あの人と。

Haru.

文字の大きさ
321 / 396
After Story

お疲れモード

しおりを挟む
 ラスがルリで癒されて戻って行った後、お義父さんとお義母さんがやってきた。お義父さん達は身内だから挨拶OKなのです。挨拶NGなのは親しくない貴族です。

「お義父さんお義母さん! お元気そうで良かったです」

「ユキちゃんも。その子がルリちゃんかい?」

 ルリもちゃん付けなんだ……と思ったけどこの可愛さじゃ仕方ないよね。……あれ、そういえばルリって男の子……? 女の子ではない、よね? だってこの世界は女の人いないし……むしろ性別がないとか? だって神獣は親から生まれるんじゃないから繁殖する必要はなくて、つまり繁殖器官は不要で……性別がなくても納得できるね。その辺りは今度神様に会った時に聞いてみよう。

「はい。ルリ、ご挨拶」

「ルリです! よろしくお願いします!」

 元気よく挨拶出来たルリを褒めるようになでなで……うちの子はいい子です。

「ルリ、この方達はね、ダグのお父さんとお母さんなんだよ」

「とぉさまのとぉさまとかぁさま?」

「そうだよ」

 ルリはダグとお義父さんを見比べて、その顔が似ていることに気が付いたのか納得したように頷いた。お義父さんはダグが歳を取るとこうなるんだろうなぁって見た目だからね。お義兄さんも似てるしリゼンブル家はお義父さんの顔が受け継がれやすいのかな?

「よろしくね、ルリちゃん。抱っこさせてくれるかい?」

「ふふ、どうぞ」

 お義父さんにルリを渡せば、お義父さんは大事そうにルリを受け取ってぎゅっと抱きしめた。優しく微笑む表情はやっぱりダグと似ていて、なんだか心がほわりと暖かくなりました。

「いい子だね。優しく強くなるんだよ」

「ルリ、かぁさまを守れるくらい強くなる!」

 ルリ……! なんていい子なの……! 僕はその言葉だけで満足です! 僕もルリを守るからね……!

「ふふ、ユキちゃんに似た子に育ちそうだね。将来が楽しみだ」

 お義父さんはそう言いながらルリを僕に返して、僕は戻ってきたルリをぎゅうぎゅうと抱きしめた。だってあんな可愛いこと言うから! 腕の中できゃっきゃっと笑うルリは天使に違いありません。

「じゃあユキちゃんまたね。機会があればまたうちにおいでね」

「はい!」

 ルリの前脚を持ってお義父さん達へ振ると2人も軽く手を振り返しながらニコニコと会場の方へ戻って行った。途端に貴族達がお義父さんの方へゴマを擦りに行ってはバッサリと切り倒されるがごとく意気消沈した様子で離れていくのを見て、さすがだなぁと思いました。

「お義父さん強いね」

「そうだな。リゼンブル当主としての役目を望んでこなすような人だからな」

 リゼンブルは影から貴族を監視し、国にとって不利な動きがあれば徹底的に潰す。ロイが使う暗部って大体リゼンブルで鍛えられた人間だしね。リゼンブルは情報収集なんてお手の物なのです。

 そうしてこの国は平和を保ってきた。リゼンブルがいなければ、もっと汚職にまみれた人でいっぱいだっただろうなって。魔窟のような貴族社会を制してきたリゼンブルは本当に凄いです。



 ダグとご飯を食べつつしばらくしたらダンスタイムが始まりました。僕とダグは1番最初に踊ります。1番注目されるし嫌なんだけど、周りで知らない貴族が踊ってる中で踊ればぶつかる可能性だってあるかもだし……そうなったら僕は多分フラッシュバック起こしちゃうと思うのです。想像しただけでちょっと鳥肌立ってるし……

 だからある程度順番を決めることになったのです。1番最初は僕とダグだけ。次は各国の国王とそのパートナー、その次にそれ以外の王族で最後に貴族。ここからはもう誰でも好きなように踊っていいことに。もちろん王族が必ず2番目や3番目で踊らなくちゃダメなわけでもありません。ロイとアルは踊るみたいだけども。

 だって他国の国王が来るなんてほとんどないもん。と言うか今回は確か来てなかったはずです。だからロイとアルが踊らなければ無人になっちゃうからロイとアルは踊らなくちゃなのです。

