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moon child
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しおりを挟む「今度の休みに一緒に行きたかったお店、今度のバレンタインも楽しみにしてたのに、残念。主、あたしの分まで一杯、たくさん、虫歯になってもチョコ食べてね」
「もう怖い思いをしないで済むんなら嬉しい。でも、大好きな主ともう会えないのは、嫌だ、なぁ」
「主ぃ、あたしのケータイの未送信のメールあるの。全部終わったら送信しといてぇえ。友達にお別れの言葉、打ってるんだあぁ……」
「…………ついに、小カラスと戯れることはかなわなかったか。心残りだが、致し方ない。主の手は、温かいな」
最後の別れを告げ、月子達はチユニから手を離していく。また話せなくなったミレイナはとびっきり強く抱き着き、感謝と喜びを表した。
順番を飛ばされたヒロキだけは、放心状態だった。ヒロキの胸が異様に光り、ピンク色の光の玉が飛び出して彼の手の中に納まった。
「あ……そっか……ハルは俺の中に、ずっといたんだな。あぁ、今度こそ一緒に逝こう」
死んだ若神子ハルヒの魂、心だ。彼女は寂しがりやで浮気性なヒロキのそばにずっといた。ヒロキが驚いて、ハルヒが嬉しそうに「クスッ」と笑ったような気がした。
そうだ、ハルヒだってmoon childの8番目の兄妹なのだ、仲間はずれにはできない。
「勘違いするなよ。俺達は母さんが決めたからこっちについてやったんだ」
「母さんが一緒に死ぬことを、力を託すことを選んだから、私達も喜んで命を捧げるのよー」
「己は、那月も緋月も、そちらの仲間を手にかけたことは後悔していない。だが、こうなることがわかっていればもしかすれば、違った未来が見えたかもしれないな」
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