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帰宅、アタシの居場所
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しおりを挟むそれからしばらくは男もシャオリンも帰ってこなくて。次に姿を現したのが今日の昼過ぎ。
意識もなく顔面蒼白のシャオリンを、けれど落ち着いた様子で抱きかかえてきた男に「休む場所を貸せ」と静かに言われ部屋に案内。
アタシよりも2時間くらい早く目を覚ましたらしいけど、男が面会謝絶だと誰も様子を見ていない。
何があったのかも皆は知らない。とりあえずアタシが捕まってからのことをザックリ説明して、これからどうするのかはまだ決めていないって伝えた。
アタシに抱き着いたままのイチカ以外の皆が口々に「彼氏かも」とか「男のフリしててもやっぱり女なのね」とか「ある意味BLなんじゃない?」とか。
これに耳をピクッとさせたのが、イチカ。あなたはそんなこと考えないものね。思っても絶対に口に出したりしないものね。
だからアタシが言うの。スカーレット・ローズの筆頭として、そしてシャオリンの1番の理解者として。
「うるさいわよあんた達。シャオリンは完全に男なの、理解できないなら出て行きなさい」
この世の中、男が女になることはよくあるしメディアにもよく出る。だけどその反対、シャオリンのように女が男になるのは数も少なくまだまだ理解もされない。
心と体の性別が一致しないだけなの。生まれてくるのに性別も体も親も選べないんだもの。大人になって、自由になったら“本当の自分”にふさわしい姿を求めるのは当然でしょ?
あ、アタシの場合はちょーっとだけ複雑なんだけど。アタシ達は、自分の心の性別に自信を持って生きている。
一生懸命生きているの。無理に受け入れてもらおうなんて思っていないわ。理解してくれるならありがとうってだけよ。
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