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「お待たせ致しましたお客様。お部屋へご案内致します。」
「ああ、どうも。お茶菓子ありがとうございました、美味しかったです。」
「…!お口に合ったようで…もし宜しければ後ほどお包み致しましょうか?先程の御無礼への詫びに受け取って下さい。」
「じゃあお言葉に甘えて、お願いします。」
きっちり一刻後、のんびりと準備を待っていた俺にいよいよ声が掛かった。
基本的にこの月夜街の店は三階建て以上が多く、もちろん一階はフロントでそれ以上の上の階は買った子達と過ごすための部屋。
そういえば部屋のランクは選べるらしいってあいつから聞いていたけど、何も聞かれなかったな?
そう思いつつも結局初めて来た初心者には変わらない訳で、不思議に思いつつも案内されるままに後ろを癖になっている早足で付いていく俺。
途中からそれに気付いたらしいおじさんは徐々にスピードを緩めて、そういった事にも気付くんだなと関心した。
同時に、結構細かい所まで気を配れる事を思えばやっぱあの時は普段の事が吹き飛んで言っちゃいけない事まで言っちゃう程めちゃくちゃびっくりさせてしまったんだろうなと心の中でちょっと反省した。
気にしてませんよ、という意味を込めて感謝を伝えれば、相当さっきの対応に気にしていたらしいおじさんは目をキラッとさせたあとあのお菓子を手土産に持たせてくれる事に。
なんだか強請ったみたいになってしまったけどここで貰わないのも逆に気を遣わせてしまうし、欲しかったから遠慮なく貰っとこう。
自分でどこの物なのか調べて買おうと思ってたから超ラッキーじゃん。
魔道式のエレベーターに乗り、段々と高くなっていく階。ちなみにこの世界のエレベーターは名前は一緒なのに速度は倍以上遅い。そもそもある事自体が珍しいから、一年経った今でもこの遅さに俺は慣れてない。そもそも乗る回数が少ないんだよな、一泊銀貨五枚くらいのホテルとかじゃないと中々お目にかかれない。
まだつかないし、一体何階の部屋なんだ?外の景色が見えるエレベーターとはいえ無言のままなのも気まずいなあ。
「お、あの、そういえば貴方はマスターさんですか?」
「………え、あっ!申し訳ございません!普通ならば第一にお伝えすべきところをまだ伝えていないなど…!」
「いや大丈夫ですよ。」
あっぶない…おじさんって呼ぼうとしてしまった。
またもやあたふたするおじさんは予想通りマスターだったらしい。勝手に俺がおじさん呼びしているけど、この世界の普通よりもちょっとダンディな紳士といった風貌の男性。ちゃんとしてれば格好良く見えるだろうに、度々目の前でやらかしているからそれも台無しだ。
すると、チンッという軽快な音が鳴り扉が開く。
そのままおじさん、もといマスターへとついていく。一本道で真っ直ぐ伸びる廊下の最奥、デカめの扉、しかもところどころ金で縁取られた豪奢なものが現れた。もしかしてここ?
「こちらが今宵ご用意させて頂いたお部屋でございます。時間は朝刻の三刻半までで、本日は顔合わせと軽い触れ合いのみとなります。本番行為は禁止ですので必ずなさりませんようにお願い致します。ほかのご説明は中に居る太陽が致しますのでそれではお楽しみ下さいませ。」
「あ、は、はい…。」
呆然としている間に颯爽とマスターは居なくなってしまった。
本当にここなのか聞きたかったが、ここまで来て間違いでしたなんて事はないだろうし、という事はあの金額でこの部屋ということ?でもせフレの話によればここは月夜街でも中間層以上。確実に銀貨三枚じゃ国の定めてある一夜代、人一人分の最低金額にイロをつけた程度にしかならない。部屋代はないはず、いやそうだ部屋代最初から請求されてなくない?部屋代は後から請求とかか?そんな事ある?
