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弐号
7P
しおりを挟む心の奥深くに抑えていた闇があふれ、感情が爆発した。力任せにレンマの頬を殴りつけ、左手で太い首をつかんで右手で銃を突きつける。
「あなたと一緒にするなッ!!僕さえもっとちゃんとしていれば10番目を守れた。もっと冷静でいれば、黒い人に逃げられずに済んだ!僕の判断が甘かったんだッ!!」
ガッ!ともう1度、今度は銃で殴りつけ首を押さえる左手に力を込める。女性のようにきれいに整った顔は崩れ、まるで怒り狂う肉食動物のよう。
怒りと苦しみの入り混じった闇をまとうシャノンと、彼が苦手とするレンマとの距離は非常に近い。
ベンチに座るレンマに、馬乗りになっている。普段なら近づくことさえできないのに、触れて脅してしまうほどに彼の感情は体を支配している。
左手は正確に気管を圧迫し、右手は今にも引き金を引こうとしている。怒りに燃える青い瞳は、レンマの赤い瞳をとらえて離さない。
「レンマは強いからいいよ。馬鹿でも、それを補えるくらいの力があるんだから。何で僕なんだよ。どうして僕はこんなにも弱くて…………仲間を頼れないッ」
「シャノ、ン……」
「あぁそうだよ、僕は怖かったんだ!1人じゃ心もとないからレンマを一緒に連れて行きたいって言うのが、レンマの手を取って瞬間移動するのが怖かったんだよッ!」
シャノンは戦闘になった時、1人だけでは対処しきれないとわかっていた。ましてやそこに怪しい影があるのなら戦闘になる確率は極めて高い。
だからたとえライトが指名したのがシャノンだけでも、1人なら連れて行けるのだからレンマの手を引けばよかったのだ。
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