moon child

那月

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神威アーシル

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 家に連れて帰るわけにもいかないので、大きな口を開けているだけでまだその形を留めている卵の殻をしばらく、彼女の家にすることになった。


 彼女の学習スピードはとんでもなく早く、相手を観察することでその言葉の意味をすぐ理解して使う。


 神楽が言った言葉をすぐに理解してしゃべったように大変知能が高く、この卵の家から離れると危険だと教えれば脱兎のごとく、家に引きこもり。


 アーシルの腹が食い物をよこせと抗議してきたので、糖分補給のためにいつも持ち歩いている飴玉を与えると大層気に入ったらしい。子供らしい、無邪気な笑顔で楽しそうに体を揺らしながら食べた。


 無理に彼女のことを詮索するのは止めて、まともに会話できるまで待つ。この知能であれば1週間ほどでかなり高度な会話ができるだろうと、肩の力を抜く。


 幸い、アーシルは凶暴ではない。命の恩人も同然の神楽を尊敬しているようだし、言うことを聞くうちにしっかりしつけておこうと決めた。母性ならぬ父性の目覚め。


 それから数日、神楽は誰にも見つからないよう密かにアーシルの世話をしに裏山に通った。


 まず服を与え、次にノートと鉛筆を与えた。もちろん、言葉の勉強を第1にしながらで、アーシルは新しく覚えた言葉を声に出したり、ノートに文字として残していた。


 勉強が、新しいことを覚えるのが楽しくて楽しくて仕方がないらしい。覚えた言葉を使い神楽と話をするのはいいが、伝えたい想いが強すぎて興奮するとたまに言葉がめちゃくちゃになるのは愛嬌。


 たくさんの言葉を、この世界のことを学んでいった。体は全く成長しないのに、早送りのようにとんでもない速さで急成長を遂げたアーシル。


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