全てに干渉する能力を手に入れた俺はこの世界の管理者になることを決めました

ゆに

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第35話 大切な仲間を守るため

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命をかける……

そんな決意でシンドはサードアイを解放した

シンドはもともと自分の産まれを知らない、物心ついた時から研究所で過ごしていたからだ

そのときから額にはサードアイの模様があり、目も常に閉じていたことから周りから面白がってからかわれたりすることもあったが本人はそのことを気にしたことは一度もなかった

ライア、ニール、アレフ、アサヒ

彼らはシンドの額を一度も悪くバカにしたことは無かった

一番近い仲間が何も言わずに慕ってくれている、他の奴らに何と言われても自分には関係ない

そう思っていたから周りの目は平気だったのだ

シンドは信頼する仲間たちを誰よりも気に入っていた

常に落ち着いていて、ミスをしないシンドは博士から信頼され5人のリーダーの様に扱われていたが、シンドが守りたいのは命令ではなく、仲間たちだった

シンドは決めていた、サードアイを解放するときは命令のためではない

大切な仲間達を救うためだと



足を引きずりながシンドは歩いていた


早くもサードアイを解放した後遺症がでていたのだった


他の部分に影響は出てない……

なら動けなくなること程度は何も問題ない


シンドは両手をマヒルに向けた


これがシンドの戦闘の構えだった


マヒルがシンドに向かってきた

動けなくなっていることを把握してるからか、小細工なしに正面から正攻法で攻めてきた


心臓をひと突きで終わらせるつもりか


マヒルは右半身を半身に反らし、突きの姿勢になった



シンドは突きを受け止めるため両手をマヒルの右腕に向けた


マヒルの手を掴もうとしたとき、マヒルは姿を消した


ドスッ


シンドの腹からマヒルのオーラの先端が突き抜けて飛び出してきた


マヒルはシンドの背後に一瞬で移動してシンドの背中を突き刺したのだった


終わった


マヒルはそう思い手を抜こうとしたが、シンドを貫いたはずの右腕が動かない


「正面から攻めてきた時点で引っかかってるんだ」

マヒルの目の前にいるはずのシンドだが、マヒルには別の場所からシンドの声が聞こえてきたように感じた


蜃気楼のようにマヒルの前からシンドが消え去った


マヒルの前に新たに現れたシンドはマヒルの右腕と額付近を両手でそれぞれ触れていた


「こんなところで言うことでもないが……幻影を見せるのはこの能力の最も得意なことなんだよ」


マヒルが刺したと思ったシンドは幻影だったようだ


シンドはそのまま両手にオーラを込め出すと、合わせてマヒルの右腕と頭にもオーラが渡り出した


シンドのオーラの影響で、マヒルの右腕のオーラは消滅した


シンドのオーラはさらに強くなっていく


マヒルに触れている部分を伝わってシンドのオーラでマヒルは包まれた


動けない……
マヒルは目を微妙に見開いた


「アレフ…… ニールはまだ生きている、治療をよろしく頼む……」

シンドが話し始めた


「アサヒ、もう少しちゃんと話がしてみたかったな……」


アレフは黙って立っていられず、シンドに駆け寄ったが、アサヒが押さえ込んだ


「シンド! やめてよ! そんな…… いなくなっちゃうような言い方しないでよ!」

アサヒに制止されながらもシンドに向かって行きそうにアレフが叫んだ


ライトリザレクション


シンドの体を中心に、あたりが光に照らされた



その場へ向かっているシーナにも光は届いていた


この光、普通じゃない……



シーナは不思議なオーラを感じ取っていた




シンドの元は光が収まりつつあった


「シンド……」


アレフが力なく呟いた


シンドは全てを出し切り、その場に倒れていた


「兄さん?」

アサヒはマヒルに声をかけた


髪の色が黒に戻り、横たわるシンドの前で立っていた

「俺は?」

マヒルが普通に話をし、目にも生気が戻っていた

下を向いて横たわっているシンドに気付いた


「シンドが……そこの男が兄さんを元に戻したんだ」


アサヒがマヒルの元まで歩み寄った

「彼が俺を……」

マヒルは膝をつき、シンドの顔を見た

マヒルは唇を噛み締め、震えていた


「俺のためなんかに……」


「シンドってさ、いつも目を閉じてたから、こうしてても今まで通りに見えちゃうんだよね」

アレフが冷たくなったシンドの顔を見ながら話しかけていた


「いつも冷静で…… 俺らのリーダーだったんだ」

マヒルはアレフの顔をジッと見つめ全てを受け止めようとしていた

「そんなシンドがあなたを助けたんだ…… 意味があるんだ……」

アレフが自分に言い聞かせるように出した言葉だった

マヒルはゆっくりと立ち上がり、子供に向き合った

「アドミニストレーター…… いや、グンジョウ」

アドミニストレーター、管理者と呼ばれていた子供はグンジョウと言う名前のようだ

「俺はもう利用されない」


グンジョウは微笑んでいた

「残念だよ…… 君は計画の大きな一部だったのに……」

「マヒル様…… かっこ悪いです」

「まあいいか…… 僕一人で、もう十分なんだ」


緊迫した空間のなか
シーナがようやくグンジョウの見える位置についた

ただならぬ気配を察知し、遠くの位置からサングラスであたりを見ると、グンジョウのオーラの異変に気付いた

「あの子、次元の入口だ……」
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