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本編
146 side.蒼
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「弟……? 幸仁……っ!! ゆき、ゆき!!! ゆきはどこだ?!!」
翠も思い出したようだ。
俺等が忘れていたもの、それは俺等の弟、幸仁だ。高校3年の受験生、頭が良くピアノが上手かった。有名なコンクールで優勝するくらい本格的にピアノをやっていて、俺等家族はみんなそのピアノが大好きだった。グランドピアノは、幸仁のために父さんがローンを組んで買ったものだ。
そして、幸仁は……母さんにそっくりだった。
「ゆきちゃん……ああ……っ!! なんで忘れていたの!! ゆきちゃんはどこ?! ゆきちゃん!!」
「幸仁!! 幸仁どこにいるんだ!!」
母さんも父さんも思い出した。これで、家族全員が思い出したけれど、幸仁はいない。どこに行ったんだ幸仁!!
「落ち着いてくれ!! 家にはいない。俺と翠が夕方に探したんだから」
「けど……っ!」
「靴も何もないんだ……これは、俺等が全部忘れてしまったことと関係ある気がする」
確実にそうだろう。まるで、幸仁の存在が最初からなかったかのような────
「まったく、人間というものは恐ろしいね。それとも、君達の糸が思った以上に強かったのかな」
「誰だ!!!」
突然聴こえた声に、咄嗟に母さんを背に庇う。父さんも翠も同じようにしていて、血の繋がりを感じた。
声の主を見れば、さっきまでいなかったはずの人間がいた。いや、人間と言っていいのかはわからない。あまりに人間離れした容姿のその人物は、宙に浮いていたからだ。
「神だよ。もっとも、この世界の人間達が崇めているのとはまったく別物だけどね」
正直に言って頭がおかしいんじゃないかと思ったが、宙に浮いているのをこの目で見ているため、全てを否定しきることは出来なかった。
「まさか、君達が幸仁を思い出してしまうとは──」
「幸仁をどこにやった!!!」
自称神の口から出た幸仁という名に、頭に血が上った。こいつが俺等から幸仁を奪ったのか……!
「最初に言っておこう、幸仁は生きている。しかし、この世界ではない。こうなってしまった以上、全て話すよ」
幸仁が生きているということにとりあえずホッとした俺等は、大人しく自称神の話を聞くことにした。幸仁の行方を知っているのはこいつしかいないようだからな。
そうして聞かされた内容はあまりにも信じがたいものだった。
「幸仁が、異世界に……」
「神子って……」
「すまない、君達から幸仁を奪ってしまったことは謝罪する。しかし、返すことは出来ない。あの世界に、幸仁は必要な存在だからだ」
「俺たち家族にだって幸仁が必要だ!!! 俺たちの息子を返せ!!!」
「父さん!!」
自称神に掴みかかった父さんを必死に引き剥がす。相手が得体の知れない存在である以上、下手に刺激するわけにはいかない。俺だって親父と同じ気持ちではあるがな。
「……けれど、会わせることは出来る。もう少しだけ、待ってくれ。君達の人生を捻じ曲げてしまった詫びに、必ず道を繋げる。幸仁が暮らしている世界へ繋がるゲートを、必ず作ってみせる。だから、私を信じてもう少しだけ待っていてほしい」
「本当か……?」
「幸仁が向こうの世界で暮らすことは変わらないけれど、ね。この世界において幸仁の存在は戸籍も何もかもなくなってしまったから、君達以外のこの世界の人間に幸仁を会わせることは出来ないけれど、君達だけならね」
信じがたい話だったけど、会えるだけでも十分だ。もう一度、俺等の可愛い弟に会いたい。
「幸仁が幸せなのか、この目で見たい。会わせてくれ。俺の息子に会わせてくれ……!」
「私もゆきちゃんに会いたいわ……! 可愛い息子だもの……会ってたくさんお話ししたいわ」
「俺等もゆきに会いたい。会わせてくれ」
「幸仁は、君達の幸せを願った。君達の幸せが幸仁に再会することならば、私はその願いを聞き入れなければならない。少しだけ時間をくれ。1ヶ月後の同じ時間にまた来る。それまではくれぐれも幸仁のことを他言しないように」
それだけ残して神は消えた。もう自称はつかなかった。まだ少し信じがたいが、信じるしかない。
「幸仁に、会えるのか……」
「俺たちの幸せを願ったなんて……バカな息子だ。本当にバカだ。幸仁がいなくて幸せになんてなれるわけがないだろう……」
父さんに激しく同意、だな。可愛い弟がいなくなってどうして幸せになれっていうんだ。思い出していなかった時ですら、ひどい喪失感に襲われてたっていうのにな。
「あと1ヶ月……長いわ……」
「けれど、会える」
「元気だといいな……」
夏も終わりに近づいた頃のことだった。
そしてきっちり1ヶ月後、俺等家族はそわそわとリビングにて神が現れるのを待っていた。この1ヶ月はかつてないほどに長く感じた。それほどに、幸仁に会いたいのだ。あの可愛い弟に。
「────待たせたね」
前回同様、神は突然現れた。相変わらずの人間離れした容姿だ。
「とりあえずゲートを作った。場所は幸仁の部屋だよ。幸仁の部屋の奥に、扉を作り、そこと現在の幸仁の部屋を繋いだ。これで自由に行き来出来るようになったよ」
「すぐに行くぞ!!」
「待ってくれ。今幸仁は、向こうの幸仁の部屋にはいない。今は結婚披露の舞踏会の最中なんだ。幸仁のそばにすぐ行けるよう、今回だけは私が連れて行く」
「は? 結婚披露? 誰の?」
「幸仁のだよ。ついこの間結婚してね……もう見てられないほどのラブラブっぷりだよ」
「はぁああああ?!!」
幸仁が結婚?!! どういうことだ、幸仁はまだ18だぞ!!! 結婚できる年齢ではあるが、そんなすぐに結婚など……騙されているとしか思えない!!