 ダンスの間、ルリはリディアとお留守番です。なんだかうとうとし始めてるからぬいぐるみだけ渡してリディアに任せ、僕とダグは会場の中央に。またも騎士さん達が道を作ってくれたから比較的怖くなかったです。


 僕とダグがそっとホールドを組めばゆったりとワルツが流れだした。僕とダグはそっとステップを踏む。

 ダグと踊るのはやっぱり踊りやすいし何より楽しい。ダグと見つめ合っていると周りなんて気にならなくなって、微かに聞こえる音楽とともにただただ2人だけの世界に入れるから。

 甘く優しく微笑むダグを見ていると、あぁ好きだなぁってしみじみと思う。じんわりと心が暖かくなるような、くすぐったくなるような好きと言う気持ちは心地よかった。

 いつまでもこの気持ちに浸っていたかったけれど、ダンスには終わりがある。いつのまにかダンスは終わりを告げ、同時に音が戻ってきて元の世界へと引き戻された。

 少し残念な気持ちになりながらダグにエスコートされるままはければ入れ違いにロイとアルが中央へ行き、2人のダンスが始まる。僕はリディア達と合流してそのまま部屋へ戻ることに。



 コツリコツリと足音が響く廊下をゆっくりと歩く。騎士さんも使用人さんも殆どが会場へ行っているから、会場以外の場所にはちらほらと警備の騎士さんがいるくらいで、会場の騒めきを感じさせないほどにあたりはシンと静まり返っている。

「ルリ、寝ちゃったんだね」

「ええ、あの後そのままお休みになられました」

 リディアが抱えるルリはスヤスヤと気持ち良さそうに眠っていた。

「本日はマッサージもいたしましょうね」

「うん、お願い」

 貴族達と話してないからだいぶマシだけど、やっぱりあの場にいたことはちょっとストレスになっていたみたいで、身体が少し重たい。マッサージしてもらって癒しましょう。そのあとはダグに甘やかしてもらってまったりするのです。

 部屋に着いたらルリをカゴに下ろし、まずは僕がお風呂に入ることに。ルリが早めに寝たからもしかしたら途中で起きるかもしれないので交代で入って片方はルリと居られるようにしたのです。

 衣装を脱いで髪の毛を解けばだいぶ楽になった。けどやっぱりちょっとしんどいかなぁ……

「少しお熱いですね……お熱が出るかもしれませんので長湯はやめておきましょうね」

「うん……」

 さすがリディア。ちょっと僕に触れただけで体温の変化を感じられるみたいです。コンマ数度の違いなんてよくわかるなぁ……

 リディアにザザッと洗ってもらってから、いつもより短めに浴槽に浸かり、上がったら脱衣室でマッサージを受ける。

「うー……」

「大丈夫ですか? 手早く済ませますね」

「ありがと……」

 手早く、でもしっかりと念入りにマッサージされて強張っていた身体もほぐれて、マッサージが終わる頃にはぐでんぐでんに。自力で歩けそうにありません。

「ユキ様、お運びいたしますからそのまま少しお待ちくださいね」

「あい……」

 本当に力が入りません。リディアに言われた通り寝転んだまま待機して、手早くオイル類を片付けたリディアに抱えられて部屋へ戻った。ダグは一瞬焦ったように心配してきたけれど、少し疲れただけだと言えばホッとしたように微笑んですぐに戻ってくると言ってお風呂へ向かった。

 僕はリディアにカウチに下ろしてもらい、お水を飲んだらダグが戻ってくるまでごろごろ……ダラスを抱きしめて若干うとうと気味です。

 ダグは本当に早く戻ってきて、戻ってきた途端僕を抱き上げてゆっくりゆっくり撫でてくれました。リディアはそっと出て行き、僕はそのままくったりとダグにもたれかかって心地よさに浸った。

「お疲れ。もう寝るか」

「ん……」

 そのままベッドに運んでもらい、甘い言葉をささやいてはゆっくり撫でてくれるダグにうっとりとしながらすっと吸い込まれるように眠ったのでした。

 お陰で疲れを翌日に持ち越すこともなく、熱も上がらずに済んだことをここに記します。
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...