寝ろ!』と言っても、全然寝んかったお主が悪い」

「あ、そ、そうですか」

「うむ、……というかいつまで突っ立っておるんじゃ。ほれっ、早よ来ぬか」

神様は自分の膝をポンポンッと叩いて催促をする。

「えっと……」

「ほら、遠慮は要らんぞ?早う、早う」

「……そ、それじゃ失礼します」

僕は少しドキドキしながら、神様の膝および太ももの上に頭をのせる。
……傍から見ると幼女の太ももに頭をのせているようで罪悪感に苛まれる。

だが、この姿で齢1000歳を超えているというのだから驚きだ。
あと、頭の角とお面も人ならざる者の証拠か。

「うふふ、どうじゃ、儂の膝枕は?」

神様はこちらを覗き込むかのように話しかけてくる。
……顔が近いから少し恥ずかしい。

「……もちもちすべすべしていて気持ち良いです。あと、温かくて心地も良いです」

「うむうむ、そうかそうか。そう言われると少し恥ずかしいが嬉しいの」

神様は少し頬を染めながら、僕の頭をゆっくりと撫でていく。

「神様……?」

「……ふぅ、全くお主という奴は働きすぎじゃ。昼間はもちろん、夜も遅くまでぱそこん?という物の前に座りおって。最近じゃ、儂の方がお主よりも先に寝るようになってしもうた。これじゃあ、お主にもお主の先祖様にも申し訳が立たんよ」

「先祖様?……あぁ、そうか、神様は僕の先祖様に良くしてもらったから、その恩返しで僕の元に来たんでしたっけ」

「そうじゃよ。じゃが、まさか会いに来た子孫までもが働き者じゃとは。まったく血というのは怖いものじゃの」

「どういうことですか?」

「うん?あ、いや、お主の先祖様もずいぶん働き者じゃったからな。じゃから、儂は彼に対しての恩がたくさんあるのじゃよ。それを彼に対しては返すことがあんまり出来んかったから、せめて子孫に恩返しをしてあげようと思って、お主のところに来たのじゃが……」

「……なんか、すいません」

「ふふふ、まぁよい。働き者なのは良い事じゃが、それにしてもお主は働きすぎじゃ。少しは今のようにちゃんと休まんとな」

神様は僕の頭を撫でながら、こちらに「ふふふ」と微笑みかけてくる。
……何と言うか、見た目は幼女なのにまるでお母さんのような温かさがある。
割烹着を着ているからというのもあるかもしれないが。

「……すいません」

「もう、そんなに謝るでない。謝ることは良い事ではあるが、やりすぎは働くことと一緒であまり良くないぞ?」

「はい、すいません」

「ほら、また謝った」

「あ、ホントですね」

「はぁ、まったくお主という奴は。仕方がない奴やの」

「……面目ない」

「まぁ、そう言うところがお主の良い所でもあるのじゃが」

そう言って、神様は静かに僕の頭を撫で続ける。
僕もその安らぎに少しの間、身を任せる。





「……どうじゃ?少しは休めたかの?」

「えぇ、何だか疲れがほぐれてきたような感じがします」

「そうかそうか、それなら良かった。何だったら、もうこのまま寝てしまうか?」

「い、いえ、それは流石に。それにまだ仕事が残っているので」

「なぬっ!まだやらんとならん仕事があるのか!」

「えぇ、それを仕上げてから今日は寝ることにするので……すいません」

「ふぅむ……お主はこんな夜遅くまでしないといけんような仕事を渡してくる会社を辞めようとは思わんのか?お主の会社は所謂ブラック企業と言われる奴であろう?」

「……よくそんな言葉知っていますね?」

「最近、にゅーすとやらでよく聞く単語じゃからの。それで、そんなところ辞めようとは思わんのか?」

「うーん……確かに大変だとは思いますけど、しんどいと思うほどではありませんし……それに最近は神様が家事をしてくださるようになり、家のことを考えなくても良くなったので個人的には以前よりも楽なんですよね」

「うむむ、そうなのか……?」

「はい、ですので今のところは心配をおかけするようなことはありませんよ。」

「いや、そうじゃなく、儂の事じゃなくて、自分のことをじゃな……っと言ってもお主は聞かんか……まぁ、お主がそう言うのなら良い。じゃが、もう無理じゃと思ったら、いや、思う前にちゃんと行動に移してくれよ」

「はい、分かっています」

「うむ、それなら良いのじゃが。……まったく、お主といい、主様といい、働き者の世話は大変じゃな」

「うん?何か言いましたか、神様?」

「いいや、何でもない。そうだ、お主今から仕事をするのだろう?それなら、温かい飲み物でも淹れてやろう」

「あ、それじゃあ、コーヒーを」

「コーヒーはダメじゃ。眠れんくなってしまうからの。そうじゃな……まだ紅茶があったはずじゃから、それを淹れてやろう」

「ありがとうございます」

「いや、なに、儂に出来ることはそれぐらいじゃからの。それじゃ、ちょっと待っておれ」

そうして、神様は割烹着をパタパタと揺らしながらキッチンへと向かっていく。
……後ろから見るとまるでお母さんの手伝いに向かう幼女にしか見えないな。
頭の角も狐の面もその様子を可愛らしく見せているアイテムにしか見えない。
だが、あれでもれっきとした神様なのだというのだから、まったく驚きだ。


僕はそんな日常に微笑みながら、また机に置いてあるパソコンを開くのだった。




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