moon child

那月

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moon child

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 アーシル達が裏切ったから、自分で人間を滅ぼすことにした。圧倒的に強くなければならない。


「チユニ、もう神楽さんは救えない。あの体ごと殺すしかないよ、わかるでしょ?いいよね?そうしないと人間どころか、この世界の全てが壊されちゃうし」


「神楽君……あぁ、あぁ……神楽君が……」


「しっかりして、ください、主。僕達がついています」


 震えるチユニの肩を、シャノンが抱き寄せた。左目を撃たれて生きているのが不思議なくらいだが、他の月子達も集まってチユニに触れる。


 精神的にも肉体的にも苦しくて辛いはずなのに、そんなそぶりは一切見せずに笑みを浮かべてみせる。それが余計に、チユニをうつむかせる。


「そぉよぉ、主。ここでへたれちゃあ、だめぇ。もう、終わりは目の前なんだからぁ」


「さっさと終わらせてやろうぜ。ま、主は見てるだけ、だけどなー」


「己らの命も使え。あぁなってしまえば叔父……月子達の命だけでは力負けしてしまうやもしれん。いいな、那月と緋月?」


「「しょーがないっすねー。命の有効利用に協力してやりゃーしょー」」


 口々に“終わり”を口にし、うなずき合った。もう、終わりは目の前だ。あとはチユニが、彼らの背中を押すだけ。


 チユニにも“終わり”はわかっている。覚悟もできている。だけど、熱い涙が止めどもなくあふれてしまって“終わり”にできない。


 ボロボロと大粒の涙を流し、こぼれた滴をアーシルの手の平が受け止めた。ミレイナが受け止めた。ユラが受け止めた。ヒロキが受け止めた。レナが受け止めた。ハクトが受け止めた。ルカが受け止めた。レンマが受け止めた。シャノンが受け止めた。ライトが受け止めた。


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