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本編
閑話 デートの夜、警護に当たった騎士の話
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しがない騎士の俺は、専属ではないものの神子様の護衛や神子の間の夜の警護をそれなりに任されている。神子様の護衛など光栄なことであるし、神子様の容姿は美しくも可愛らしいため目の保養でもあるからまさに天職と言っても過言ではない。
そんな俺は今日、隊舎でも同室の同僚と共に神子の間の夜の警護に当たった。
小声で話しながらも気配を読むことはやめずに警護を続けていると、神子様のお世話役のリディアさんが部屋から出てきた。神官の中でも指折りの実力者で、見目も麗しいリディアさんは騎士の間でも高嶺の花と称される。
「ご苦労様です。あなた方は確か本日は日付が変わる頃までの警護に当たっていましたね?」
「は、はい……」
流石リディアさんだ。警護の予定など完全に頭に入っているのだろう。
「そうですか。では本日の警護中に起きることは他言無用です。ああ、ユキ様に危険が及ぶようなことが起きるわけではありませんよ。警護を続けていたら自ずとわかるでしょう」
「は、はぁ……」
「では私はこれで」
言うだけ言って去って行ったリディアさんに同僚と顔を見合わせる。
「……どう言うことだ?」
「さぁな……ま、そのうちわかんだろ」
「そうだな」
その数十分後、俺たちはリディアさんの言葉の意味を理解することとなった。
「お、おい……この魔力……」
「神子様の部屋から、だよな……」
夜も深まってきた頃、神子様の部屋から膨大な魔力が漏れ出してきた。神子様はまだ魔力制御を習っていないから普段から膨大な魔力が漏れ出ているが、今のこれは普段とは比べ物にならないほど膨大だ。
確かに危険なものではない、が……これは……
「……そういえば今日は神子様、ダグラス部隊長とデートだったよな。嬉しそうに庭を2人で歩いてるの見かけたって奴がいたぞ」
「……まさかダグラス部隊長はそのまま部屋にいるのか?」
「……その可能性が高いな」
同僚の言葉に頭を抱える。
「ってことはこれは……」
「まぁ、普通に考えればそういうこと、だろうな……」
神子様とダグラス部隊長が恋仲というのはもっぱらの噂だ。一介の護衛が神子様に想いを寄せるなど、なんて声も上がりかけたが普段真面目に騎士としての職務を全うし、公私の区別がしっかりとついているダグラス部隊長に、むしろお2人の恋を応援する声の方が殆どになっている。
何より神子様の様子を見ているとな……反対など出来ないだろう。あんなに幸せそうな顔をされたらダグラス部隊長を護衛から外すなんて真似は誰にも出来ないさ。
おっと、つい現実逃避をしてしまった。
恋人同士が夜にすることといえば1つしか思い浮かばない。
……つまりは、そういうことなんだろう。
「いいなぁ、ダグラス部隊長……」
「あー、確かにこんだけ愛を伝えられちゃあな……」
同僚の言葉に同意する。
部屋から漏れ出る膨大な魔力はダグラス部隊長への愛で埋め尽くされている。部屋の外でこれだけ感じる魔力だ。直接浴びているであろうダグラス隊長はどんな気持ちなのだろう。いや、嬉しくないわけないよな。
「こんだけ愛されたら幸せだよなぁ……」
「そうだなぁ……俺も恋人欲しくなってきたわ……」
「俺も……」
ちらりと隣の同僚を見ると同僚もこっちを見ていたのか目が合った。
「……お前、実はかなりタイプなんだよなぁ」
同僚が放った言葉に呆れる。
「何言ってんだお前……この魔力につられてるだけだろ」
「いやマジで。お前タチだろうからって諦めてたけどお前と同室なの内心喜んでたんだぜ?」
「……は? なんだそれ、聞いたことないぞ」
騎士になって割とすぐに知り合ったこいつとは結構付き合いが長いが、今までそんな素振りも見たことがない。
「そりゃ言ってないからな」
「……お前、俺のこと抱きてぇの?」
俺は全くもって抱きたいと思われるような容姿じゃない。騎士なだけ合って筋肉質だしな。
「当たり前だろ。思いっきり抱きてぇよ」
真面目な顔でそう言われ、顔が赤くなるのがわかった。
「……別に俺、タチじゃねぇぞ」
俺は見た目からタチだと思われがちだが、別にタチではない。完全なネコというわけでもなく、いわゆる両刀遣いとかいうやつだ。まぁ、俺を抱きたいなんて言う奴は殆どいねぇからもっぱら抱く側になってはいるが、な。
隣からの反応がなく、聞こえなかったのかと隣をちらりと見れば予想に反して同僚は俺を凝視していた。
「な、なんだよ……」
「さっきの、本当か……?」
「わ、悪いかよ……」
「悪いわけあるか! いや、だがそれは俺に都合良すぎじゃないか……?」
「……別にお前のこと好きだなんて俺は言ってねぇぞ」
嘘だ。俺はこいつのことが好きだ。同室になった時は喜んだが、どうせ報われない恋だろうと苦しくもあった。
「カラダから始まる恋、なんてのもアリだと思わねぇか?」
ニヤリと笑った同僚に腰に熱が溜まるのを感じた。
「っ……」
「あー……早く警護時間おわんねぇかな……」
……まさか俺は今日こいつに抱かれるのか……?
