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決意と意志
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しおりを挟むチユニの手に渡った紙を覗き込むレンマの腕を引き下がらせ、シャノンが紙に視線を落としてからカラスに目を向ける。
本物の神様とは?最大の謎はそこだろう。そして、その本物の神様と交わした取引によってライトが失ったものとは?
敵の倒し方、つまり問題の答えを丸々教えてもらうにあたって差し出す対価はとても、ライトにとって致命的なもののはず。しかも得た情報は、チユニが覚悟を決めなければ公にはならないのだ。
大きすぎる賭け、だ。いや、ライトもまた信じているのだ。チユニを。そして仲間を。
「夢の中で話をしたんだと言ってた。声だけだったけど、なぜかこの世界を創った本物の神様だって理解させられた。でも神様だって完璧じゃない。だからこの方法だって、試してみないとわからないんだ」
この世界の神様とは不思議なものだな。話すだけで「あぁ、この方は神様だ」ってわかってしまうのだから。
チユニが紙を見る前に折りたたんでしまい、そのままカラスを見つめているので話を続ける。チユニの手がわずかに震えているのは、倒し方の想像がつかなくて怖いのか、ライトの身を案じてのことか。
「…………ライトが神様に差し出したのは、全て」
神楽に絶対服従する証拠として、心を壊すことを自分から志願し人形になり果てる。これからの人生の自由を、手放したのだ。
それだけではない。残ったライトの体を、命を使って邪神を倒す唯一の武器を生成する。
月のゆりかご本社が昨年月に行って手に入れたサンプル、月の欠片とライトの命を融合させより強固な月の石を作り邪神にあてれば倒せる。
ライトの命を奪い月の石を創る役目はカラスが引き受けている。ということらしいが。上手くいく保証はない。
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