「事前に言っておくと、幸仁の結婚相手は男だ。というか、向こうの世界には男しかいない。幸仁は幸仁の護衛騎士長のダグラスという男と結婚した」
「男?!!」
「幸仁は随分とダグラスと想いあっているから、男だからと反対するようなら会うことは許せないかな。私にとって優先すべきは幸仁の幸せだからね」
男……男か……いや、まぁ、いいんじゃないか……?
「幸仁が幸せなら、なぁ……」
「そうねぇ。驚いたけど、ゆきちゃんが幸せならなんだっていいわ」
「ゆきを幸せにしないような男なら認めないけどな」
「ふむ、ならいいかな。4人を幸仁に会わせよう。急いでこれを着てくれ」
俺等に渡されたのはローブだった。大きなフードが付いていて、被れば顔が隠れてしまうだろう。
「全員被ったね。端的にいうと、幸仁、というより幸仁の周りの人間が危ない。向こうに飛ばした瞬間、私は戦闘に加わるが、君達は魔力を持たないから幸仁から離れないで固まっていてくれ」
戦闘?!! 舞踏会じゃなかったのか?!!
「じゃあ、いくよ! フードはいいというまで取らないで!」
ちょ、待て……!!
次の瞬間に目に入ったのは煌びやかな会場と、騒ぐ人々。
そして──────
「幸仁! 無事か?!」
ああ、俺の可愛い弟だ──────
翠も思い出したようだ。
俺等が忘れていたもの、それは俺等の弟、幸仁だ。高校3年の受験生、頭が良くピアノが上手かった。有名なコンクールで優勝するくらい本格的にピアノをやっていて、俺等家族はみんなそのピアノが大好きだった。グランドピアノは、幸仁のために父さんがローンを組んで買ったものだ。
そして、幸仁は……母さんにそっくりだった。
「ゆきちゃん……ああ……っ!! なんで忘れていたの!! ゆきちゃんはどこ?! ゆきちゃん!!」
「幸仁!! 幸仁どこにいるんだ!!」
母さんも父さんも思い出した。これで、家族全員が思い出したけれど、幸仁はいない。どこに行ったんだ幸仁!!
「落ち着いてくれ!! 家にはいない。俺と翠が夕方に探したんだから」
「けど……っ!」
「靴も何もないんだ……これは、俺等が全部忘れてしまったことと関係ある気がする」
確実にそうだろう。まるで、幸仁の存在が最初からなかったかのような────
「まったく、人間というものは恐ろしいね。それとも、君達の糸が思った以上に強かったのかな」
「誰だ!!!」
突然聴こえた声に、咄嗟に母さんを背に庇う。父さんも翠も同じようにしていて、血の繋がりを感じた。
声の主を見れば、さっきまでいなかったはずの人間がいた。いや、人間と言っていいのかはわからない。あまりに人間離れした容姿のその人物は、宙に浮いていたからだ。
「神だよ。もっとも、この世界の人間達が崇めているのとはまったく別物だけどね」
正直に言って頭がおかしいんじゃないかと思ったが、宙に浮いているのをこの目で見ているため、全てを否定しきることは出来なかった。
「まさか、君達が幸仁を思い出してしまうとは──」
「幸仁をどこにやった!!!」
自称神の口から出た幸仁という名に、頭に血が上った。こいつが俺等から幸仁を奪ったのか……!
