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僕の居場所、存在理由
5P
しおりを挟む本気や。本気でこんな、僕達との和睦を望むなんて!!
復興と復讐のためだけに生きてきた僕達を相手に和睦なんて、聞き入れられるはずがない。第一、冬夜は己の命を落としても和睦なんて絶対に選ばない。
それに和睦のため、戦うことになっても僕達を殺しはしない。手と手を取り合うまで決して諦めない。復讐は連鎖させるべきじゃない。
復讐を辞めると決めた暁には、新しい華神一族が住む里や屋敷の確保を約束する。他にも協力できることがあれば何でも協力する。なんて書いてある。
どれだけお人好しなんや、あの人は。大勢の命が賭けられた、戦も同然なのに。
長い間みっ君と一緒に暮らしてきて、その優しさは十分に分かっとったはずやった。けど本当はもっと優しく、広い広い心を持っとる。
身内から、特に和之さんは和睦に反対するはずや。それも自分でなんとかするんやろうか。だとしたらみっ君は、僕が風霜を離れてから急成長を遂げていることになる。
「あはっ。なんや、おもろないわ。僕が知らんみっ君がおるやん……」
なんだか悲しい。一時的でも、仲間だった。師弟だった。家族だった。兄弟だった。友達だった。
偽りの関係でも流れた時間は、交わした言葉は、見た景色は、感じた心は、通じ合った心は、本物だった。
後悔?そうやな、認めたくないけど後悔しとる。今まで努力して得た信頼を、今度は自分の手で壊さんといかんのやからね。
でも僕は忍や。華神一族の忍や。上手く感情を殺して、いつものように自分を偽って、そしてみっ君をこの手で殺す。
この手紙は必要ない、邪魔や。そう思って捨てようとしたら、手紙の裏の隅っこにまだ何か書かれとるやん。
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