ユキ・シオン

那月

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ぬくもりのなかで

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「お、おいっ……」


「辛くて苦しかった。悲しくて寂しくて。何もかもが嫌になって、人間なんか嫌いだって。だからこんな、中途半端な姿になっちまったんだ。直也に会って逃げて、クソなタイミングにかかってきやがった電話にキレそうになったけど。マジでイラッとしたけど。先生の声が聞こえた途端に安心したんだ。俺、先生に酷いことしちまったのに、それでも先生は俺を心配してくれてるって。俺にはまだ先生がいる。直也に見つかって、散々いたぶられても諦めねぇでいられた。絶対に先生が助けに来てくれるって信じてた。だから俺が連れて行かれそうになった時、先生が神様に見えたんだ。獰猛で、怖いくらいの神様だってな。けど俺のために必死になってくれて、約束を破って殺しそうになったけど、俺の声で思いとどまってくれて安心した。か、格好よかった。だから、その……色々、ありがと、ございます」


 遺書か。我ながらそんなツッコミを入れてしまうほど長々と、くぐもった声で呟いたものだな。


 俺は顔を隠すようにギューッと力一杯抱き着いたんだ。こうすれば俺のいろんな想いが伝わると思って。これで俺の、1番に伝えたい想いが伝わらねぇってんなら絶叫してやる。


 先生が俺と同じ想いなら、って信じてる。もしも違っていたら、笑いものだな。いい迷惑でしかねぇ。


 そもそも、先生には彼女がいる。ゲイじゃない。いや、俺も一応は恋愛に関してはノーマルだけどさ。先生だけは特別っていうか。



 あーあ、熱い熱い。頭からモクモク湯気が出てんじゃねぇかってくらい、顔が熱くてたまんねぇ。


 おい先生、黙ってねぇで何とか言えよ。じゃねぇと俺がただのイタくてかわいそうな………………おいぃぃぃ。


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