95 / 231
家族の記憶
7P
しおりを挟むその時代を感じさせるアルバムを眺めていると、これを作った俺達の母親の気持ちが少しはわかる。
子供の成長を記録していく楽しさを。けどな、もう少しほかにマシなアルバムがあっただろう?男にピンクの、しかもウサギの模様のアルバムなんて。
兄貴のは水色のクマなのに。なんて複雑な思いに悩まされながらアルバムを閉じようとすると、スッと兄貴の手が伸びてきた。
「ボロボロだけどよ、内側だけ妙に新しくねぇか?破れちまって貼り替えたか?」
「ん?いや、写真嫌いの俺がわざわざアルバムめくって補修なんかするわけないだろ。だが……たしかに、巻末の裏表紙は紙が違うな」
最初のページの裏表紙は紙がボロボロ、破れて土台の厚紙が見えてしまっている。それに対し巻末、終わりのページの裏表紙の紙はほぼ新品。
紙の色は同じだがわずかに材質が違い、割と最近貼り替えたように見える。年代物だし、掃除に来た誰かがよかれと思って補修したか?
やったにしても、やる前か後に必ず俺にひとこと言うはずだ。だがそれもなく、俺が直したとも思えない。
よく見るとわずかな傾きもシワもなく、ピッタリと完璧に糊付けされている。プロかよ。
なんとなく撫でてみると、紙がわずかに厚くなっていることに気が付いた。指でなぞるとそれは、土台と紙との間に何かが入っているように見える。
俺は何のためらいもなく、紙の角に爪を引っかけて破る。ビリッ。あーくそっ、ノリが強すぎて上手く剥がれねぇ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる