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玖号
13P
しおりを挟む「我は忍者…………の、ようなもの。ルカは我の姉……の、ような者。フッ…………甘やかしている、な……」
甘い。甘い洋菓子が好きではないユラだが、今だけはその絶妙な和の甘さが心地よかった。
月子で1番鈍感なユラでも、ルカが本当に言いたかったことはわかっている。彼女の心が、抹茶チョコを通して伝わってきたから。
決して、月子達の心が繋がっているからだけじゃない。彼らは本当の意味で心が繋がっている、通じ合っているからわかってあげられる。
「ユラが楽しそうに笑うなんて、これは明日は大雪だな。大きな雪だるまを皆で作ろうか」
ユラがルカとの手合わせをやめた理由。それは、一体いつからそこにいたのか、ドアの向こうから姿を現した男の気配を感じたから。
出ていったルカはすれ違ったことさえも気付いていなかったようだな。着替えるので頭がいっぱいというよりも。やはり、絶対に安全な場所で隠れていたのか。
「ライト。立ち聞きとは趣味が悪いな。なぜ忍んでいたのだ?」
「や、忍んではないよ。忍者忍者なユラじゃないんだからさ」
「……にんじゃにん、じゃ……?それは……我のことか……?」
いやいや、他に誰がいるんだと言うんだい。と顔に書いて、両ポケットに手を突っ込んで苦笑する彼は神月ライト。
最初に発見された月子であり長男、ゆえに誰よりも他の月子達のことを常に気にかけている苦労人。もしかしたらチユニ以上かもしれない。
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