あの人と。

Haru.

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本編

114 今は

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 ん……いま、なんじ……?

「起きたか?」

「ぅ……」

 喉いた……だるい……

「夜は食べられるか?」

 もうそんな時間なの? そんなに寝てたのか……ご飯、食べれるかなぁ。お腹すいてないけど……

「とりあえず先に水分をとるか。リディア、水を」

「ええ。ユキ様、お水をどうぞ」

 吸い飲みを咥えて水を飲む。思った以上に喉が渇いていたようで一回では足りず、一度水を足してもらってようやく喉は潤った。

「どうだ? 食べられないか?」

「おなか、すいてない……」

「そうか……一度治癒師を呼ぼう」

「ええ、そうしましょう」

 治癒師……? 何か薬とかあるのかな……

「一度寝ている間に解熱剤は打ってもらったが……まだ熱いな……」

「そう、なの……?」

 知らなかった。針を刺したような痛みもないし全く気付かなかった。

 でも解熱剤を打ってこれかぁ……打ってなかったら結構危なかったのかな。

 ああ、でもあの凍えるような寒さはなくなってるなぁ……むしろ少し暑いくらいかも。冬用の布団に毛布かけてさらにダグの体温であっためてもらってるからそりゃ暑いだろうけど、前に目が覚めた時は寒くて仕方なかったのに。少しは良くなってきてるのかな。


「失礼します。起きていらっしゃるのですね。診察を致しましょうか。ああ、お身体は倒されたままで構いませんからね」

「掛布をとって寒くないか?」

「ん、だいじょぶ……」

 ダグが起き上がり、布団をめくってシャツの前を広げられる。少しひやりとしたけど凍えるほどじゃないから大丈夫。

「……ふむ、先ほどより落ち着いていらっしゃいますね。汗もかかれてきたようですし、そのうち熱も下がってきますでしょう。こまめにお身体を拭いてお着替えをして差し上げてください」

 よかった、これ以上酷くはならないのか。すぐ治ってほしいなぁ。多分明日ぐらいにアーノルドさん達と会う予定だったはずだし……せめて微熱程度まで下がってほしい。

「わかりました」

「お腹はすいていらっしゃらないとのことですが、少しも食べられませんか?」

 うーん……食べれないこともないけど食べたら気持ち悪くなりそう。

「きもちわるく、なりそうです」

「そうですか……ならばご無理はなさらずご夕食もやめておきましょう。栄養剤を投与いたしましょうか」

 ……注射はあまり好きではないけど仕方ないか。泣くほど嫌なものでもないし少し我慢しよう。栄養たりなくてズルズルといつまでも回復しないのも嫌だし。

「少し痛いかもしれませんが、少々ご辛抱くださいね」

「はい……」

 針が自分に刺さる瞬間を見るのって嫌だよね。そっと目をそらしたらダグと目が合った。

 柔らかく微笑んで頭を撫でてくれるのにうっとりしてたらいつの間にか注射は終わっていた。

「はい、よろしいですよ。お洋服は……ついでにお着替えをなさいますか?」

「そうですね、そうしましょう。すぐにお湯をお持ちします」

 ……痛くなかった。びっくりするぐらい痛くなかった。

 ダグで気が逸れたのもあるだろうけど、治癒師さんの腕がそうとういいんだろうなぁ。流石お城お抱えの治癒師さんだ。

「ダグラス、これでユキ様のお身体を拭いて差し上げてください。私はお着替えをご用意いたします」

「ああ。ユキ、身体を拭くぞ。辛かったり痛かったりしたら言ってくれ」

「ん」

 あー、あったかいタオルで拭かれるの気持ちいい……お風呂はまだ無理だろうしさっぱりしていいねぇ。

「次は背中だな……少し起こすぞ」

「お手伝いしましょう」

「ん」

 ダグに起こされて治癒師さんに支えられ、そのままシャツを取り払って背中を拭かれる。

「……上半身は拭いたが、下は……」

「や、やだ……!」

 3人に見られて下脱ぐなんて嫌だよ……!

 力の入らない手で必死にズボンを掴んで脱がされないようにする。こんな状況で脱がされてはたまったものじゃない。

「……あとでリディアにやってもらえ。それなら大丈夫だろう」

 たしかにリディアにはいつもお風呂入れてもらってるし今更恥ずかしいことはない。ダグの言う通りあとでリディアに着替えさせてもらおう。

 ダグ? まだ恥ずかしさはあるよ。恋人だからこそ恥ずかしいのです!!

「では先に上はこちらを着ておきましょうね」

 ぱぱっと新しいシャツを着せられ、スッキリした。

 どうやらやはり少し汗をかいてベタついていたようだ。身体を拭いて新しい服を着たことでさらっとして気持ちいい。

「手洗いも行っておくか?」

「うん」

 そのまま寝て途中で起きたら嫌だしついでに行っておこう。

「大丈夫そうですので私はもう戻りますね。お熱が急に上がるなどまた何かございましたらお呼びください」

「ええ、ありがとうございます」

 治癒師さんは出て行き、僕はダグに抱き上げてもらってトイレに行く。まだまだ歩けそうにないや。身体に全く力入んないもん。

 トイレを済ませ、念のため全身に浄化魔法をかける。お風呂入れないしこれから下半身リディアに拭いてもらうんだろうし……頭洗いたいけどまた熱ぶり返したら嫌だから我慢しよう。浄化魔法で綺麗になってはいるはずだし。

「ダグ」

「終わったか。部屋に戻ったらリディアに下も拭いてもらえ」

「ん」

 また抱き上げてもらってベッドに戻るとダグは一度出て行った。

「では下もお拭きしましょう」

「ん」

 ささっと拭いてもらい、新しい下着とズボンを履かせてもらってまた布団の中へ。

「掛布はどうなさいます? お暑ければ毛布をおとりしましょうか」

「ん、もうふ、とって」

「かしこまりました」

 ばさりと毛布だけとってもらい、ふかふかの布団だけになった。この布団いくらくらいするんだろう。たぶん日本だと10万とかするんじゃないかなぁ……えげつないくらいダウンパワーの高いやつだよきっと。

「まだお暑ければ元の掛布に戻しますが……」

 あったかいなぁ、くらいだしこれでいい、はず。元のやつに戻すと逆に寒くなるかもだし……

「これで、いいよ」

「そうですか。何かございましたらいつでも仰ってくださいね」

「ん、ありがと」

 リディアが呼んでくれたダグに頭を撫でられるとまたすぐに眠気はやってきた。

 あんなに寝たのにまだまだ僕の身体は睡眠を必要としてるんだなぁ……明日になったら治ってるといいな。ダグとリディアが自力で動くことを許してくれなくとも、せめてアーノルドさん達への挨拶ができたら……

 風邪ではなくてただの熱だろうから移しちゃうことはないだろうし、完全に下がってなくとも会っても問題はない、はず。お忙しい中で来てくれるアーノルドさん達に無駄足を踏ませないようにもしっかり寝て熱を下げよう。

 でももし下がらなかったら……いや、そんなこと考えてたらそれこそ下がらなくなっちゃうか。今はとにかく寝て治す! ただそれだけだ!!





 1人で寝るのが心細くなった僕がダグを引きずりこむまであと少し。
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