67 / 231
危ない熱情
8P
しおりを挟む今度こそ息の根を止めてやる。と照準を合わせようとするが、素早く窓を開け躊躇なく身を投げ出しやがった。
ここはビルの15階だぞ?さすがに窓から逃走されるとは思っていなかった。すかさずアランが窓から身を乗り出してツァスタバを構える。
ギオはまだ壁にいた。5センチにも満たない幅の窓枠、排水管、室外機などにピョンピョンと飛び移って降りている。
慣れている。何の音も聞こえない。軽々と躊躇なく飛び移る様はさながら、しなやかな柔軟性を持つ猫のよう。
アランが悪態を吐いた。普段やらない真下を狙って構えているせいか、ギオの動きが速すぎてイヌワシの眼の照準が合わない。
1階にいる部下に連絡して追わせたが、逃げられたな。ギオの姿は闇に消えた。「また会おうね!」という耳障りな笑い声を残して。
「すまん、ノル。ギオを侮っていた」
「いい、必ず見つけ出して殺すだけだ。それよりも…………おい、しっかりしろ。俺がわかるか?」
狙撃できず壁を殴りつけるアランには目も向けず、俺はベッドへと上がった。
起き上がることもできないのか?横たわり、熱く荒い呼吸を繰り返しながらガタガタと震えている。甘い匂いがする。
頬に触れると驚くほど熱い。体、主に下半身から独特の甘い匂いがするということは、やはり媚薬を使われたか。治まるまで待つしかない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる