ユキ・シオン

那月

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ライガー王

6P

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 生きるために本能が食料を求め、やせ細った悠一を地上へ。そこで、まだ市長ではなかった香さんと出会った。


 俺の状態を見抜いたように、あの強い眼光に射抜かれた悠一はその場で倒れ、保護された。香さんには悠一の力は効かないんだと。さすが、1000年。


 全てを悟った香さんは、それから何年もかけて悠一から魅了の力を奪い取り込む。取り込まれた力はさらに強い香さんの力によって消された。


 消されたというか、浄化されたというか中和されたというか。その力の強さと量に、香さんも予定以上の時間がかかったと。


「俺に名前と、生きるための知識と居場所を与えてくれた。香さんは俺の命の恩人なんだよ」


「……すげぇファンタジーな話だけどさ。ライガーってだけでそんな力が出るのか?キツネはほら、神様の使いだとかって言うじゃん?」


「ライガーは野生で生まれること自体が奇跡。そのうえ父親の“擬人化種”という特別な遺伝子が加わって、こんなことになってしまったらしい、って香さんは言っていたなぁ」


 化学反応みたいなことか。神様レベルの香さんでも、悠一の魅了の力全てを取り除くことはできないのか。


 だから悠一は、本性を見せるのをことごとく避けてきた。いや、何度もせがんだんだよ。ライガーなんて珍しいし、生で見たことがないから興味本位でさ。


 今思えば俺、酷いことをしてたんだな。大好きなのに。悠一を傷つけるようなこと、させてたんだ。ごめん。


 そういえば。もしかして、悠一がライガーの擬人化種だって明かした時、店長の顔色が変わったのって。驚きよりも恐怖におびえるような感じだった。


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