ドキドキとなる心臓は部屋から漏れ出る魔力の影響か、それとも────
そんな俺は今日、隊舎でも同室の同僚と共に神子の間の夜の警護に当たった。
小声で話しながらも気配を読むことはやめずに警護を続けていると、神子様のお世話役のリディアさんが部屋から出てきた。神官の中でも指折りの実力者で、見目も麗しいリディアさんは騎士の間でも高嶺の花と称される。
「ご苦労様です。あなた方は確か本日は日付が変わる頃までの警護に当たっていましたね?」
「は、はい……」
流石リディアさんだ。警護の予定など完全に頭に入っているのだろう。
「そうですか。では本日の警護中に起きることは他言無用です。ああ、ユキ様に危険が及ぶようなことが起きるわけではありませんよ。警護を続けていたら自ずとわかるでしょう」
「は、はぁ……」
「では私はこれで」
言うだけ言って去って行ったリディアさんに同僚と顔を見合わせる。
「……どう言うことだ?」
「さぁな……ま、そのうちわかんだろ」
「そうだな」
その数十分後、俺たちはリディアさんの言葉の意味を理解することとなった。
「お、おい……この魔力……」
「神子様の部屋から、だよな……」
夜も深まってきた頃、神子様の部屋から膨大な魔力が漏れ出してきた。神子様はまだ魔力制御を習っていないから普段から膨大な魔力が漏れ出ているが、今のこれは普段とは比べ物にならないほど膨大だ。
確かに危険なものではない、が……これは……
「……そういえば今日は神子様、ダグラス部隊長とデートだったよな。嬉しそうに庭を2人で歩いてるの見かけたって奴がいたぞ」
「……まさかダグラス部隊長はそのまま部屋にいるのか?」
「……その可能性が高いな」
同僚の言葉に頭を抱える。
「ってことはこれは……」
「まぁ、普通に考えればそういうこと、だろうな……」
神子様とダグラス部隊長が恋仲というのはもっぱらの噂だ。一介の護衛が神子様に想いを寄せるなど、なんて声も上がりかけたが普段真面目に騎士としての職務を全うし、公私の区別がしっかりとついているダグラス部隊長に、むしろお2人の恋を応援する声の方が殆どになっている。
何より神子様の様子を見ているとな……反対など出来ないだろう。あんなに幸せそうな顔をされたらダグラス部隊長を護衛から外すなんて真似は誰にも出来ないさ。
おっと、つい現実逃避をしてしまった。
恋人同士が夜にすることといえば1つしか思い浮かばない。
……つまりは、そういうことなんだろう。
「いいなぁ、ダグラス部隊長……」
「あー、確かにこんだけ愛を伝えられちゃあな……」
同僚の言葉に同意する。
部屋から漏れ出る膨大な魔力はダグラス部隊長への愛で埋め尽くされている。部屋の外でこれだけ感じる魔力だ。直接浴びているであろうダグラス隊長はどんな気持ちなのだろう。いや、嬉しくないわけないよな。
「こんだけ愛されたら幸せだよなぁ……」
「そうだなぁ……俺も恋人欲しくなってきたわ……」
「俺も……」
ちらりと隣の同僚を見ると同僚もこっちを見ていたのか目が合った。
「……お前、実はかなりタイプなんだよなぁ」
同僚が放った言葉に呆れる。
「何言ってんだお前……この魔力につられてるだけだろ」
「いやマジで。お前タチだろうからって諦めてたけどお前と同室なの内心喜んでたんだぜ?」
「……は? なんだそれ、聞いたことないぞ」
騎士になって割とすぐに知り合ったこいつとは結構付き合いが長いが、今までそんな素振りも見たことがない。
「そりゃ言ってないからな」
「……お前、俺のこと抱きてぇの?」
俺は全くもって抱きたいと思われるような容姿じゃない。騎士なだけ合って筋肉質だしな。
「当たり前だろ。思いっきり抱きてぇよ」
真面目な顔でそう言われ、顔が赤くなるのがわかった。
「……別に俺、タチじゃねぇぞ」
俺は見た目からタチだと思われがちだが、別にタチではない。完全なネコというわけでもなく、いわゆる両刀遣いとかいうやつだ。まぁ、俺を抱きたいなんて言う奴は殆どいねぇからもっぱら抱く側になってはいるが、な。
隣からの反応がなく、聞こえなかったのかと隣をちらりと見れば予想に反して同僚は俺を凝視していた。
「な、なんだよ……」
「さっきの、本当か……?」
「わ、悪いかよ……」
「悪いわけあるか! いや、だがそれは俺に都合良すぎじゃないか……?」
「……別にお前のこと好きだなんて俺は言ってねぇぞ」
嘘だ。俺はこいつのことが好きだ。同室になった時は喜んだが、どうせ報われない恋だろうと苦しくもあった。
「カラダから始まる恋、なんてのもアリだと思わねぇか?」
ニヤリと笑った同僚に腰に熱が溜まるのを感じた。
「っ……」
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