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アイデンティティ
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しおりを挟む翌日。目が覚めるとマリアンが俺の腕の中で暴れていた。
昨日の晩のことを思い出して、現実と向き合ってギャーギャー騒いでいるんだろう。うるさいからさらに腕に力を込め、叫びそうになった口を塞いでやった。
「元気だな。2回なら余裕ってことか、じゃあ次は5回連続にチャレンジだ。おはよう、マリアン」
「んむぅ……ぷはっ!もう、金縛りかと思ったわ。無茶言わないで!ノルがあんなに激しくするから腰が痛くて、歩けるようになるまで時間がかかっちゃうわ。おはよう、ノルウェム」
「なら、動けるようになるまで待ってやる。とでも言うと思ったか?」
「は、ゆっくりゴロゴロさせてくれないの?そんな目で見られてもねぇ。ちゃんと覚えてるわよ、今日は約束を果たす日だって」
「俺もお前も、組の頭だ。2つの組を解散し統合するのに何日も頭が不在となれば、いくら代わりのアランが優秀でも部下達に格好がつかねぇ」
「それはそうだけど。でも、オレ達の約束だって大事よ?」
今日は元DBのビル、の敷地内にある俺の実家の名残りの庭に行く日だ。10年前に交わした約束を果たすため、2人でタイムカプセルを掘り起こすことになっている。
待ち遠しい。10年前の俺が何を埋めたのか、もうさっぱり思い出せないが。
マリアンを抱くのを待ちきれなかったように、この約束も早く果たしたくてたまらない。別に、早く約束を果たしてアランのところに戻りたいというわけじゃねぇ。
それもあるが、善は急げって言うだろ?あ、使い方が違うか?まぁいい。とにかく、そうだな、この歳でワクワクしているんだ。
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