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ライガー王
5P
しおりを挟むなんかもう、色々ありすぎて特殊能力的なこととかに免疫がついた。すんなり受け入れている自分が恐ろしい。
今、悠一は何を考えてんだろう?たぶん、ここから先は悠一が最も話したくないこと。誰にも知られたくない、墓場まで持って行き隠し通そうとしていたこと。
それを俺は聞き出そうとしている。きっと悠一は辛く苦しい。俺が自分のことを話すのが苦しかったように、悠一は今苦しんでいるんだ。
だから俺、つないでいない方の手を上げて悠一の頭を撫でた。悠一がしてくれるみたいに優しくゆっくりと、何度も撫でる。
ピクッと震える肩。悠一は、息を吸いこんだ。
「相手を魅了し、心を奪う力。今はライガーの姿の俺に触れなければ大丈夫なんだけどな。昔は、人間の姿でいても力が漏れて誰にも近づけなかった……」
その力が出始めたのが、悠一が人間の姿になりだした5歳の頃。両親の元を離れ、1人でサバンナでライガーとして生きていた悠一は人間の、密猟者に捕まった。
野生の子供のライガー、しかも特殊な力を持っていると。複数の密猟者達はその力にあてられすぎないよう交代で檻を持ち、この国に流れ着いた。
けれど何度頻繁に交代しても長い旅で密猟者達は全員が心を奪われ、すぐに警察に見つかって逮捕。
残された悠一は警察の隙をついて逃走、人間の姿になって隠れる場所を探す。しかしサバンナと違って都会は人間が多い。
魅了する力のせいで目を引いてしまう悠一はしばらくの間、下水道の細い穴の中で過ごしていたんだという。
汚い水を飲み、たまに見つける汚いネズミを食って飢えをしのぐ。だがそれも長くは続かない。なにせ悠一はまだ5歳、食べ盛り。
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