あの人と。

Haru.

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After Story

失敗は成功のもと

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 舞踏会が終わって数週間、僕も通常の生活に段々と戻ってきて、ルリも大分大きくなってきて猫感は大分薄れて来ました。地球でのネコ科肉食獣と成長速度が違うのはまあ異世界だしルリは神獣だしってことで違和感はない。

 そんなルリにはそろそろ身を守るすべを教え始めてもいいのでは、となり、今日から少しづつ教えていくことに。教師は僕とダグとリディアです。

 というわけで、万が一何が起きてもいいようにとお城の建物から遠く離れた、ルリの卵があった木がある森の近くまでやって来ました。ロイにも許可をとったよ。

 何しろルリは神獣で、僕もルリの中に純度が高くてかなりの量の魔力があることに気づいている。神獣が放つ魔法がどれだけの威力なのか想像もつかないし、初めて魔法を放つ時、制御がうまくいかなくてあたり一面火の海、とかお城破壊、なんておかしくないんじゃって思うのです。ここなら周りには建物はなくて、あるのは木と芝生だけ。もちろんルリには森を背に魔法を放ってもらって、その上で放つ方向に向かって防御結界を張ります。ドーム状にしないのは僕達まで蒸し焼きになる可能性が捨てきれないからです。安全第一です。

「ルリ、ルリは自分の中にある魔力には気付いている?」

「うん。かあ様の魔力たくさんもらって、ルリの魔力いっぱいになったの」

 段々口調にたどたどしさがなくなって来たルリ。こうして成長していくんだなあ、としみじみ感じさせます。

「じゃあ魔力の使い方はわかる?」

「……少し、だけ? 使ったことないから、うまくできないかも……」

 怒られると思ったのか少しシュンとしたルリを撫でて怒ってないことを伝える。初めてなんてうまくできなくて全然おかしくないんだからね。

 それに、ルリは無意識なのか制御が出来てるから多分すぐ出来るようになると思います。

「そっか、大丈夫だよ。一緒に頑張ろうね」

「うん!」

 元気を取り戻してピンと背中を張ったルリに微笑ましくなり、とりあえず撫で撫で。うん、今日もルリはふわふわのいい毛並みです。




 まずはとりあえず害はないしって事で光球ルースを試すことに。ルリにやり方を教えてお手本を見せれば最初はちょっと強い光になってしまったものの、すぐに丁度いい明るさの光球ルースを作れた。やっぱり制御は出来てるみたいです。

「うまく出来たね、ルリ!」

 褒めるように撫でれば嬉しそうに喉を鳴らすルリ。だんだん大人っぽい顔つきになって来たけれど、やっぱり可愛いです。

 次はまず護身魔法を教えようということになり、教えてみるとルリはあっという間に出来るようになった。まだ粗はあるけれど、初めてでここまでいけたら上出来だと思います!

「すごいすごい! ルリ頑張ったね!」

「えへへ。ねぇかあ様。ルリ、かあ様のすごい魔法みたい」

 いくらでもお見せしますよ!! こんな可愛いおねだり聞かないわけがないよね!!

 といっても流石に豪炎の氷華フロム・グラシアなんて放つわけにはいかないのでちゃんとその辺は考えますよ。上級魔法までに留めておきます。

「いくよ、ルリ!」

「うん!」

────氷山の針グラスニードル

 ちょっと気合を入れて大きめにドドンと発動すればキラキラとした目で見てくるルリ。あぁ、可愛い……この反応が見れるなら僕いくらでも魔法見せるよ……

「かあ様すごい! ルリもやる!」

「えっ、ちょ、まって……!」

 僕達はルリの言葉に慌てるも、興奮したルリは僕達の声なんて聞こえてないようで。そのままルリは一気に魔力を大放出して────



────広大な芝生に一瞬にして氷の山が出来上がりましたとさ。

「えぇえええ……こ、これどうしたら……そ、それよりルリ!」

「ご、ごめんなさいかあ様……る、ルリ違うの……こんなつもりじゃなかった、の……ひっ、く……」

 あぁあああ泣いちゃった……! 違う違う、怒ってはいないのですよ……!

