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ライガー王
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しおりを挟む知っていたのかもしれないな。特別な力を持ったライガーの擬人化種がこの街にいるって。
魅了し心を奪い、意のままに操ることから“ライガー王”とまで言われている、恐ろしい擬人化種がいるって。
でも店長だってもうわかってんだ。噂は嘘だって。その力は本物でも、悠一は隠れ臆病者だし、惚れた相手を一途に愛する普通の男だってな。
「……保健室でお前が、寝ている俺に鼻を擦りつけてきた時。気づかないうちに力が漏れて、お前が俺に魅了されてしまったのかと思って焦った」
話をして、少しは気が楽になった?「ふぅ」と息を吐いた悠一はゴゾゴゾ。つないだ手はそのままに俺を抱き上げると膝の上に座らせる。
後ろ向き。悠一が首元に顔をうずめてきてくすぐったいというか、ちょっと髭がチクチク痛い。
「心まで奪ってしまわないように早く離れないとって。でもできなかった。あの時の俺はすでに、お前に惹かれていたから。心を奪ってでも、ってことはないけど、ツガイになりたいって思ってた」
「フッ……魅了されてんのは、悠一の方だったってわけだ?」
「そうかも。男なのに、あんなエロエロオーラを放つ綺麗な眠り姫から目が離せなかったし。もうすっかり心も奪われているってことだなぁ」
え、エロエロオーラって何だよ。耳元で悠一が笑って、ホッとした。
重苦しい空気がじんわり晴れて明るくなって、悠一の声も明るくなって。冗談まで言えるようになったんならもう大丈夫だな。
今度は俺がモゾモゾ。膝の上だからバランスを崩しつつも支えてもらって、向き合う。
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