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本物の偽物
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しおりを挟むが、うつむき肩を震わせているチユニに2本の片ハサミは届かない。とっさにシャノンが彼女を連れて離れた場所に瞬間移動した。
そしてルカとユラが炎と水を高濃度に圧縮し同時にぶつける水爆弾をお見舞いしている間に、ハクトがミレイナを連れてチユニの元へ避難。
水爆弾を断ち切り片ハサミを振り下ろした風圧で水蒸気を吹き飛ばした双子にレナがワイヤーを巻き付け、動きが止まった一瞬の隙に一旦離れたルカとユラがそれぞれ炎球と水球を集中砲火。
だが、それでも双子の怒りの方が勝ってしまった。レナのワイヤーを無理に引きちぎった双子は、体中に炎球と水球を浴びながらルカとユラに片ハサミを振り下ろす。
一方その頃。涙を流しながらドス黒い怒りのオーラをまとった月影と、レンマとヒロキのペアが戦っていた。
こちらも月影がとんでもなくパワーアップしており、振り下ろされる拳がレンマの指先を掠っただけで腕全体を全力で殴りつけられたのと同じ衝撃が走る。
ヒロキがサイコキネシスで何とか動きを封じようとするが、逆に重力の負荷をかけられていて思うようにいかず鼻血と目と耳から流れるで足元に血だまりを作っている。
倒さなければならない敵。倒さないと、邪神の元へは行けない。不完全でも、月の石を作って邪神にあてて倒さなければ人間が滅ぼされてしまう。
頭ではわかっている。覚悟もできている。なのに、なぜだか月影達を見ていると、本当にそれでいいのかと疑問に思ってしまう。
彼らが流す涙は本物だ。目の前で実の兄が死んだ。兄と言ってもほとんど一緒にいることはなかった、血のつながりだけの兄。
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