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神楽とチユニ
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しおりを挟む浅い溜め息を吐いたカラスは、誰に向けてなのか小さく呟き、チユニと月子達を見渡した。
目が合えば引き込まれそうなほどに力強い、光を宿した黒い瞳が心の奥を見据える。
この返答次第で彼女が、ライトとの約束を話すのかどうかが決まる。未来のシナリオが変わってしまう。
ライトを信じられるかどうか?その質問はカラスの口から放たれたが、ライトが彼女に与えたセリフだ。ライト自身が皆に聞きたい問いでもある。
カラスの記憶の中でライトが言った「すみません。あとは頼みます」というセリフ。あれはカラスに行った言葉。けれどその目はカラスの奥を見ていた。
ライトはミレイナの特殊能力を知っていたのかもしれない。そして未来を見て、この言葉がミレイナを通じてチユニに、他の月子達に届くようにと願った。
「ライトは大事な私の子供。信じないなんて有り得ないよ。あの子だって私達のことを信じてくれているって、信じているからね」
「せや、主の言う通りやで。向こうへ行ったんも、裏切りやのうて何か考えがあってやって信じとる」
「我らの長兄はライトただ1人。敵をだますには味方からという。ライトは我らを味方だと認識している、証拠」
チユニ、シャノン、ルカ、ハクト、レナ、ヒロキ、ユラ、ミレイナ、レンマは深くうなずき微笑んだ。
揺るぎのない9つの想い、心はきっとライトにも届いているだろう。何せ彼は未来を察知するのだ。少し前に気付いているに違いない。そして、この返答にカラスがどんな決断をするのかも。
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