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第25話 administrator

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場所も連絡先も認められた者にしか知らされてない、とある場所に路地から入る薄暗い隠し小屋がある

そこは中はそれなりに広く2、30人くら
いが寝泊まりできそうな場所になっている

整頓もキチンとされていて、入口からは想像もつかないがホテルの一室のような雰囲気すら感じられるスペースが用意されている

そこが、シーナ達のアジトである

アジトのボスである通称『婆様』はここから出ることはほとんどなく、もっとも信頼する数名を伝令とし、アジトから指示をだしている

婆様は伝令から報告を受けていた

「……シーナが次元の入口に着いたって?」

「はい、ペディ姐さん、マニィ姐さんも同じく着いたと聞いてます」

「そんな奴らはどうだっていいんだよ」

「シーナは私の宝なんだ、色々経験させてやらなきゃな、『あいつ』も来てるみたいだしな」

「『あいつ』ですか?」

「なんだテメェ……私に質問できる立場なのか?」

伝令は慌てて頭を下げた

「申し訳ありません……」

「ああ…可愛いシーナ……どれだけ使えるようになるんだろうねぇ」

婆様は不気味に微笑んでいた


…………




ソーマは悩んでいた

今まで色んな危機はあったけど、こんな事態は初めてだ

どうする……

手抜きできるような相手じゃない

「シーナ大丈夫か?」


シーナは涙を拭う

「ソーマ……もし姐さんが神宝具を爪に塗ろうとしたらそれを止めて」

神宝具を爪に?

ペディもマニィも何かあると爪に何か塗っていたが、あれは神宝具だったのか

ソーマは初めて気づいた

少し冷静になったみたいだし、シーナは大丈夫そうだ


シーナの後ろに突然ペディが現れた

早いっ!
ソーマは驚くしかなかった

ソーマとは違いシーナは落ち着いていた

猛スピードでペディと距離を取り、ペディの方を向いた

そのシーナの側面からマニィが襲いかかった

鋭く尖った爪でシーナを切り裂こうとする

「マニィ……」
シーナは少し心が揺らいだ

あの優しかったマニィから向けられているのは間違いなく殺気だ……

シーナは高速移動でマニィの攻撃を回避した

「マダ……足りないか」

ペディとシーナは小瓶を取り出した、あれは爪につける神宝具だ

あれはつけさせたらいけない

ソーマはマニィの小瓶に向けナイフを投げた


しかし、ナイフは禍々しいオーラに邪魔され、マニィに触れることすらなかった

垂れ流しのオーラにすら通らないのか……

ソーマはナイフを手に戻した

マニィとペディのオーラは異常なほど放出されているようだ


マニィが小瓶の液体をつけようとしたことろをシーナが抑えた

「マニィ…… もうやめて、お願いだから」

シーナの声は全く届かず、マニィは必死に液体をつけようとしている

シーナはマニィの両手を抑える

「これ以上つけたら2人とも死んじゃうよ……」

この神宝具は適性があれば、つけた体の部位を活性化させ、周囲からのオーラを取り込むことで通常ではあり得ないほどの身体能力を発揮できるものとなっている

だが、適性が足りていないと、一定量以上使用すると、神宝具に取り込まれてしまい命が尽きるまで、能力を出し尽くされてしまう

ペディとマニィは神宝具に取り込まれ、中毒状態になっていた

「ジャマなんだよ!」

マニィがシーナの手を払いのけた

シーナもマニィ達と同じ神宝具を使っているが同じ能力でも暴走したマニィは通常よりもさらに強力な身体能力を持ってしまったため、シーナには止められなかった


シーナはマニィを止めようと再度手をだしたが、荒ぶるマニィに吹き飛ばされてしまった

シーナが受け身をとったが、左腕に深めの切傷ができていた

マニィはその隙に液体を塗りだした

「ダメ……なのに……」

シーナは耐えきれず目をそらした


「ア……ア…」

マニィの血管がより浮き出て元の人相がほとんどわからなくなってきていた

手の爪からは血が垂れだし、黒く変色し、骨と皮だけになっている、見るからに限界を超えていた

ペディも同様に限界を超えて形相が変わっていた

もう、2人は助からないかもしれない…

せめて私が……

シーナは右手を顔の前に出し指を開いた


親指以外の各指にそれぞれ色の違う石がついた指輪をはめている

「本当は姐さん達に使いたくなかったけど……」


…………


その頃、カクミは別の場所を歩いていた

斬撃の男と戦ったときオーラを調べたら3人いた

そのあとキョウドウが来たみたいだけど、キョウドウ以外の人がいて、ここら辺にきてるはず

見つけた


カクミは人影を発見した


「子供?」

そこにいたのはペディとマニィも一度顔をあわせていた子供だった


カクミは警戒した

見た目は子供だが、オーラがおかしい

この子供から、探してた次元の切れ目と同じオーラを感じる

「不思議だろ?」

子供が喋った


「ここに来るためにはこの体になるしか無かったんだ」

「……何を言ってるのかわかりません……」

子供は不気味に微笑んだ


「勿体無いなぁいい素質を持ってるのに」

カクミは長く話しても理解できることを言ってくれないだろうと感じ話すのを諦めた

「そういうのどうでもいいです…… あなたは何者なんですか? 」

「僕かい?」

子供の体が浮かび上がった


「僕はアドミニストレーターだ」
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