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陸号
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しおりを挟むコードネーム陸号。それが、彼女が月のゆりかごで呼ばれる名前。
実験用のマウスではないのだから、かわいそうだといってチユニが新しく付けた彼女の名前が、明神レナ。
ルカと一緒に帰ってきた彼女は、早速買ってきたコーヒー味のチョコを渡そうとチユニの部屋へ向かった。
「あーるーじいぃー?いるうぅー?」
コンコンコンコンコンコンコンドンドンドンドンドンドンッガチャッ!
「そ、そんなに連打しなくても……はぁ、はぁ……い、いるから、はぁ、はぁ……」
「あら、いたの?返事がなかったからもう食堂に行っちゃったのかと思ったわよおぉ。えらく息が上がってるわね?」
「いやいや、返事したよっ!レナの豪快なノックで掻き消されたの。あぁ、奥にいたんだけど、扉を壊されちゃいそうだから飛んできたんだよ」
扉がかわいそうな悲鳴をあげ始めた頃、額に汗を浮かべ肩で息をするチユニが扉を開けた。
するりとチユニの脇の下をくぐり部屋の中へ侵入したレナはとりあえず「お邪魔してまあぁす」と言っておき、さも当然のようにソファーに深く腰を掛ける。
チユニが大事な電話中だったり、大事な人物との謁見中だったらどうなっていたのだろうか……なんて、レナなら全く頭にないのだろう。
いつものことだが「やれやれ」と溜め息を吐いたチユニは「で、どうしたの?まさか、昼食に私を呼びに来たんじゃないよね?」と、隣に座る。
いや、座ろうとして突然立ち上がったレナに突き飛ばされた。
おかげでチユニはテーブルに突っ伏し、その格好が面白かったらしいレナは笑いながら彼女の背中に、プレゼントを乗せた。
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