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母との再会、仲間との決別
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しおりを挟むあぁ、双子に連れられてどれくらいの時間が過ぎたのか。と、ライトが顔を上げると窓の外に月が見えた。
夜だ。まん丸い満月が見える。ライトが双子に連れてこられたのは彼らの根城。懐かしい、ライトが生まれた本当の家。
チユニ達がいる街よりも離れた場所。小高い丘にある、何年も前から使われなくなった古びた城。要塞のような本物の城だ。
元々は誰か貴族なんかの持ち物だったのだろうが、百年近く前に最後の持ち主が死に、引き継がれることも売られることも壊されることもなかった。
他人の城を改造し勝手に使うのは何かと法に触れる。が、咎められる以前に誰にも見つからないのだ。
本物の壱号の能力で、任意の人物以外には一切見つけられないようになっている。そんな完璧な城に住んでいるのはライトを除き5人。今のところは。
「「兄さんは酷いなぁ。本物の家族がいるっていうのにあっちを選ぶなんて。いくらチユニとの接触が計画の一部だからって、家族ごっこなんかしちゃって帰ってこないなんてさぁ」」
長い片ハサミを持つ双子。人造月子の3番目だとか言っていたか。子供っぽい性格とは裏腹に残虐で、2人の息の合った攻撃には隙がない。
双子ならではなのだろう。何も言わなくても、何もしなくても、お互いのことが完璧にわかっているから動きを合わせることができる。
壁の鎖で手首をつながれているライトに、両側からベタベタとくっついている。まるでじゃれる猫のようだ。
「緋月、那月、兄貴から離れろ。己ももっとよく、見たい」
そう言って双子をライトから引きはがしたのは、背が高く体が筋肉質でガッチリした男。正面から見つめ「あの日以来だ」と低く呟く。
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