悩んでいても始まらない。木で出来ているらしい扉を手の平で押せば軽く軋む音を立てながら開く。
こりゃまた随分と広い、ことで…。
「ああ、どうも。お茶菓子ありがとうございました、美味しかったです。」
「…!お口に合ったようで…もし宜しければ後ほどお包み致しましょうか?先程の御無礼への詫びに受け取って下さい。」
「じゃあお言葉に甘えて、お願いします。」
きっちり一刻後、のんびりと準備を待っていた俺にいよいよ声が掛かった。
基本的にこの月夜街の店は三階建て以上が多く、もちろん一階はフロントでそれ以上の上の階は買った子達と過ごすための部屋。
そういえば部屋のランクは選べるらしいってあいつから聞いていたけど、何も聞かれなかったな?
そう思いつつも結局初めて来た初心者には変わらない訳で、不思議に思いつつも案内されるままに後ろを癖になっている早足で付いていく俺。
途中からそれに気付いたらしいおじさんは徐々にスピードを緩めて、そういった事にも気付くんだなと関心した。
同時に、結構細かい所まで気を配れる事を思えばやっぱあの時は普段の事が吹き飛んで言っちゃいけない事まで言っちゃう程めちゃくちゃびっくりさせてしまったんだろうなと心の中でちょっと反省した。
気にしてませんよ、という意味を込めて感謝を伝えれば、相当さっきの対応に気にしていたらしいおじさんは目をキラッとさせたあとあのお菓子を手土産に持たせてくれる事に。
なんだか強請ったみたいになってしまったけどここで貰わないのも逆に気を遣わせてしまうし、欲しかったから遠慮なく貰っとこう。
自分でどこの物なのか調べて買おうと思ってたから超ラッキーじゃん。
魔道式のエレベーターに乗り、段々と高くなっていく階。ちなみにこの世界のエレベーターは名前は一緒なのに速度は倍以上遅い。そもそもある事自体が珍しいから、一年経った今でもこの遅さに俺は慣れてない。そもそも乗る回数が少ないんだよな、一泊銀貨五枚くらいのホテルとかじゃないと中々お目にかかれない。
まだつかないし、一体何階の部屋なんだ?外の景色が見えるエレベーターとはいえ無言のままなのも気まずいなあ。
「お、あの、そういえば貴方はマスターさんですか?」
「………え、あっ!申し訳ございません!普通ならば第一にお伝えすべきところをまだ伝えていないなど…!」
「いや大丈夫ですよ。」
あっぶない…おじさんって呼ぼうとしてしまった。
またもやあたふたするおじさんは予想通りマスターだったらしい。勝手に俺がおじさん呼びしているけど、この世界の普通よりもちょっとダンディな紳士といった風貌の男性。ちゃんとしてれば格好良く見えるだろうに、度々目の前でやらかしているからそれも台無しだ。
すると、チンッという軽快な音が鳴り扉が開く。
そのままおじさん、もといマスターへとついていく。一本道で真っ直ぐ伸びる廊下の最奥、デカめの扉、しかもところどころ金で縁取られた豪奢なものが現れた。もしかしてここ?
「こちらが今宵ご用意させて頂いたお部屋でございます。時間は朝刻の三刻半までで、本日は顔合わせと軽い触れ合いのみとなります。本番行為は禁止ですので必ずなさりませんようにお願い致します。ほかのご説明は中に居る太陽が致しますのでそれではお楽しみ下さいませ。」
「あ、は、はい…。」
呆然としている間に颯爽とマスターは居なくなってしまった。
本当にここなのか聞きたかったが、ここまで来て間違いでしたなんて事はないだろうし、という事はあの金額でこの部屋ということ?でもせフレの話によればここは月夜街でも中間層以上。確実に銀貨三枚じゃ国の定めてある一夜代、人一人分の最低金額にイロをつけた程度にしかならない。部屋代はないはず、いやそうだ部屋代最初から請求されてなくない?部屋代は後から請求とかか?そんな事ある?
悩んでいても始まらない。木で出来ているらしい扉を手の平で押せば軽く軋む音を立てながら開く。
こりゃまた随分と広い、ことで…。
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