「最初に言っておこう、幸仁は生きている。しかし、この世界ではない。こうなってしまった以上、全て話すよ」
幸仁が生きているということにとりあえずホッとした俺等は、大人しく自称神の話を聞くことにした。幸仁の行方を知っているのはこいつしかいないようだからな。
そうして聞かされた内容はあまりにも信じがたいものだった。
「幸仁が、異世界に……」
「神子って……」
「すまない、君達から幸仁を奪ってしまったことは謝罪する。しかし、返すことは出来ない。あの世界に、幸仁は必要な存在だからだ」
「俺たち家族にだって幸仁が必要だ!!! 俺たちの息子を返せ!!!」
「父さん!!」
自称神に掴みかかった父さんを必死に引き剥がす。相手が得体の知れない存在である以上、下手に刺激するわけにはいかない。俺だって親父と同じ気持ちではあるがな。
「……けれど、会わせることは出来る。もう少しだけ、待ってくれ。君達の人生を捻じ曲げてしまった詫びに、必ず道を繋げる。幸仁が暮らしている世界へ繋がるゲートを、必ず作ってみせる。だから、私を信じてもう少しだけ待っていてほしい」
「本当か……?」
「幸仁が向こうの世界で暮らすことは変わらないけれど、ね。この世界において幸仁の存在は戸籍も何もかもなくなってしまったから、君達以外のこの世界の人間に幸仁を会わせることは出来ないけれど、君達だけならね」
信じがたい話だったけど、会えるだけでも十分だ。もう一度、俺等の可愛い弟に会いたい。
「幸仁が幸せなのか、この目で見たい。会わせてくれ。俺の息子に会わせてくれ……!」
「私もゆきちゃんに会いたいわ……! 可愛い息子だもの……会ってたくさんお話ししたいわ」
「俺等もゆきに会いたい。会わせてくれ」
「幸仁は、君達の幸せを願った。君達の幸せが幸仁に再会することならば、私はその願いを聞き入れなければならない。少しだけ時間をくれ。1ヶ月後の同じ時間にまた来る。それまではくれぐれも幸仁のことを他言しないように」
それだけ残して神は消えた。もう自称はつかなかった。まだ少し信じがたいが、信じるしかない。
「幸仁に、会えるのか……」
「俺たちの幸せを願ったなんて……バカな息子だ。本当にバカだ。幸仁がいなくて幸せになんてなれるわけがないだろう……」
父さんに激しく同意、だな。可愛い弟がいなくなってどうして幸せになれっていうんだ。思い出していなかった時ですら、ひどい喪失感に襲われてたっていうのにな。
「あと1ヶ月……長いわ……」
「けれど、会える」
「元気だといいな……」
夏も終わりに近づいた頃のことだった。
そしてきっちり1ヶ月後、俺等家族はそわそわとリビングにて神が現れるのを待っていた。この1ヶ月はかつてないほどに長く感じた。それほどに、幸仁に会いたいのだ。あの可愛い弟に。
「────待たせたね」
前回同様、神は突然現れた。相変わらずの人間離れした容姿だ。
「とりあえずゲートを作った。場所は幸仁の部屋だよ。幸仁の部屋の奥に、扉を作り、そこと現在の幸仁の部屋を繋いだ。これで自由に行き来出来るようになったよ」
「すぐに行くぞ!!」
「待ってくれ。今幸仁は、向こうの幸仁の部屋にはいない。今は結婚披露の舞踏会の最中なんだ。幸仁のそばにすぐ行けるよう、今回だけは私が連れて行く」
「は? 結婚披露? 誰の?」
「幸仁のだよ。ついこの間結婚してね……もう見てられないほどのラブラブっぷりだよ」
「はぁああああ?!!」
幸仁が結婚?!! どういうことだ、幸仁はまだ18だぞ!!! 結婚できる年齢ではあるが、そんなすぐに結婚など……騙されているとしか思えない!!
「事前に言っておくと、幸仁の結婚相手は男だ。というか、向こうの世界には男しかいない。幸仁は幸仁の護衛騎士長のダグラスという男と結婚した」
「男?!!」
「幸仁は随分とダグラスと想いあっているから、男だからと反対するようなら会うことは許せないかな。私にとって優先すべきは幸仁の幸せだからね」
男……男か……いや、まぁ、いいんじゃないか……?
「幸仁が幸せなら、なぁ……」
「そうねぇ。驚いたけど、ゆきちゃんが幸せならなんだっていいわ」
「ゆきを幸せにしないような男なら認めないけどな」
「ふむ、ならいいかな。4人を幸仁に会わせよう。急いでこれを着てくれ」
俺等に渡されたのはローブだった。大きなフードが付いていて、被れば顔が隠れてしまうだろう。
「全員被ったね。端的にいうと、幸仁、というより幸仁の周りの人間が危ない。向こうに飛ばした瞬間、私は戦闘に加わるが、君達は魔力を持たないから幸仁から離れないで固まっていてくれ」
戦闘?!! 舞踏会じゃなかったのか?!!
「じゃあ、いくよ! フードはいいというまで取らないで!」
ちょ、待て……!!
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「幸仁! 無事か?!」
ああ、俺の可愛い弟だ──────
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