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玖号
4P
しおりを挟むなぜモドキをつけるのか?もはや忍者でいいんじゃないかと思うだろうが、これはユラのとんでもない秘密ゆえのこと。
彼はこれほどまでに忍者忍者していても、ある時だけは忍者の「に」の字もドン引いて消えてしまうのだ。
「ん、窓辺に小鳥が……」
毎日の日課になっている小道具の手入れをしようとして、1つだけある窓に小鳥が3羽とまっているのに気づいた。
瞬間、鋭い眼光の鷹のようなユラの瞳からフッと力が抜けた。頬の筋肉も緩み若干、ほんっのわずかだけ、口元に笑みが浮かぶ。
「愛らしい。小さく、温かで、柔らかそうで……もっと近くで見たい。触れたい……」
そう、ユラはこんなんで小動物に目がない。もはや異常と言えるくらいの、愛だ。
小鳥だけに限らず猫や犬やウサギ、カエルやカメでさえ見つけると「愛らしい……」と近寄っていく。それはもう、酔ったようにフラフラと。
さすがにプライベートの時以外、任務の時なんかは自制している。が、目は小動物を追っている有様。しかし――
「あっ……」
バサバサバサッ!
小鳥達はユラに気付くと、とんでもなく驚いた様子で飛び立っていった。これが、毎回おなじみのオチ。
ユラは、忍者特有の殺気というか雰囲気を消しきれないのでか弱い小動物にはバケモノが来たとでも感じるようだ。ユラに懐く小動物はいない。
素晴らしい反射神経でカエルを捕まえても、力加減ができずに潰してしまったり。ウサギも、耳がちぎれてしまったり。そして、そうしてしまう自分にいら立つのだ。
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