「大丈夫、大丈夫だからね。怒ってないよ。ルリの身体が心配なんだよ。どこか辛くはない? これだけの魔力を使って苦しくない?」

「おこって、ない……? かあ様、ルリ失敗しちゃったのに、おこってない……?」

「うん、怒ってないよ。大丈夫」

 大丈夫だと言いながらルリを抱きしめて撫でると次第にルリも落ち着いてきたようだ。よかったよかった。

「ルリ、しんどくない? 辛いところは?」

「だい、じょぶ……」

「そっか、よかった。じゃあルリはダグのところに行っててくれるかな? 僕はこれを片付けちゃうからね」

「あい……」

 ルリをダグに預けて氷を叩いて強度を確認しているリディアの元へ。

「どう?」

「随分と硬いですよ。流石神獣ですね」

「うーん……たしかに、すごく硬そう。でも、どうにかするしかないよねぇ……」

「ですよね……」

 ちょっとやそっとじゃ溶けなさそうなくらい硬い氷はいったいどうするべきか……うーん、溶かしたらこの辺水浸しじゃ済まないくらい大きいからなぁ……やっぱり一瞬にして水蒸気にして空気中に霧散させるのが1番なんだろうけど……普通に風がある中でそれをしたら、水蒸気で僕たちが火傷する可能性だってあるわけで。

 ……これを結界で覆いつつ水蒸気にする、かなぁドーム状じゃなくて、上が開いてる円柱状にしよう。それでその中でこれに使われた以上の魔力を使って強力な火属性魔法を……神級魔法を使った方が早いか。よし、頑張ろっと。

 ある程度計画を練られたところでリディアに離れてもらい、氷の周りに結界を張る。この規模じゃあ早めに終わらせないと溶かす分の魔力が持たなさそうなので一気に行きます!

「──火神の裁きフェディク・アグニ!」

 かなりの魔力を込めて放てば、ものすごい音とともに結界の中が水蒸気で見えなくなった。これじゃ様子がわからないからと下から上にむかって風を吹かせて……

 ……なんとか半分以上溶けたみたいです。残りをもう一度さっきより結界も狭めて火神の裁きフェディク・アグニを放てばなんとか氷は全て無くなりました。……ちょっとだけ芝生が焦げちゃったけど許してください……

「ふー……」

「お疲れ様です。魔力は大丈夫ですか?」

「んー、大丈夫。流石にちょっと疲れたけどね」

 枯渇してはいないから大丈夫です。なんとか出来て良かったなぁ……

「ユキ、おつかれ」

「ん。ルリは?」

「泣き疲れて寝てしまった。起きたら無闇に真似をしないように言わないとな」

「そうだねぇ……氷だったからまだあれだったけど、これが火属性魔法だったら……火事どころの騒ぎじゃなかったよね」

 氷山の針グラスニードルにしておいてよかった……!

「……ルリの前ではしばらくは火属性魔法はやめておこう」

「だね」

 言い聞かせるとはいえ、まだ子供だからやってしまうこともあるかもしれないからね。大惨事を避けるためにもルリの前では火属性はしばらく厳禁です。やるとしても初級から中級くらいまで、かな。上級以上なんて以ての外です。

 本当はあの木のところにも寄ろうと思ってたけど、疲れてしまったからそのままお城へ帰ることに。

「……あ、流石にロイに報告しなくちゃ、かな……?」

 と思っていれば数十名の騎士さん達がバタバタとこっちに走ってきて……

「侵入者はどこですか!?」

 ……どうやらさっきの魔法が侵入者がやってきて僕達が応戦していると思ったようで。なんとか説明すると安心したように戻って行った騎士さんを見送ってやっぱりロイに報告しなくちゃだなぁ、とそのまま向かうことに。

 報告に向かえばロイは顔を引攣らせながらこめかみを揉み、ひとつ長いため息を吐いて。

「……本当に気をつけてくれ」

「はい……ごめんなさい」

 なんとか魔法は禁止されなかったのでこれからはもっと気をつけて教えていこうと思います。




──────
28日はお休みを頂きます……
次回の更新は30日です。
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