ユキ・シオン

那月

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1人たす1匹は2人

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 なおも「にゃーっ!んにゃーっ」と叫ぶ俺。声がいつもと全然違う!?頭には白い耳、ケツからは白い尻尾。それでわかったんだろう。俺が、擬人化種の白猫だってな。


 夢だと思って1度寝てくれればよかったのによ。ばっちゃんってば、大爆笑だったんだぜ?


 俺は人間の言葉が理解できても、喋ることはできない。だから布団の上で腹を抱えて笑うばっちゃんに、俺のベッドを投げつけてやったんだ。


 耳と尻尾を消すことが出来なければ白猫に戻ることもできない。初めての擬人化に戸惑う俺。


 ばっちゃんは「どんな姿でも、ユキはあたしの可愛いユキじゃから」って、力一杯抱きしめてくれた。


 人間の鼻で嗅いだばっちゃんの匂いは、薬の匂いが染みついていた。辛いはずなのに、それでも俺を手放さないで、見捨てないでくれるのかよ。


 つくづくお人好しだ。もう泣けるくらい、信じられねぇくらいのお人好し。


 ワンワン、いやニャーニャー泣いて。まずはばっちゃんが買ってくれた子供用の服に着替えた。体も思うように動かせなくて床の上をモゾモゾのゴロゴロ。


 人間の体のことをイチから教わって、動き方や喋り方も教えてもらった。舌の使い方はすっげー難しかったな。


 それから2年で、ようやく耳と尻尾を隠すことができた。白猫の姿に戻るのは、そのさらに1年後に習得。


 翌年に何とかマトモに、滑らかな喋りと自然な動きができるようになって。気づけば俺は人間でいうところの19歳。


 初めて擬人化してから4年後、やっと家の外に出られた。まずはばっちゃんの愛猫、白猫のユキとして。そして日を改めて人間の男、シオンとして。


 ばっちゃんと一緒に街に買い物に行って、全然怪しまれなかった。やたら猫は寄ってきたけどな。



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